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アメリカで個人事業主やってた僕が帰国して会社員に戻った理由

アメリカから帰国して、それまでの個人事業主をやめ、企業に就職しなおして半年経った。
今の会社にも慣れてきて、仕事も落ち着いて(忙しくはなってるけどやり方にアジャストできてきた)きたので、ここまでの経緯を備忘録的に記録しておこうと思う。

アメリカで日本とフリーランスとして仕事をする事とか、フリーランスになるのを迷ってる人、さらにはフリーランスから企業に再就職する人の参考に少しでもなればいいなとも思う。

簡単な自己紹介

簡単に自分のこれまでの経緯を説明すると、
・大学卒業後、当時出来たばかりの法科大学院に入って卒業。三年間司法試験やったものの不合格(俗に言う三振)。
・その後、比較サイトの運営が主事業のブラックベンチャーに就職。SEM主体のウェブマーケティングや、通販事業の立ち上げなどを担当して約5年半。
・妻の留学を機に、自分もアメリカについて行くために会社辞めて独立してウェブ広告代理やウェブ制作の個人事業主になった。
・一年程度で留学期間が終わり、帰国した後、都内の企業のマーケッターとして再就職。
・今に至る。

アメリカでの個人事業主生活


僕はアメリカ合衆国ノースカロライナ州という、アメリカ東海岸やや南部の田舎で生活することになった。
妻の留学はJ-1ビザだったので、その配偶者である僕はJ-2ビザとなり、合法的に就労が可能だった。EADという許可をとり、個人事業主をやってた。

僕はロースクールを出ながら、法律に全く関係ないSEM中心のウェブマーケティングを生業としていたので、パソコン一台あればどこでも仕事できる職種だったので、開業もスムーズだった。

日本のクライアントが7割、現地で獲得した顧客が3割という構成で、アメリカ・日本の別なく、クライアントとはSkypeなどのチャットでコミュニケーションをとることができた。

いかんせんノースカロライナと日本の時差は14時間もあったので、MTGの時間によっては真夜中に眠い目をこすりながら対応することもあり、一方で私は現地のコミュニティカレッジにも通っていたので、ペース掴むまで二重生活はそれなりにきつかった。

朝起きて、アカウントチェックしたりメール対応してからコミュニティカレッジに行き、授業を受け、夕方に図書館で課題を終わらせ、自宅に戻って仕事。夕食はうちの家庭は僕の担当なので、夕食を作り、妻と食べたあと仕事の続きをして、夜中にMTGをする、というような生活フロー。一応MTGはアメリカ時間でpm11時(日本の午前)までにして下さいとお願いしてたけど、一部のクライアントでは、午後に無理矢理設定されて、MTGが朝方4時に始まるということも少なくなかった。糞。

ウェブ広告のアカウント運用者はおしなべて経験することだと思うんだけど、昼夜問わないクライアントの要望に対応したり、出稿中のアカウントが気になって常に調整したりで、やることはつきない。
持っているアカウントも20〜多い時で30程度でしたので、ポジティブに表現すれば飽きない商いなのかなぁと。

個人事業主(フリーランス)のメリット、デメリット

アメリカでも日本でも共通するところを挙げると、

【メリット】
・私生活との調整が可能
・場所を選ばない
・報酬というダイレクトなモチベーション
【デメリット】
・自分の身を自分で守らないといけない
・クライアントコントロールが大変
・孤独との戦い
・労働時間の限界がない
・本業以外の事務作業が多い

というところかな。

メリットでやっぱり一番大きいのは、時間とお金の自由

時間の面では、出勤退勤時間がないから、今日はお休み!と決めてしまえばお休みだし、ちょっとした旅行にも思い立った日にすぐに出かけられます。友人とのホームパーティもできたし、近くの湖にピクニックにも出れたし。

お金の面では、これまで会社員としてやってたことが、何倍もの報酬に変わるのはすごい。こんなに搾取されてたんかと。特に前職がどブラック企業で、低年収で搾取されてた分、通常の報酬設定でもリターンギャップは大きかったです。
やってることがお金に変わるという単純な事実はすごい。会社員の人は一度でも良いからフリーランスとか起業とかしてみたら、会社に戻っても仕事に対する見方が変わるんじゃないかなぁと思うよ。

