日中合作!祥子&睦の双子説の伝来と発展の全記録
おっ、ブシロードくん何か面白そうな企画やってんね~!
ということでnoteアカウントを作成しました。こちらの方では初めまして、春剣防具(はるけんぼうぐ)と申します。あ、タグいるんでしたっけ? noteには不慣れですし忘れん内に付けときましょうね、ヨイショっと。 #バンドリアニメMyGO感想文コンテスト
はてなブログの方ではIt's MyGO!!!!!の感想記事をほぼ毎話書いてきたのですが、何やらnoteでちょっとしたコンテスト企画をやっているということで、どうせならと参加したくなったというわけですね、ハイ。
いやしかし、本編の内容については各話感想記事で、既に書き尽くしたところもあります。だったら一体何を書くのかというわけなのですが、実のところ、各話ブログ記事とは並行して1人の中国語圏のオタクと交流しており、大変有意義な意見交換を行うことができました。その成果をちょっと披露しちゃいたいな~! なんて思った次第なのです。
ご存知の方もいるかもしれませんが、It's MyGO!!!!!は中国ではかなりのムーヴメントを巻き起こしています。中国系の方から投稿されるファンアートや、bilibiliでの賑わいからも、その熱量はこの島国にも確かに届くほどです。ニコニコは死に体なのにこの差は一体何なんでしょうね……。
そして、日本の10倍を誇る人口圏で人気が過熱していった結果、どうやら日本とは全く違う形で考察が発展していったらしく、その成果を日本人でありやたら長文で考察ブログ書きまくってる僕にも知ってほしいという願いが届きました。まあ5chもTwitter(X)もゾンビ状態の日本では考察どころかそよ彦ミームが独り歩きする始末だったのですが、そんなちょっとしたきっかけから始まった異文化交流は、極めて大きな成果の考察を積み重ねることができたと自負できます。
本noteは、僕が行ってきた大陸的朋友との交流と、それによる一つの強烈な仮説が育まれていく経緯を、ドキュメンタリー形式で紹介していく記事となっています。なお、交流相手であるFazeorさんには既に許可を取っています。快諾して下さったこと、そして、交流の過程で多くの刺激を僕に下さったことを、ここに改めて感謝申し上げます。多謝!!
第一章:伝書鳩は突然やって来た
ふ~、終わった終わった!
それは12話の感想記事を書き終えた頃のことでした。この記事では豊川祥子に兄がいるなどと妄言も大概にしろと言いたくなるほどの仮説をでっち上げて悦に浸っていたわけなのですが、どうやらこの記事が中国のゲーム系フォーラムに紹介されたみたいなんですね。はてなブログのアクセス解析からも、その事実は伺い知れたのですが、事態が動いたのはPixivの個人宛メッセージからでした。
何だ何だ何だぁ~っ!?
恥を偲ばず申し上げましょう。最初、ちょっと胡散くせぇとさえ思ってしまいました。この瞬間こそ紛れもなく、これ以降僕にとってIt's MyGO!!!!!の理解を深めさせてくれる朋友との出会いだったのですが、それこそ猫ぐらい警戒心が強い性格なので、まずは身構えるところから始まりました。
ただ、その一方で、機械翻訳越しであったにしても、MyGO!!!!!に対する熱意が滲むメッセージであったことも事実。この想いを無碍にすることにできないとも思いました。フン、おもしれーオタク。そのため、半信半疑ではありましたが、こう返答してその後の意見交換を承諾しました。
うっわー、こいつ夜間帯の仕事であることを利用してちょっと距離取ってるよ!!
