SING2ネクストステージの主役は誰か


映画は人並みに好きですが全く詳しくありません。
卓弥くん(スキマスイッチ)推しがひょっこり観に行ったら想像以上に映画そのものが素晴らしかったので覚え書きをば。

詳しい人じゃないので
変な解釈や思い込みは許して(^人^)

これから観る方には
●作中に推しがいる方
●純粋にお子さんと春休み映画を楽しみたい方
●前作が好き
●ミュージカルが好き

な方には是非お勧めしたい。私のように何も考えずに映画を観にいってもちゃんと楽しめる!

お勧めしないのは、上記に当てはまらず、かつ
○映画に登場人物の細やかな気持ちの変化や理由となる事象の描写を求める方(大人)

登場キャラクターの多さ、歌唱シーンの多さゆえ110分の尺では↑を書ききれていないので

「え?もうそんな展開?」とびっくりしちゃうかも。

↓↓以下ネタバレあり↓↓

まず、今回この映画のプロモーションや予告で

奥さんを亡くして以来15年引き篭ってる大スターが舞台に復活

の部分が強調されすぎていて、誤解を生んでいると思う。

これは話の結末に向けて大きな要素の一つではあるが、本筋ではなく
この予告ではBクレイキャロウェイ=B'z稲葉さんが主役と思って観てしまう人が大多数であろう。


前作では「ショーの成功を左右する重要人物」
がミーナ=MISIAであり、準主役的な位置付けだったので尚更。

sing2の主役がバスタームーンで、準主役がクレイキャロウェイであったなら
この映画は単に"前作にキャラクターを増やした焼き直し"に留まっていただろう。

そうではない。
では主役は誰なのか。

私はポーシャ=アイナジエンドこそが主役であったと思う。
但し、映画はあくまで"ムーン劇場のみんな"視点で進むので
一見すると主役不在である。

ポーシャが親(クリスタル)への依存から脱却する成長物語と思って観れば
稲葉さんの歌もっと聴けると思った、、
という【肩透かし】を食らわずに済む。

クレイキャロウェイは作中でもそうであるように映画全体においても
"ビックゲスト"である。
主役でも準主役でもないので初登場シーンは映画中盤、セリフも少なく、彼を説得するシーンも歌一曲と紅茶にとどまる。

話が脱線するがこの紅茶のシーンがとても印象的。
クレイを説得しに行くと言うムーンに
「私は彼の大ファンで詳しいんだから、絶対交渉の役に立つ」と豪語して同行したアッシュが「飲んで」と渡す紅茶には蜂蜜が入っている。
その紅茶を一口飲んだ?香りを嗅いだ?(まだ鑑賞一回なので曖昧です)クレイは
「はちみつ入りか?」と驚く。
その後の会話のあとで「俺ははちみつ入りの紅茶は嫌いなんだ」と中身をひっくり返して捨ててしまうのだが
彼ははちみつ入りの紅茶が嫌いなのではない。
おそらく奥さんがいつも作ってくれた思い出の味で、
奥さんを思い出してしまう事が嫌い。が正しい。

大ファンのアッシュは彼の紅茶の好みを知っていて、気を利かせてはちみつを入れたのだと思う。
でなければ紅茶やコーヒーを振る舞うシーンで「お砂糖とミルクは?」と聞かずに勝手にはちみつ入れるやつがあるか。
ホットミルクじゃないんだぞ。

この辺り英語だとどのように言っているのか気になるけれど。吹き替えで見た私は以上の解釈。

で、110分という尺では彼が心変わりするに足る事象は紅茶とアッシュの弾き語りしか挟み込めない。

ゆえに、あっさり復活したように見える。
けれどそれでいいのだ。なぜなら彼は主役ではないのだから。

ポーシャ主役の視点に戻る。
彼女が初めて登場するシーンではクリスタルも一緒だ。だがクリスタルはポーシャに目線を送らない。
彼は娘可愛さに甘やかして育てたのではなく
娘に興味がない。興味がないので、欲求を満たしてやる方が自分にとって楽なだけ。幸い金はあるのだから。ポーシャが主役を降ろされた時も自身のネームバリューに傷を付けたと娘を怒鳴りつける。

ポーシャは舞台に立つ夢を見た、舞台に立つ運命なんだと言って主役をやることになる。
だが彼女は宙乗りをしたいと言っただけで主役をやらせろなんて一言も言わない。
舞台に立つ事で父親に自分を見てもらいたかった、健気な世間知らずである。

その後、あまりの大根役者ぶりにムーンに降板(役替え)を言い渡された彼女は父に告げ口する。これはわがままではなく"父への甘え"。
ところが父は娘の傷心を心配をしないどころか「泣いてうるさいから連れて行け」と追い出す。

そしてポーシャを父親への依存から救い出すのがミスクローリー!!
舞台の練習に映えドリンクとショッパーを両手にぶら下げて登場したポーシャに
ミスクローリーは「2時間遅刻!すぐに着替えなさい!」と怒鳴りつける。それも高所作業車に乗って拡声器越しに。彼女を上から見下ろすキャラクターは父親とミスクローリーだけ。

その時のポーシャの表情がたまらない。ポーシャはそれこそ逆ギレするかと思いきや、唖然として言葉も出ない。
彼女がいかに保護者(正しく叱ってくれる人)を必要としていたかがわかるシーンだ。

そして、父親にうるさいと追い出されて自室に篭るポーシャをクライマックスの舞台へ出演するようミスクローリーが促す。
このシーンも、窓越しに高所作業車に乗ったミスクローリーが拡声器で呼び出すだけなのだけど。
ええ、尺の問題で笑

でもちゃんと前のフリが効いているから、ポーシャがミスクローリーとどのような話をして劇場までやってきたのかを想像する余地が残るのは楽しい。

これをテンポが良いととるか、描写がないのを理由にご都合主義のお子様映画と切り捨てるのかはそれぞれだと思うけれど。
子供も大人も見られるバランスが素晴らしかった。

そしてポーシャは舞台袖から自分を睨みつける父に向かって「怖いものなんてないわ」と声高らかに歌う。

ハイティーンくらいと思われる彼女が、若さと自身のパーソナリティからくる自信と無鉄砲さを武器に父と訣別する。
自分の足で歩き出す。

なんて良い結末。こういうのが大好物。

と、長くなったけれど
SINGは推しを愛でる映画だが
SING2は推し映画である。

いまいちと思った人も、まだ観てない人も、推しがいる人もいない人も
皆んな映画館に行こう!!

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