もちろん、これは僕の職種がたまたまウェブマーケティングだったって事にも救われていて、ウェブ広告の代理運用は、広告主から毎月広告予算を貰って、その一定額が運用手数料となるので、[ストック型のビジネス]だった訳で。
フリーランスで一番怖いのは定収入が確保できないことだと思いますが、これが職種的に解消されていたのは大きかったです。

もちろん、ウェブ広告代理以外の案件、例えばウェブ制作などの[非ストック型ビジネス]もやってたけど、これは本当に労多くして得ることの少ない案件で、出来れば二度とやりたくないなと思います。
友人でフリーランスのデザイナーでも、上手くやってる人は[ストック型ビジネス]を作って、キャッシュフロー良くしてるよね。

フリーランスはこういうお金の流れと確保まで考えないと上手くいかないかなと思う。

ただ、一方でフリーランスはデメリットもすごく多い。

一番は自分の身を自分で守らないといけないという点。(もちろん、私の前職ブラック企業のように社員の身を守るどころか、害を与える会社ではそもそもこの点すら怪しいけどね。)
会社員に戻ると、主に取引上生じる問題について、企業が防御壁を契約なりなんなりで張ってくれていて、取引上生じる損害が自分個人の身に降りかかることはほぼない訳で安心して仕事に邁進できる。
これが個人事業主になると、営業上のトラブルが、一気に訴訟案件になってしまい大きなリスクになり得る。訴訟を提起することは勿論、応訴するだけでも結構な負担になる。
まさに今身をもって実感してる訳ですが、詳細はまた別に書くとして、こういうリスクは本当に大きいです!!!!

こういう取引損害を負うかどうかということが最大のリスクだと思う。それに比べれば、安定収入とか、信用力なんて自分の頑張りでなんとかなる分、マシな部類。
逆に言えば、仕事に失敗しても余程でなければ個人の責任にならない分、会社員はガンガン冒険できる立場です。会社の予算で、給料をもらって、法律で守られている会社員こそ、リスク恐れずチャレンジすれば良い。

起業を考えている人も、会社員の立場でチャレンジすれば、その経験が自分で会社やる時には生きて、できる限りのリスクヘッジができる。人(会社)の金でね。

また別のデメリットととして、本業以外にやることが多いのも結構な負担でした。大きいものでいうと帳簿つけたり、申請したりとか。

個人で、しかも1人でやっていると、一つ一つの明細をきちんと管理して、帳簿をつけたりするのが意外と時間がかかる。僕は会計freeeを使って管理して、見積もりや請求書もこれで発行してたんだけど、取引が多くなると月末に時間がとられるのは結構痛い。それでも月末に関係なくアカウントは動くし、PDCA回したり、提案書つくったりもしなきゃいけない。本業のために、クライアントのために時間を使いたいのに、それが削られるのは割とストレスだったなぁ。
本業に専念したいのにやることは存在し続ける。この作業意味あんの?って思っちゃいました。

あとは一人でやり続けることに飽きるって点も大きなデメリットかな。
勿論協力関係にあるパートナーはいたけど、結局は自分の案件達な訳で、うまくいっても自分だけの喜び。事業について、同じ目線であーでもないこーでもないと相談したりする仲間がいないのは嫌だなと。

契約の重要性

僕はロースクールを出て、法曹を目指したにもかかわらず、行政書士の資格も持っているにもかかわらず、実際自分でフリーランスになった途端、その重要性を本当に軽視していた。

今までの信頼があるから、まさかそんなことはしないだろうと思っていた行動を、一部の悪質なクライアントは上から順番にとられた。

事前合意の外の業務をサービスでやらせたり、性質上無理な要求をしたり、挙句には代金支払いがなくなったりなど、枚挙にいとまがない。
結局取りっぱぐれたお金は総額で300万円位で、もう別にいいわと思うけど、とにかく天罰が下ればいいと思ってる。

