早朝事件簿

本日4:55頃、事件は起きた。


ぐしゃっと音をたてて、みるみるうちに中の液体が床に広がっていった。


なにが起こったか理解できず、ただその液体の行方を目で追っていた。


あ、ついにやってしまった。


10年くらい、ずっと私を温めていてくれたもの。

これは何かのメッセージか。


都合のいい、いつも通りのセリフが頭に浮かぶ。


自分が思っているよりも、たくさんの液体が床を侵食していた。


とりあえず、バスタオルを床に置いて、二階にあがった。


バスタオルって普段使わないけど、いざというとき頼りになる。

私は冷静だった。

身支度をしながら、ふと、もしかたら、もう彼女はいないのかもしれないと思った。


今日からどうしようと不安にかられる事はなかった。


それについて考えるには、あまりにも時間が早すぎた。


それなら、それでいいんだ。


下に降りると、ほぼバスタオルがその液体を吸い取ってくれていた。


すこし、ほっとした。


もしも、この大きなバスタオルで手に負えなかったら、さすがに冷静ではいられないなと思った。


よし。


それらを紙袋にまとめて、メモになんて書こうかと迷ったけど、

湯たんぽを割ってしまいました。

とだけ書いた。


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