お前本当そういうとこなんよな。我ながら変に防御的な姿勢を取りながらの承諾だったと反省しています。その後も割と深夜にやり取りすることが多かったくらいに夜間帯の仕事であることは全く逃げ場として機能しなかったのですが、今となっては本当にそれで良かった。斯くして、ここから僕とFazeorさんとの数百に及ぶメッセージのやり取りは幕を開けました。
なお、以降はFazeorさんが中国で活発に議論されている話題を、Pixivのメッセージを通じて僕の下に持ち込み、それに対して僕が何かしらの考察を返す形で発展していくことになります。言わば、彼?(性別は聞いていませんが、本記事では以降、便宜上代名詞を「彼」で統一します)は僕にとっての伝書鳩でした。あ、ちなみにアイコンの小鳥は飼っている雀だそうです。可愛いですね。
本当に何度も何度も、中国のフォーラム上で提示された説を、足繁く僕の下に持ち寄ってくれたわけなのですが、これをPixivのメッセージという閉じた空間でほとんど独占していたに等しい僕は、我ながら果報者であったと思います。一応、目ぼしいものはTwitter(X)にスクリーンショットとして流すようにはしていましたが、本当に恵まれた境遇でした。
第二章:姉妹説、伝来
さて、中国のフォーラム等では主流となっている説があるそうで、それは祥子と睦が姉妹なのではないかというもの。
の、のっけからとんでもない爆弾が飛んできたなあ……!!
このメッセージ上のやり取り、初手が本当にこれだったのです。とんでもない説が提唱されたもんだと思いました。祥子の言う運命共同体ってFateシリーズのことだったの!? とはいえ僕はまだ彼とのやり取りに身を乗り出しきれておらず、この日、うみステEP1のアーカイブ配信最終日だったこともあり、そっちを観てから反応しようかとも思っていました(最悪!)。まあ、単純にこの時点では2人が姉妹だとは完全に考慮外だったので、咀嚼に少々時間がかかったというのもあります。とりあえずこの考察をTwitter(X)に放流したところ、僕より素早く咀嚼し、この説に反応したのはフォロワーのthzaqさんでした。
今回の感想文企画では使用できる本編画像がレギュレーションされているため、スクリーンショットは省かねばならないのですが、機械翻訳された説から瞬時に証拠を集めて論理展開していく姿は流石でした。ここで僕も襟を正し、うみステEP1のアーカイブを一旦放り投げて姉妹説に向き合うことにしました。
なお、放流しきれてなかったのですがピアノの根拠はFazeorさんの方で羅列してくれていました。最初からそれも放流しとかんかいボケ。いや、すみません。仕事帰りに一気に情報詰め込まれて色々混乱してたんです。うみステ観たかったし(そればっかりかお前)。
この羅列された根拠の中で、最も興味深いのは3の東京の地名というもの。この時点では地名由来は変身後の月の海に限られたもので(この辺りもthzaqさんがまとめた記事が詳しいです)、変身前の姓については東京の地名とは無関係かなと思っていたのですが、どうも中国の方、日本人より日本の地誌を調べる能力あります。
普通に日本人として敗北感を覚えた瞬間でした。
ともかく、以降完全に前のめりとなり、Fazeorさんとのやり取りを精力的に行っていくようになります。最初からそうしろ。あ、ちなみにうみステEP1のアーカイブは、この深夜に半分ほど観終えた後、起きてから夕方に後半を観てちゃんと視聴完了しましたよ。
第三章:忍び寄る「交換」の気配
この最初のやり取りが交わされた夜は、前述のthzaqさんの参考に……というかほとんど丸パクリしたものを、Fazeorさんに対して返信して一度交流は途絶えます。いや、しょうがないんだ! だってPixivの個人メッセージなんていう閉鎖的な場所でやり取りしてるんだから!(thzaqさんのことは彼にもちゃんと紹介しましたよ)
一応整理しておきましょう。この時点で進んでいた考察は、双子或いは異母姉妹だった祥子と睦が、片方養子に出されて今に至るというものです。ちなみにこの説は中国ではかなり主流派になっているそうで、多くの中国人がこの説を議論しているそう(僕の下に流れてきたのもその熱の一端でしょう)。これだけでもかなり刺激的なのですが、翌日に投稿された次の考察から、姉妹説は更に入り組んだものになっていきます。
