エッチなDVDを購入したときの話

特に新しいエピソードが生まれるような生活をしていないから、過去のお話でも書きましょうかね。

ということでエッチなDVDを購入した時のお話。

今の時代はエッチな動画はダウンロードですかね?ストリーミングですかね?どちらにせよ、違法ダウンロードはダメ!ゼッタイ!

エロには対価を払う世代の僕が若い頃、動いているエロを見るにはVHSをレンタルビデオ店で借りるか、謎の自販機でビデオを購入するかでした。少し時代が進んでDVDの時代になってもほぼ同じこと。借りるにしても購入するにしても、レジで店員さんと絡まなくてはいけない、そんな牧歌的な時代でした。

20代後半の頃に住んでいた家のすぐ近くにビデオショップがありました。ビデオショップとは言っても、レンタルではなく販売専門店。時代的に、もうほぼVHSよりDVDばかりだったかな。店舗の入口近辺のみヒット作の洋画が陳列されており、売場面積のおそらく8割以上がエッチなDVDのお店。そして売り上げのおそらく10割がエッチなDVDのお店。

当時NHKの爆笑オンエアバトルくらいしかテレビに出たことがないのに、僕はレンタルビデオ店で会員カードを出してエッチなDVDを借りることが、恥ずかしいと思っていました。そんな恐ろしく自意識をこじらせた僕にとって、販売店というのは身バレしない天国でした。とにかく、借りる時と返す時の二回レジに行く&会員カードで個人名も知られちゃうレンタルよりは、レジに一回行くだけでいい購入の方を選びたかったのです。

あと、エッチなDVDでの、返却忘れの遅延金なんて目も当てられないですし。ですんで断然購入派でした。

で、ある日。ベテラン刑事よろしく店内をくまなく歩き回り、足で稼ぐ旧式の捜査をし、その結果手にしたお目当てのDVDを手にレジに向かったところ、そのレジの、おそらく意識の低いバイト君が、信じられないルール違反をしてきました。

そういったお店の暗黙のルールというんですか?わび・さびというんですか?伝統的に正しい作法として、お客さんの顔をがっつり見ちゃダメじゃないですか?

でもね、その時の店員は顔を見るどころか、話しかけて来やがりました。しかも言うに事欠いて

「あれ?見たとある!お笑い芸人ですよね!?」

おいふざけんな!どんな所で顔バレしてるんだ!これは恥ずかしすぎるだろ!いや気付いても知らんぷりしろよ!という言葉が喉元まで出てきました。しかし僕はそこで平静を装い

「ええまあ。あ、領収書ください」

と言いました。そうです。これは仕事で使うんだ。あくまでネタで使う小道具なんだ。という、ビジネスな感じを出すことにしたのです。我ながら完璧な返しだと思いました。

そして代金を支払い、全く必要のない領収書を書いてもらう際、その店員さんに「宛名はどうしますか?」と聞かれました。

咄嗟に僕は

「あ、ハマカーンで願いします」

と言ってしまいました。「神田でお願いします」と言わずに。このコンビはネタでエロDVDを使うんだーと思われたかもしれない。自分がエロDVD見たいだけなのに、コンビの名前を出して巻き込んでしまった。相方ごめんね。心のなかで詫びていました。

と、その時、店員さんが腑に落ちたような顔で言いました。

「そうだ!ハマカーンだ!やっと思い出せた!」

あ、ハマカーンって名前までは知らなかったのね。何となくネタ番組で見たことあるお笑い芸人だなー程度だったのね。僕がコンビ名を言ってさえいなければ、思い出していなかったよね。でももうバッチリ覚えちゃったよね、エロDVDを買うコンビとして。僕の自意識のせいで。必要のない領収書の、必要のない宛名のせいで。

相方、ホントにごめんね。


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