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風とカメラとぷかぷかと。−第4回−

風とカメラとぷかぷかと。
─NPO法人ぷかぷかで生きる人たちとの交流記─

ー第4回ー 

2019/09/03 「まごころ」


午前中は仕事があったのでぷかぷかへは午後から行く。
天気は下り坂。
予報通り、訪ねる頃には雨が落ちてきた。
今日は何かと忙しく、用事を済ませたら撮影はせずに帰るつもりなので別に構わないけどね。

初めて商店会の駐車場を使う。
ぷかぷかにも近いし便利だ。
遊歩道に出る。
天気が悪いせいか、なんとも言えない気怠さが漂ってますな。

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ぷかぷかの前のシンボルツリーも不思議とお休みモードの気配。
夏の日差しに照らされた目が眩むような団地の白い壁や、地面にくっきりと輪郭を描くシンボルツリーの影もよかったけれど、細雨の中での歩道橋からの眺めも悪くない。
曖昧な輪郭線の景色もいい雰囲気。

残念ながら理事長さんは不在。
施設長さんと仕事の話をする。
この方も理事長さんに負けず劣らず優しさにあふれた方だ。
他のスタッフさんともお話をしてみたいけれど、
みなさん仕事中なので邪魔はできない。

用事が終わり、帰り際にベーカリーに寄る。
こんにちは!
例の「いらっしゃいませ」に負けないように少し声を張る。ぷかぷかさんたちもまどろんでいたのか、反応が少し遅れる。
「こんにちは・・・い、いらっしゃませ!」
たしか、前回来たときに何も言わずに扉を開けたらビシッと「いらっしゃませ」
だったはず。
今日はいらっしゃいまセンサー起動せず。
でもこんにちは!と言えば「こんにちは」で返してくれる。システマチックじゃなくていいじゃないか。

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おすすめは?
この前、袋詰めをしてくれた青年が素早くカウンターから出てきてくれたので聞いてみる。
少し迷ってから「クリームパン」。
もうひとつは?
「うーん」
そのとき背後から作業をしていた女性が、
「チョココロネがおすすめですよ」と話しかけてくれた。
大変失礼なことだが、僕は障がいのある方たちは何かに没頭していると他には気が回らなくなるんだろうと思っていた。
違った。
そもそも健常者と呼ばれる人の中にもそういう気が回らない人もいるからなぁ、などと反省。
思い込み、偏見をまだまだ捨てきれていない。
区別も。
なんだろう、この僕にこびりついた善意のような偏見は。気を遣いすぎて自分の思考がおかしいと感じることがここに来るとあるんだよね。
本当に無意識に気を遣いすぎている自分がいる。
もちろんそういうことが必要な場面もあるだろうけど、少なくともここではそんな気遣いは一切無用だ。

そしてレジ。
「310円です!」
おっとそうだった、彼もいた。
お仕事おつかれさんです。
あとで聞いた話だけど、彼は暗算が得意らしい。
それと国の名前とかの暗唱。
そういや中学のとき、そういう子いたかもな。

会計時に再び手書きのカードをもらう。
あとで見るのが楽しみなやつだ。
クリームパンを勧めてくれた彼が袋詰め。
パンを袋に入れる、その手つきがとても丁寧なんだよ。
クサイこと言うと、僕が買ったのは「パン」という商品だけではなくて「やさしさ」とか「まごころ」などの想いも一緒に買ってるんだろうな。
おいしくて優しい味のパンを食べながら、かわいらしいカードを眺める。
これが素敵な時間じゃないはずがないではないか。

ありがとうありがとう。
僕は心を撫でていく風を感じながらお店をでる。

雨はもうあがっていた。

・・・とかうまいこといったらカッコいいけどね。
雨はまだ普通に降ってましたよ。


続く。


ー本日のパンとカードー
クリームパンとチョココロネをチョイス。
どちらも甘さがちょうどよくて美味しい。
カードはかぼちゃかな?

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