よう気づいたなこんなの……。
流石にこれを見せられた時には背筋が凍る思いがしました。なお、この後には4話の黒板のさらさら雪(著:山岬乾次郎)の元ネタ、谷崎潤一郎の「細雪」から、2人が姉妹であることを暗示しているのではないかとも提案されます。自分でも調べたところ、Choir 'S' Choirが匂わせるように姉妹の認識違いが発生しており、しかも妹の方が人形作りをするという点から、「細雪」の影響を無視するわけにはいかなくなりました。
「細雪」は本記事執筆中もまだ読み始めた程度なのですが(全3巻のかなり長い小説なんだ!すまない!)、子供の取り違えと聞くと非常に既視感がありました。
うみねこはともかく、ルーツとして疑っていいのはIt's MyGO!!!!!にも脚本参加されている和場明子さんがシリーズ構成を務めたBLUE REFLECTION RAY/澪。双子の姉だけが蝶よ花よと溺愛され、妹は苛烈な虐待を受けて最終的に殺される、かなり過酷なエピソードがあります。
ただ、「細雪」で人形師になるのは妹の妙子なので、それをなぞるならば姉妹の上下関係は睦が姉で祥子が妹ということになるのですが、家庭で辛い思いをしているのは睦の方なので、そこは転倒しているように思えてしまいました。この時点では。その印象は、考察を進めていくにつれて逆転していくことになりますが、その話はまた後ほど。
祥子と睦の上下関係は、他のキャラクターとの対比からも説明できました。まず、妹である立希は祥子に対抗意識を燃やしていましたし、「みんなのお姉さん」のそよを気にかけていたのも睦。ここは対応するだろうと考えましたし、この点はFazeorさんからも賛同頂けました。中国のフォーラムでも睦を姉と見る向きが多数派のようではあります。
第四章:養子と双子のトリレンマ
一方、判然としないのは祥子と睦が同じ親から生まれたのかという点。何かしらの形で入れ違っているならば双子と見る方が濃厚でしたし、僕もこちらを有力視していました。ただ一方、異母姉妹であることを否定する根拠にも欠けたため、祥月と睦月の入れ替わりの例として、睦の誕生日が河童忌(祥月命日)、祥子の誕生日が1月(睦月)という説なんかも一応提示しておきました。とはいえこれだと苦しいなあとも思っていたところ。やはり双子と考える方が何かとしっくり来ます。
なお、この間には豊川家の邸宅が旧古河庭園をモデルにしていることから、養子に出された古河潤吉や古河虎之助の史実をなぞって、芸人の若葉や森みなみも片方は最初は豊川家の人間だったのではないかという説が出されました。両家の情報が少なすぎるため、この辺りはまだ何とも言えないところなのですが、キーマンが芸人の若葉なのは間違いないだろうとは思いました。ただ、このお笑い芸人について考えれば考えるほど迷宮に立ち入ることになります。祥子と睦のどちらが養子なのかという根本的な問題です。
とりあえず、習い事でネグレクト同然に扱われている睦が養子である方が自然だろうと考えていました。お笑い芸人だった父にとって、娘が笑わないのはプライドを傷つけられるものだったと思います。しかも祥子の前でだけ笑うとかならば余計に……。その末の習い事による育児放棄なのだと考えていました。
ただ、他人の笑顔を喜ぶ祥子はお笑い芸人の父の血を継いでいそうなのも事実。だったら祥子が養子なのでは?
じゃあもういっそ両方養子って考えるか? ただ、それだと双子説を捨てなければならない……。
そう、「睦が豊川家から養子に出される」「祥子が若葉家から養子に出される」「睦と祥子が双子」の3要素は同時に両立しないトリレンマになっていました。正直、かなり困っていたところでした。
ただ、この少し前、旧古河庭園の話の直後に、本当にさりげなくですが以下のメッセージがありました。このメッセージこそが、さきむつ姉妹説に決定的な進展を与えたアイデアでした。
プリンセス・プリンシパル……それだ!!!
