羽田衝突事故のJAL機「エアバスA350-900」の機体(CFRP)は、乗客防護の役割を果たした


事故機のJAL516便はエアバス(Airbus)社A350-900だったそうだが、機体の健全性について、いくつかの意見があるらしい。

胴体部分が全焼したことに対する不安とか、評価の違いといったことであろうか。



当方の素人見解をメモがてら書いておきたい。
(当然ながら、当方は航空業界とか機体製造等には一切関係がありません。株主等の利害関係者でもありませんので、念の為)


1)乗客全員が無事に脱出し助かったことが最大の実証

端的に言えば、これに尽きる。
海保機ボンバルディアDHC-8-Q300と滑走路上で衝突した(恐らく時速2百数十km?)と見られる事故で、全乗客・乗務員が脱出するまで機体の健全性が維持されていたことが、今回の人命保護に最も貢献したことであろう。


2)耐衝撃性

衝突した相手が小型機だったことを割り引いても、JAL機が海保機に衝突したと推測されるが、操縦席は維持されていたことが重要だった。

機体の下面に高速で襲ってきた多くの破片もキャビン内への侵入を全て防ぎ切ったと見られ、ジェット燃料の爆風・衝撃波にも耐えて客室は概ね健全性が維持された(火災によると見られる煙は侵入した。気密性維持は漏れが発生した可能性)。

前輪の脚部が折れて、胴体全部が滑走路に接地したまま停止するまでの数百メートルを滑走したが、機体表面の摩擦熱による発火もなく、大きな損傷なく停止したと見られる。


3)耐熱、難燃性

最終的に胴体部分は焼け落ちたが、不可解な消火活動の不備による影響はあるだろう。

海保機との衝突直後と見られる時点で、機体下部~左主翼基部付近で爆発炎上があり、その影響で主翼より前方部分の胴体左側面の広範に渡る火災が見られた。

これらの航空機燃料が機体表面を被覆した状態で燃焼時間が数分継続したが、機体本体の外部表面は燃焼しなかった。少なくとも脱出開始時点では、主翼より前方部の機体表面の初期火災は消えていた。


すなわち、航空機の燃料を大量に浴びた機体は、脱出終了までの数十分に渡り、外部表面は燃えず乗客の安全確保には十分な時間を与えることに成功した。それだけの十分な耐火性があったと見るべきでは。

NHK報道の焼け落ちるまでの様子は、エンジン付近と胴体下部の燃焼が継続しており、それと共に、脱出後と見られる左後方ドアから内部での燃焼が広がった。
次第に機体中央部(主翼付近)へと火焔が進み、窓が割れて内部に酸素が供給されたことで機体内部温度が非常に高温となったと見られ、機体の屋根部分へと着火、外部に火炎が出て開放空間となってからは燃焼が止まらなくなったようだった。


キャビン後方が焼け始めた時点で、消防隊の数や放水量が確保できていれば主翼基部付近で火の勢いを止めることはできたかもしれないが、機体の左側で消火作業をしていた消防車がたったの2台(右側の草むら側は勿論ゼロだ)では、放水の絶対量が不足していた。


見えてる範囲では、ランディングギアの主脚付近が高温に晒されたことでタイヤが燃焼したままとなり、機体下部の温度が上がり続けたこともキャビン内部の燃焼が止まらなくなった一因なのかもしれない、と思えた。


少なくとも、開放空間での「主翼の爆発、燃焼」は回避されており、燃料タンクへの早期引火という事態は生じなかったし、胴体部分の全焼が起こっても主翼は両翼とも残っていたというのが事実である。
特に右主翼は「消防による放水」がない状態であったにも関わらず、完全に焼損することはなかった。


炭素繊維複合材料(CFRP)の可燃性や耐火性に問題があり、事故機の損害が大きいとか乗客の安全性を脅かした、ということは見られてないように思える、というのが、当方の感想(結論)である。



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