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 わたしは友人の家に遊びに行ったときの、勝手に冷蔵庫の中をのぞくような、そんな罪悪感を抱きながらノートをひらこうと手をのばす。——だがその瞬間、『カン カン カン カーン』とゴングの音が聞こえ、その手を引っこめてしまった。どうやら店に備えつけられたテレビから発せられたようだ。

 そういえば今夜はプロレスのタイトル戦がテレビ中継される日だった。
 日本で大人気のコンビ『プリンケツ プリンケツ』というタッグ王者の防衛戦、と朝のニュースでやっていた。格闘技の類には興味がない(観戦も、もちろんプレイヤーとしてもだ)わたしでも名前は聞いたことがあるコンビである。

 気づいたら大将はテレビの前にいた。大将は無類のプロレス好きだと、この店の向かいのロシア料理屋のオヤジから聞いたことがあった(ちなみにこの店のボルシチは最高だ)。

 それは試合終了のゴングだった。画面に目を向けると、ちょうどリングアナウンスが勝利者の名前を告げるところだった。

『新タッグ王者は——

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