第五章:入れ替わり双子説、爆誕
プリンセス・プリンシパルという作品の根幹をネタバレしてしまい恐縮になるのですが、この作品、とある少女同士が幼い頃に入れ替わってそのまま相手の人生を生き続けているというとんでもない設定が途中で明かされます。スパイアクション作品でもある本作の主人公たちは、生き様がスパイなのです。劇場版も展開されているくらいに根強い人気の作品ですし、よろしければ視聴してみて下さい。間違いなく激烈に面白いので。
さて、双子が幼い頃に入れ替わってそのまま人生を続けている。この仮定が成立するならば、先程のトリレンマは一瞬で解決します。どちらも生まれた家と育った家が違うのですから。先程の「Choir 'S' Choir」MVの転換トリック、そして、「細雪」で姉妹が名前を間違われたこと。全てが繋がりました。この時は脳内でFinal Answerが鳴り響くくらいの高揚感を覚えながら、Fazeorさんに以下のメッセージを送信したものです。
豊川祥子の笑顔を好む性分
若葉睦に対して行われている習い事ネグレクト
初華と祥子で島での記憶に食い違いが生じていること
そして初華と睦が同じ7弦ギターを弾いていること
この説でなら全てが説明できると、この時点では確信しました。まあ習い事ネグレクトについては後に誤りだと判明するので、脳内BGMは謙虚にDread of the Graveくらいにしておくべきだったかもしれません。そしてまた、この無能な青き真実は、Fazeorさんからも破られることになります。
か、カラオケボックスかぁ~!
そう、3話のカラオケボックスにはしゃいでいた祥子ですが、睦の家にはカラオケ設備があるのです。つまり、祥子は長らく若葉家に立ち入らなかったということになります。この議論は12話時点のものなのですが、13話では普通に若葉家を訪れていたことからも、この部分は一つのキーになってきます。そして、このカラオケボックスがずっと入れ替わり双子説のアキレス腱でした。
それから、この入れ替わり双子説をドヤ顔でTwitterにも流したのですが、フォロワーの一部からは「親や初華を簡単に欺けるのか」という指摘もされました。姉妹ですらないプリンセス・プリンシパルが出来てるんやしイケるんちゃう? とこの時点では軽く考えていましたが、その後の議論の展開から言えばこの点を軽視するわけにはいかなかったと今では考えを改めています。きちんと忠告を聞くべきでした。謙虚になろう、な!?
ともあれ多数の穴を残しながらも、入れ替わり双子説を前提に以降の議論は細部を詰めていく作業になります。
第六章:ネグレクトクソ親父なんていなかった
この後は、主として祥子と睦がどの程度スキャンダルを恐れているのかという部分に焦点が当たりました。豊川家は家業が分からないから何とも言えませんが、少なくとも睦からすれば自分たちの入れ替わりがバレたら芸能人の両親が醜聞に晒されそうなもの。実際、祥子が能天気にもそよから写真を撮られている一方で、睦の顔が曇っているのは示唆的だという意見が出されました。
ですが、2話の様子からも、睦と一緒にいることを周囲に見られまいとしており、今現在スキャンダルに敏感そうなのは祥子の方でした。この時期に僕が提案した祥子の心境の変化は、以下のようなもの。
この頃、「祥子の兄がカネのために音楽をやっていて祥子はその考えに反抗している」とかの可能性を考えていたので先頭がそうなっているのですが、兄の存在と一緒に忘れて下さい。
ともかく、重要なのは「顔と数字」。顔が割れることと数字が伸びることの影響をこの時に知ったとすれば、今のAve Mujicaにも繋がるように思いました。まあ、13話が終わった今ならば、あの瞬間にクソ親父に存在を嗅ぎつけられたと読むべきなのですが、「顔と数字」という言葉の有効性はまだ生きているかなと思います。
その一方、睦が有名になったのはいつからなのかという疑問が呈されました。上のメッセージにおいて、そよが睦の家庭事情を知らなかったというのはカラオケボックスでの「芸能人さんとか来るの?」からあり得ないのですが、CRYCHICの解散後に睦がTV出演するようになったという提案は通ります。あの時点で睦がテレビに出演するほどの有名人なら、無許可に写真を撮ってアップロードする行為自体が大問題です。あとは留学帰りの愛音が睦に気づいていなかったことからも、有名になりだしたのはつい最近の可能性が出てきます。
割と盲点でした。てっきり、子役のように子供の頃から出ずっぱりなのかと思っていましたが、種々の証拠は最近になって睦がテレビに出るようになったと告げています。そのことから一つ、発想の転換が必要になってきた部分があります。父である、お笑い芸人の若葉の人間性についてです。
これまでずっと、若葉のことをネグレクトクソ親父なのだと思い込んでいましたが、実は真逆なのだとしたら? CRYCHICの活動が父親の目に止まり、それを心から喜ぶ子煩悩パパだったとしたら?