殆どのクライアントとは良い関係を築いていたので、こういう悪質なクライアントに当たったのは不運としか言いようがない。しかし、一方で契約をきちんと巻いておけばこういうトラブルは避けられたなと感じることもあるね。

自分の身を守れるのは自分だけ、そして守る手段は契約であり法律だけなんだと痛感している。
そういう観点で見ると、企業に戻って、法務部や管理部が契約条項の文言一つを仔細に指摘したり、ルールを金科玉条のように押し通してくるのは、理解できるなぁ。

企業に再就職しようと思った訳

帰国する前から、やっぱ一人でやってもつまらないなと思っていて、さらにクライアントトラブルとか重なって、今度はすごく大きな会社で、大きなプロジェクトに参画したいなと思うようになった。

ウェブコンサルとかアカウント運用って、既に出来上がったサービスとか物を売るから、集客の部分しかできないし、事業の立ち上げとかやってた時の楽しさがどうしても頭によぎって、真剣に事業会社に行きたいなと。

それで、帰国してからちょっとして、転職活動はじめたんだけど、最初はわかりやすくウェブ系を受けてた。

でも段々、大小にかかわらずウェブ系のノリとか業界のアラとかが気になって、途中から実業がある会社っていう軸に移って来た。

そうして、いくつか内定をもらった中で、年収と労働時間、会社の規模がマッチした今の会社に入社した。
年収でいえば、今の会社より遥かに良い条件もあったけど、半年経って、今の会社にしてよかったなぁと思えている。

会社員のメリット、デメリット

何度も言うけど、会社員はとかく守られているので、自分の仕事でチャレンジできる。会社員こそ、チャレンジすべきなんだと思います。

だって個人事業主でチャレンジすると、必然大きなリスク伴うし、失敗がかなり大きなダメージになる。
会社員なら、その事業に失敗しようが辞めさせられない。
これは会社員の最大のメリットなのかなと思います。

あと、機能分化されてるから、事業側にいれば給与計算やらなにかの申請やら備品の入れ替えやら全部人がやってくれる。すごいよね。
一回一人でやるとすごい、ってことがわかる。

デメリットは、嫌なこともやらないといけないし、嫌な人とも付き合わないといけないし、納得のいかないことにも一応従わないといけないこと。
多くの大企業では、意識の差が個人間の能力の差としてはっきり出るんだけど、その差が必ずしも給料とか職位に反映されない。

自分のことは一旦棚上げして、社内を他部署も含めて見ると、この人ホント無能だし、やる気ないよなみたいな人が上にいたり、リーダーに人望がなくて終わってるチームもある。逆にこの人、人柄も能力もすごいよなーっていう人がヒラだったり、完全にマネジメント層の仕事をしてるのに評価はされども上の席が空かないから滞留してたり。

自分の仕事の範囲を限定して、不満ばっか言ってダラダラ生産性のない作業を繰り返し、社内をおしゃべりのためにうろつき、挙句終わらないからつって遅くまで残って残業代を新卒の給料相当額くらい受け取り、いっぱしの企業戦士面してる人もいる。

とは言え、サラリーマンにはサラリーマンの作法での戦い方があって、この半年仕事の範囲を増やしてきた。色んな人と仲良くなって、情報を集めて、一見関係ないことにも首を突っ込む。

みんなと仲良くしつつ、派閥には属さず。

どうしても納得いかない指示にはきちんと反論は残しておいて、絶対に提案を出しておき、実行するスケジュールも置いておく。

認められたらすぐにGoする。

今半年経って、ようやくスタイルが見えてきたので、今はすごく楽しい。

子供も生まれて、生活リズム的な点でも大企業に入ってよかったと思う。
でも、これ今の会社がたまたまホワイトだから良かったものの、ブラックだったらまた逆戻りだもんなー。

もし次転職するとしたら怖いわ。

とにかく、会社員こそ一回一人でやるってのは良いことだし、一回一人で始めても、また企業に戻るのもありって話。

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