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続投か否か、来季監督人事の考察

9/13の試合後、横浜DeNAベイスターズの今季の自力優勝の可能性が無くなった。ただ、自力優勝は今後の勝敗次第でいくらでも復活可能なので、これで今季の優勝が消滅したというわけでは無いが、現時点で首位巨人とは11ゲーム差がつけられており、ここから巻き返すには横浜の大型連勝と巨人の大型連敗が無い限り難しく、現状厳しい状況であることは事実だ。

そしてこのように自力優勝消滅、という結果が出てしまうと必然的に来季監督について考える人が増えてくる。「まだ今シーズン終わってないのにそんな話をするのか」という意見もあるだろうし、諦めず応援する人の考えは当然尊重したいと思うが、優勝がとても厳しくなった今の時点についても結果と言えば結果で、こうなると球団の責任や監督の責任に言及する人がいても不思議では無く、むしろ出るのは自然な成り行きだろう。

なので現時点で来季監督についてどうなるか、考察をしてみたいと思う。

監督としての成果

横浜は2016年からラミレス監督が采配を揮っており、今季は5年目になっている。ここまで4位1回、3位2回、2位1回という順位で来ており、これは横浜の歴代監督と比べるとかなり良い方である。横浜の歴史を見ると殆どの監督がBクラスが多く、ラミレス監督の前にAクラスを3回以上経験したのは三原監督、権藤監督、別当監督の3人のみだ。ラミレス監督は横浜の長い監督の歴史の中で4人しかいないうちの1人に入る結果を残した。そして通算勝利数も3位になっており、過去の監督と比べたら少なくとも「勝つこと」においては結果を残してると言える。今季においてもまだ順位は決まってないものの、前半戦からAクラスにいて折り返し時点では2位にいて、このままいけばAクラス入りは濃厚だろう。

監督としての不安要素

ただ、優勝の経験が無い。前述のAクラスを3回以上経験した監督のうち、三原・権藤は横浜に優勝をもたらしており、このインパクトは大きく横浜の歴史の中でもこの2人が際立っているのは優勝監督であることが大きい。ラミレス監督は横浜をBクラスからAクラスに引き上げたという結果を残したものの、優勝が無い以上どうしても三原・権藤と同列に語ることは難しいだろう。

そしてもう1つ、ラミレス監督続投の不安要素となっているのが、ラミレス監督の「采配」だ。ラミレス監督はデータと独自の思考を元に、良く言えば既存の戦術に囚われない采配、悪く言えば周囲に理解されにくい采配をしてきた。代表例としては「8番投手」「2番強打者」「固定せず相性重視の起用」「申告敬遠の多用」「投手にも打たせる」「捕手のリードで途中交代」「敗戦時の淡々としたコメント」などだろう。いずれも実施時にはファンや解説者の間で議論を呼ぶこととなった。これらはラミレス監督が勝つために考えた作戦だが、いずれも型破りな作戦であり意図の理解や納得が難しく、それゆえ失敗した時には大きな批判にさらされた。この辺りの意図をしっかり説明してもらえると怒るファンの留飲も少しは下がったかもしれないが、あまりチームの内部事情の大っぴらに話さないラミレス監督の考えや、通訳を介して対話する外国人監督特有の意図の伝わりづらさなどが影響して、コメントを聞いても納得できないファンが多かった。そのためAクラス3度という横浜の歴代監督の中でも上位の結果を残しているにも関わらず、敗戦のたびに采配がやり玉に挙がることがとても多かった。

個人的な考えを言うと、采配の理解しづらさがあるにせよ文句を言わせない結果さえ残せれば良いと考えているが、その「文句を言わせない結果=優勝」であり、優勝ができてないゆえに批判を抑えきれることができず、ファンあっての球団という観点から見ると、これほど批判の大きいラミレス監督の采配を来年以降も継続していって大丈夫なのかという心配はある。

DeNAの監督続投判断

ではDeNAの監督続投・交代の基準はどうなっているか。これはDeNAがまだ球団を保有して10年にも達しておらず、監督も中畑・ラミレスの2人だけのため基準が分かりづらい部分もあるが、前任の中畑監督の事例が参考になりそうだ。中畑監督は2012~2015の4年間DeNAの監督を務めたが、4年目の途中で5年目についても続投要請されていた。当初は要請通りに続投する考えもあったようだが、2015年のシーズンは終わってみれば最下位になり、中畑監督としては責任を痛感して続投要請を断ったと、本人が話している。これについては別のnoteでまとめたものがあるので、詳細を知りたい方はこちらを参照して欲しい。

上記のこともあり、DeNAは順位や成績だけで判断するのではなく、最下位だったとしても、他の内容面での評価が高ければ続投要請することは普通にあり得る球団と言える。中畑監督は特にファンから絶大な人気があり、またチームの雰囲気を変える力を持っていたことが評価されていた点だと考える。

ではラミレス監督はどうかというと、成績面では今季も3位以上ならAクラス4回になり、通算8年務めた別当監督と並ぶ。三原・権藤監督のAクラス3回を上回ることにもなり、Aクラスの回数は歴代トップタイになる。このように結果は残した。あとは人気面だが、これをどう判断するかによるだろう。批判の声の大きさは中畑監督よりも強いと思われるが、観客動員数など収益的な部分を考えると、昨年まで毎年歴代最高を更新する動員数になっていて、興行面でもプラスに考えることができる。今季はコロナの影響があり9月まで最大5000人という上限がある条件下だが、1試合平均でも4,964名(9/13時点)になっていて毎試合上限いっぱいにできていると言えるだろう。観客動員数=ラミレス監督の人気、と紐づけるのは些か早計だが、少なくともこれも評価の1つにはなりそうだ。

これらを球団が総合的に判断して、来季の監督人事を決めることになりそうだが、球団としてはおそらくこれだけの結果や成果を残せている人を交代させるというのは考えにくいと思う。だが、最後は本人の意思によるところだろう。中畑監督も球団が慰留しながらも責任を感じて辞めることになったわけで、ラミレス監督もこの5年間続けてきて今季の順位が確定した後にどう決断を下すか。続投か退任かはその決断が最も重要な部分になりそうだ。

新監督となる場合の候補

上記を踏まえて、仮に監督が交代となった場合に来季の新監督が誰になるかは気になるところだが、現状ではおそらく全くの白紙だろう。ラミレス監督が就任する際は事前に何度も面談しており、そういった中で考え方が評価されて球団から要請した。現時点でそのような面談を行っているという話は出ていないし、DeNAという球団の特性上、新監督候補を公に話す可能性は限りなく低いため、具体的な動きが見えない限りは全くの白紙と言える。可能性としては三浦2軍監督が1番候補になりそうだが、これも憶測レベルに留まる。他の候補者についても名前を挙げるぐらいはできそうだが、現実として何も裏付けが取れる材料はなく、こちらも憶測レベルの話になるだろう。DeNAになってからまだ10年にも満たない体制のため、この辺りの読みは難しい。

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