「睦ぃ! お前も芸能活動に興味持ってくれたんやなあ!!」
ここから一つの物語が見えてきます。あのバレエやピアノといった習い事の数々は躾の放棄などではなく、芸能活動を始めた娘のために全力でサポートをしてくれた善意の親心なのではないかというものです。それが娘の声を聞いたものかはともかく。だって若葉睦さん、感謝の印にきゅうり寄越すくらいには不器用なので、きっと親御さんが誤解して喜んでくれたらそれに従っちゃうと思うんですよ……。
第七章:Ave Mujicaの首謀者は若葉家である
その後は豊川家が没落していない仮定のもとで話が進んだのですが、結果的に没落してたのでこの話は割愛しましょう。ちなみに、中国の方では豊川家と若葉家の確執がAve Mujicaの物語を展開するという見方も根強いらしく、そこから論が展開されたのですが、僕としてはこの方向性には明確に「否」の姿勢でいます。
MyGO!!!!!やAve Mujicaがこれほどまでに重苦しい展開を続けているにしても、BanG Dream!は『少女たちの物語』であるべきです。家同士の確執になってしまうと『親子の物語』、果ては『親同士の物語』になってしまうため、どうしても受け入れられないなと思いました。親の存在はあくまで「原因」の枠を出るべきではないというのが根本的な考えです。
ただ、この最中には祥子と睦のカラオケボックスの問題を解決する手段が一応は考案できました。幼い祥子と睦が、入れ替わりがバレないためにもお互いの家に近づくのはやめようと誓い合ったというものです。これなら、お互いの家の事情を知らなかったことも理解できますし、結果的にはやっぱり初華と若葉家にはバレたのだとも思います。この辺の話は最後にまとめますが、若葉家にもうバレているならば、13話で祥子が訪問したことも説明がつきます。もう隠す必要はないので。
さて、13話が放映された後の最大のトピックは、何故陸が最後のメンバーになったのか。そもそも本当に最後のメンバーだったのかという点でした。
とはいえこの文章はヒデェ!
機械翻訳の限界という感じで、最初、僕はこのメッセージの意味を全く理解できず、中国語の原文を送信して頂くよう頼んだくらいです。こちらで工夫して機械翻訳にかければ何とか読み解けるとは思いましたし、その価値のあるメッセージだろうという確信も何故かありました。その後何度かやり取りした結果ようやく理解に至ったのですが、要旨としてはこうです。
うーん、見事!!
これなら両家の問題はコンパクトですし、きちんと『少女たちの物語』です。おそらくこれが最後のピースなのではないかと思いました。作中では度々ネグレクトをしているのではないかと疑われながらも、実は善性に溢れていた若葉家が、元は自分たちから生まれたもう一人の娘のための蜘蛛の糸として垂らしたのがAve Mujicaだった。地獄に落ちた少女の救いは糸で繰られるお人形になることだったというわけです。表象としても完璧だ!!
