十三騎兵防衛圏について少し

ナノマシンへの記憶保存からのバックアップについて少し妄想などを。

沖野司シナリオで気になる事を言ってましたね。
「体内のナノマシンに記憶を保存してある。今の僕は一度脳が壊れリカバリされた模倣人格だ」
といったようなことを。

これについて、プレイ時も若干の引っ掛かりがあったのでプレイ後考えてみました。
実際にセクター0といったデータベースではなく、人体のナノマシンに記憶を丸ごと保存できると
したら相当無敵ですね。
脳が破損する都度、ほぼリアルタイムに近い同期で再生できる。
脳というハードディスクのオールタイムミラーリング状態です。

同時にこんな発想も思い浮かびます。

ナノマシンを保存用ではな速度処理のために使用して実質2つの脳で1つの対象を思考します。
すると単純に処理速度は倍ですね。所謂ストライピングです。
ではナノマシンが3つあればどうでしょうか。2つをバックアップに1つを処理に回して計4つの脳で処理を倍かつ常時バックアップ化なども可能になります。
同作品のナノマシンのサイズがどのようなものかは語られていませんが、増やせば増やす程強力でしょう。

脳の処理がクロックアップするという設定はSFでは割とよく出てきます。
古くは009の加速装置などもその一種と言えなくもないし、テッド・チャンの短編集「あなたの人生の物語」の中の一編では、投薬によって脳がクロックアップした主人公が描かれています。
脳がクロックアップすることで、視覚や身体能力も上昇し、例えばジークンドーやカポエラ等の達人の動画を見るだけで達人同等の戦闘力を持つように至ったりできます。
また思考能力が拡大しているので既存の言語では処理が非効率になり、独自の言語を生み出して、大幅に思考能力をさらに向上し、超人類としての境地に至る・・・といったお話です。
この短編集の中では、この短編は映像化されませんでしたが、タイトル作品は先日映画化されましたね。ファーストコンタクトものであり、こちらにも若干言語の考案要素が出てきています。

少し話が逸れました。
プレイ時にも思ったような記憶がありますが、記憶の情報量は桁違いなんですよね。
何故なら記憶は変化を含むからです。
人格が形成され成熟していくにつれ一つの記憶のタグが変化します。
例えば当時苦い記憶だったのが、歳を経たら甘酸っぱい記憶になるように。

この膨大な情報量であってもナノマシンに保存できるのであれば相当強いのですが、
それならばセクター0を敢えて開発する必要も薄れるわけですね。
そして、このゲームにおけるナノマシンの位置づけが、あまりにも万能すぎる事になってしまいます。
そうすると、良作品なのにSFとしての質が落ちちゃうんですよね。

といった経緯から私はこの作品をとても愛しているのでSFとして良質たらんと、理屈をこねくりだしてみました。
沖野が行ったナノマシンへのバックアップは、記憶をそのままバックアップしたのではないという仮説です。
前提として、ハードディスク(脳)というのは消去したとしてもそれは見た目上だけでデータそのものは裏に残ってます。
ユーザーインターフェイス上配列を変えて使用できなくしているだけなんですね。
Windowsパソコンでゴミ箱にファイルを捨てたり、ディスクをフォーマットするという行為がこれにあたります。
フォーマットしてもデータは残っています。
昨年サーバのハードディスク廃棄業者が廃棄を行わずフォーマットして転売するという未曽有の
情報漏洩事件がありました。
同事件は、購入者がツールを使用して元の情報を取り出し自治体の個人情報であることをつきとめ
発覚致しいました。

さて、沖野は脳内のマッピングを瑛君に行っていましたね。
「やはり32%程度では無理か」などというアレです。

この発言から、沖野の言うナノマシンへのバックアップは、パソコンで言うところのMBR
マスターブートレコード的な役割のではないか、という仮説に至りました。
パソコンのMBRはハードディスクにはありません。マザーボードの中に小さなプログラムとして存在し、
パソコンの電源が入れられるとまず彼が起動します。
そして、MBRは、ハードディスクの配列だけ知っていてその中のWindows起動キーを実行するところまでを、自らをコピーして実行してくれるんですね。
だから、沖野は騎兵汚染で脳がダメージを負った際に、あらかじめマッピングしておいた、このナノマシンの再生命令によって破損領域を復元したと考えることができます。
※旧MBRの技術は同様の新しい技術が現在は主流です。

沖野自身が、「脳が深刻な破損を受けてしまったらだめだと」言っていたことからも理屈が通りますね。
配列し直す事が不可能なほどの破損を受けたらバックアップできないという意味合いです。

以上蛇足、でした。

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