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高卒ルーキー野手の1軍起用について

中日の石川昂弥選手が7/12(日)に1軍昇格し、その日の試合に7番サードでスタメン出場した。

石川選手は2019年ドラフトで3球団競合の末、中日が引きあてた高卒ドラ1選手で、サードのスラッガーとして将来性を非常に期待されている選手だ。

当然、中日としては石川を育て上げ、将来チームの主軸を担うような打者になってほしいという期待が込められているだろう。

その石川選手がまだ開幕から1ヵ月も経たないうちに1軍昇格したことで、ファンからは驚きと期待の声が挙がった。

ただ一方、高卒ルーキー野手の1年目からの1軍起用については、時期尚早という声もある。

筆者自身も正直なところまだ時期尚早と考えていて、これによって石川選手の今後に悪い影響まで出てしまうのではないかと、危惧する気持ちもある。

せっかく期待の高卒ドラフト1位ルーキーが1軍昇格して、盛り上がっているところに水を差すことを言うのは野暮と言われても仕方ない。

ただ、自分はこれまで高卒ルーキーの成績やその後の成長具合をずっと見てきている。

それだけに、あまり軽率なことは言いたくないし、言うからにはその根拠が伴うものでありたいと思っている。

なので、高卒ルーキー野手の1年目1軍昇格について、これが後に良い影響を与えるのかどうかを、過去の選手データを基に分析した結果をまとめていく。

高卒ルーキー野手の1軍起用は珍しいか?

まずは高卒ルーキーの1年目1軍起用自体はどのぐらいあるかを調べてみる。

2019年:10人(25人中)

2018年:5人(24人中)

2017年:6人(18人中)

過去3年間の高卒ルーキー野手の1軍出場人数は21人で、高卒ルーキー全体の人数と比較しても3割近くは出場していることになる。

無論、これは全員が1軍戦力として起用されていたわけではなく、数試合・数打席程度でシーズン終盤によくある1軍体験的な起用が多い。

問題はこの中で何人が1軍での戦力として起用されていたかだが、この基準としては25試合or50打席以上と設定して、過去10年(2010~2019年)に遡って調べてみた。

高卒ルーキーの1軍起用資料

この条件に合致した選手は上記の12名がいた。

ペースとしては年に1.2人で、基本的に彼らは消化試合でのお試し昇格ではなく、あわよくば1軍戦力で起用したいと思える選手だろう。

こういう選手は毎年1人ぐらいはいるということだ。

石川はかなり早い昇格になったが、近年だと毎年こういう選手が1人ぐらいは出てきている。

そう考えると珍しいと言うほどでも無く、段々高卒ルーキーの即戦力化の時代に向かっているのかもしれない。

1軍で戦力として起用された高卒ルーキーのその後

高卒ルーキー野手を1年目から1軍起用する際、効果としてよく言われるのが「1軍を経験することで、その後良い影響を与える」というものだ。

これは2軍での経験よりも1軍での経験の方が育成に良いという考えだろう。

確かに早いうちから1軍の投手たちと対戦することは希少な経験だし、メリットとして考えられるかもしれない。

ではそれを確認するため、前述の選手たちのその後の1軍出場状況や成績を見てみよう。

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