まとめ:青き真実
それでは最後にここまでのやり取りを総合し、一つの物語として組み上げてしまいましょう。これが僕と中国のオタクで共同して作り上げた、青き真実の決定版です。推奨BGMはdreamenddischargerです(謙虚さが足りねぇよ)。
若葉家に双子が生まれ、豊川家が死産する。
今の睦が豊川家に養子に出され、「祥子」と名付けられる。
今の祥子は若葉家に留まり、「睦」と名付けられる。
豊川家ではピアノの英才教育が行われ、「祥子」はついていけなくなる。
一方で「睦」はピアノに興味津々。そして天賦の才があった。
ピアノをやりたくない「祥子」とピアノをやりたい「睦」、2人はお互いの住む家を入れ替えようと共謀し、実現する。
入れ替わりが両親にバレないよう、お互いの家には絶対に近づかない約束をする。月ノ森では会えるので2人はそれでも平気だった。
この頃はまだ優しかった「お父様」からピアノを教わる祥子。その才能を順調に開花させていく。
事業の失敗か、はたまた音楽で夢を撃ち抜こうとしたのか、「お父様」が家を出ていく。
数年後、祥子が島の別荘で初華と出会う。この時に虫取りに誘ったのは初華。
翌年、祥子が病気になるなどして、睦が代わりに島に行く。
祥子に扮した睦が初歌と出会う。祥子から話を聞いていた睦は、自分から虫取りに誘う。
この時に初華が7弦ギターを弾くのを目撃。ピアノとは違う音楽に心奪われる。
島から帰ると早速ギターを購入。もちろん7弦。以降、ギターに夢中になる。
また数年後、CRYCHICを結成。そよ、燈、立希と知り合う。
そよがSNSアカウントを作成。ライブも大好評。そしてSNSも盛り上がってしまう。
そよのSNSをきっかけに、祥子の居場所がクソ親父にバレる。多額の借金を抱えており、ここから豊川家の没落が始まる。
そよのSNSをきっかけに、若葉家では睦と祥子の入れ替わりがバレる。とはいえ両親は睦が芸能活動に興味を持ってくれたことの方が嬉しく、後押しとして各種の習い事を勧める。睦はこれを拒みきれない。
そよのSNSをきっかけに、初華がCRYCHICの存在を知る。おそらくこの時点で以前自分が入れ替わりトリックを仕掛けられたことには気づいた。
睦が両親のコネからテレビに出始めるようになる。習い事とテレビ出演の忙しさから祥子とは徐々に疎遠になる。
豊川家では母親がクソ親父を追い出そうとするが、ピアノを教えてくれた恩義のある祥子は「お父様のためなら何でもしますわ!」と口走ってしまう。以降、赤羽のボロアパートで介護生活が始まる。
祥子が特待生制度を使って羽丘に入学。コールセンターのバイトも始める。屋敷の風呂を使わせてくれるのは、母親のせめてもの親心か。
あまりの生活ぶりを見兼ねた睦と若葉家がAve Mujicaの結成を提案。祥子も当初は拒むんでいた。睦も当初は参加しないつもりだった。
春日影の再生産でCRYCHICの美しい思い出をズタボロにされたことで翻意。手始めに初華を勧誘する。
海鈴、にゃむと順調にメンバーを獲得。祥子は睦もメンバーのつもりでいたが、睦本人は首を縦に振らない。
迷路日々のライブから、そよと睦が完全に決裂する。見守るだけでは何も救えないし手に入らないと気づいた睦。ここでAve Mujicaへの参加を決意する。
祥子の最終確認に首を縦に振る睦。斯くしてAve Mujicaは結成する。
以上!!!
これが現状の情報から類推できる、最も矛盾のない祥子と睦の双子説ではないかなとも思います。一つあやふやなところがあるとすれば、豊川家が祥子と睦の入れ替わりに気づいているかというところなのですが……僕としては気づいていない方を推したいところです。その方が入れ替わりに気づきながらも睦や祥子を受け入れている若葉家とのコントラストが鮮明になりますし、何より、13話の人形劇の内容とも合致すると感じるからです。
人形劇の内容では、オブリビオニスがモーティスを人形のように可愛がっており、この点は既存のイメージ通り。ですが、モーティスがオブリビオニスを「お姉様」呼ばわりしているところは少し引っかかるもの。情報が少ないとは言え、他のキャラクターとの絡みからも、睦の方が姉、祥子の方が妹と見たくはなるからです。つまりは、反転。旧来のバンドリから様々なものを反転させているこの作品らしいギミックが、この人形劇にも仕掛けられていると読むのは別段突飛なことではないでしょう。
そうするともう一つ引っかかるのは、人形としての苦しみを「愛されないこと」とモーティスが述べるくだりです。本記事で書いたように読むならば、若葉睦は両親から溺愛されすぎているくらいなのです。あまりにこのセリフとは剥離しているように思えますが、ここで姉妹関係をひっくり返すぜ!
