キャンプ
タイトルはキャンプですが、これから書くのは、正確にはロケでのお話です。しかも10年ほど昔の。
今かなりのキャンプブームですが、僕はアウトドア派ではないので、自ら進んで重たい荷物を持って行って野外で寝泊まりしようとは思わないです。また、グランピングなるものもあるようですが、だったら高級ホテルと高級レストランに行きたいですし。
ただ、BBQは好きです。野外で肉焼いて食べるだけで美味しく感じますから。きっとその延長上にキャンプがあるのかなぁと思っていて、きっかけさえあればキャンプも好きになりそうな気はするのですが。
前置きはこれくらいにして。
10年ほど前にキャンプ場でロケをしました。テント組み立てたり料理したりとか、通り一遍キャンプ的なことをしたと記憶しています。
虫が苦手な僕は虫除けスプレーを全身に吹き付けます。もちろん蚊もたくさん出るから、蚊は相方の方に行ってくれ!という自分一人だけ助かろうという作戦でもありました。
そんな中、なんとカブトムシを見つけたのです。虫が苦手と言ってもカブトムシは別です。カブトムシが苦手な男子はほぼいないでしょう。10年前の話とはいえ、その時点でもうオジサンな僕にとっては、小学生以来のカブトムシなので、テンションが上がっていました。
その時の僕のとった行動。
カブトムシのツノをつかみ、持ち上げてひっくり返し
腹部をまじまじと見つめ
「これオスかな?メスかな?」
と言ったのです。
お分かりですね?酷いミスです。
自分のつまんでいるカブトムシのツノ。まさにこのツノこそオスの象徴なのに。ツノが生えている時点でオスと分かりきっているのに。
自分が博識である感じを見せようと、カニの雌雄を見分けるために腹部を見る、みたいなことをしたのです。
相方に「オスに決まってんだろ」と即答され、数秒して自分のミスに気づきました。すごく恥ずかしかったです。
当時の僕は、天然と言われるのがイヤでした。なぜならネタでツッコミをしていたから。ツッコミは、他の人の天然ボケをいじったり拾ったりするもの、そしてボケの人間よりもはるかに沢山の知識を持ち合わせているもの、と思っていたからです。10年後にはツッコミ業なんて放棄することになるのに。出来るツッコミ感を出したくて仕方がなかったのです。
相方に知識のマウントをとられたくない僕は、カブトムシでの失点を取り返そうという気持ちでロケを続けることになります。
僕は頭がいいはずなんだ。子供の頃から本とか図鑑とかたくさん読んでたし。勉強も出来たし。と。
BBQ用の炭に火を起こす程度じゃダメだ。炭に火をつけて得意気になるのは、アホのやることだ。そんなのはクラスで声だけデカいヤツが得意気にやる行為だ。
何かないか。
そして何かのタイミングで野草をちぎった時に気づきました。
あ、この葉っぱミントの香りがする。
!
ここだ!
先ほどの失点を取り返す好機!
ここぞとばかりに、僕はその葉っぱを相方に見せ
「これ、野生のミントじゃないかな?」
と言い、手渡しました。その葉っぱの匂いを嗅いだ相方は首をかしげ「んー?ミントの香りしないよ?」と言います。
ふふん、鈍感なヤツだ。僕はまた新たに葉をちぎり
「ほら、やっぱミントの香りがするって。分かんないかなー?」
と得意気に匂いを嗅いでみせます。
鈍感な相方には、ちぎりたてじゃないと匂いが分からないかな?と思い、新しく葉っぱをちぎって相方に手渡しました。そこで相方が気づきました。
「お前そのミントの香りって、虫除けスプレーの匂いじゃん」
虫除けスプレーの匂いでした。
目も当てられないオウンゴールで二失点目。
夏が来ると思い出します。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?