愛されていないのは、若葉家とは対照的に姉妹が2人揃った姿を見ても、両親が入れ替わったことに気づいてくれない豊川祥子の方。では祥子が語った「忘却されること」とは? 入れ替わりに気づいたのに昔ピアノを嫌がってたことを思い出してくれない、若葉睦の方なのではないでしょうか。
さて、この青き真実が脚本の魔女ユニコリーチェ卿の心臓を貫けているかは定かでないのですが、とりあえずそれらしい真実は提示できたのではないかと思います。ひとまずこの仮説を叩き台にして展開編Ave Mujica編を待ちたいと思います。ところでキービジュの祥子様、めっちゃ肖像画ですよね。大丈夫? その絵の前に碑文とかない?
ああいえ、碑文の謎解きはもうLINEに書かれてたんでした。何ていうか本当に、懐かしき故郷を貫く鮎の川くらいの住み心地を、Ave Mujicaからは感じます。そういえば三角初華/ドロリス役の佐々木李子さんは、以前CS版の主題歌を担当したこともありました。
ちなみにそれこそFazeorさんから、同じシーンでも3話の燈と9話のそよで見ている光景が違うという見解が提示された時には身の毛がよだつ思いがしました。ゲロカス妄想か???
ちなみに主観がどれだけ違っても関係する全員が認めた嘘なら客観すら勝る真実になるというのは僕の敬愛する作品では黄金の真実と言われます。この度舞台版EP2が上演された、楽奈役の青木陽菜さんも出演するこの作品は、もしかすると本当にAve Mujicaを語る上で欠かせない作品になるのかもしれません。芸人の若葉についての考察も、彼が娘へ向ける愛がなければ視えないとでも言うべきものでしたし、Ave Mujicaの物語はそういったアモーリス=愛を理解する物語になるような気がしています。あ、ちなみに来年2月に舞台EP3の上演も決まったそうです。僕自身はEP1はアーカイブ、EP2は配信での視聴になってしまいましたが、EP3は劇場に足を運ぼうと思います。MyGO!!!!!のオタクも是非来てね!!(宣伝)
そして最後になりますが、この度の中国のオタクとの交流を通じて起きた、僕自身の変身を語ろうと思います。
えー、中国語の勉強を始めました。
これまで僕が知ってる中国語と言えば你好と謝謝と苹果と救命阿くらいだったのですが、これもいいきっかけだと思って勉強しようかなと思った次第になります。まだブログやらこのnoteやらに追われて基礎発音くらいしかまだ出来ていないのですが、MyGO!!!!!シーズンが終わったら本腰入れて始めてみたいなと思っています。Ave Mujica編はもっと考察のしがいのある作品になってるみたいですし、多少はこちらからも中国語で発信できるようになっていればいいですね。あ、ハイ、頑張ります。
なお、漢字の書き取り量が担保できそうだという理由で買った漢字練習帳のア・テンポノートジャポニカ学習帳を開くと、コラム欄がケープペンギンで流石に笑ってしまいました。こういうのもちょっとした運命なのでしょうか。
ともかく、僕のような引きこもり気味なオタクが遠い中国のオタクと意見交換できたこと、そして中国語を勉強しようというきっかけを与えてくれたことは、このIt's MyGO!!!!!という作品の熱量あってこそのものだったと思います。It's MyGO!!!!!はこれまでのバンドリのコンセプトを反転させた作風なのだと思いますが、CiRCLINGの輪を広げる役割は変わらず継承され、遠く大陸の地にいるオタクと、島国の僕とを繋いでくれました。
この事実からも、It's MyGO!!!!!というバンドリを拡大させるプロジェクトは、一つの成功を見たのだと思います。バンドリらしからぬ物語で今までにない層の心を掴み、それでいてバンドリらしく輪を広げたのですから。一ファンとして、その輪を広げる一助として、今後も中国語の勉強をしてみようかと思います。我會盡力而為!(がんばります!)
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