Backlog World 2021 旅 ~Journey~ オンライン 参加リポート(その2)
その2では公募ミドルセッションについて報告します。
公募ミドルセッション#1 「Go To Eatキャンペーンを支えたプロジェクトマネジメント」
スピーカー:Retty株式会社 常松 祐一氏
・日本最大級の実名型グルメサービスRettyにおいても、「Go To Eatキャンペーン」に対応する必要に迫られました。
・しかし、このプロジェクトには、次のような難しさがありました。
①スケジュール最優先
②要件・仕様が日々かわりうる
③全社が関係、ステークホルダーが多い!
・そこで、常松さんはメンバーが自律して動ける仕組みを整備しました。
・仕組み1:情報の一元化とオープン化
Slackのチャンネルは1つのみ → 何でもそこに書き込む
議事録はGoogle Docで1ファイル → どんどん追記する
設計書はGoogle Spredsheetで1ファイル → どんどん追記する
会議(Google Meet)はROM専OK、誰でも参加できる
・仕組み2:初期ミーティングを頻度高く実施
毎日1時間ミーティングを実施
具体的な実装に入る前にユースケースを洗い出し、データの流れ・システムの挙動を十分に話した
・仕組み3:プロジェクト全体の進め方を揃える
リスクが大きい機能から順に着手する
メディア側開発は利用者の多いスマホWeb・iOSを優先
↑
toCよりもtoB、AndroidよりもiOSを優先し、専門・持ち場を超えて協力して欲しいことを明確にした
・仕組み4:決定はできる限りチームに委ねる
決定は開発チーム・実装担当者に基本委ねる。
決められないものはエスカレーションを上げてもらう
その結果
農水省の準備状況を見ながら進めることができ、休出もPRJ全体で2人日でカットオーバーにこぎ着けた。
後半になるに従って開発リスクが下がり、スピードが出るプロジェクト推進ができた。
仕様変更が何度かあったが、メンバー主体で調整し、迅速に対処できた。
まとめ
スケジュール最優先&要件・仕様が変わる&ステークホルダーの多いプロジェクトは『メンバーが自律して動ける仕組みを整備』して対処
これからの課題:プロジェクトの学びを組織に蓄積していく
常松さんの講演内容は以上です。
公募ミドルセッション#2 「PJメンバーで共有する「プロジェクト憲章」ことはじめ」
スピーカー:株式会社サービシンク 名村 晋治氏
名村さんのセッションは、次の3部から構成されています。
・プロジェクトマネジメントとは?
・メンバーが自発的に働ける条件
・プロジェクト憲章とフォーマット
・プロジェクトマネジメントとは?
「プロジェクトマネジメントって何?」という疑問については、backlogブログ
に面白く解説しています。是非ご覧ください。
ちなみに、名村さんは、「どのように人に動いてもらうか?」に観点を置いて、プロジェクトマネジメントについて、話をされています。
・メンバー、自発的に動いてる?
名村さんは、Webディレクターのこんな愚痴を紹介しています。
・自分はクリエイティブの細部まで詳しくないんだから各自がもっと主体的に動いて欲しい・・・
・みんな、全部ディレクターに聞いてくる
これを名村さんは、『あんたが悪い』と切って捨てます。
クリエイティブを発揮するために必要な情報を開示せずに、主体的に動くことを求めるディレクター側の問題点を指摘しました。
それは、「前提条件が分からない中で動けるのか?」ということです。
↓
・自主的に動くとは「あの条件であれば、ここまでやった方がいい」と考えられる情報が必要
・その条件が与えられなければ「言われたとおりする」しかやりようがない
・さらに「言われた」情報が少なければ、ディレクターの思い描く以上のものを作れるはずがない(想像しようがない)
だからこそ、Webディレクターの責務は
仲間への情報整理をし、共有すること
なのです。
・プロジェクト憲章とフォーマット
プロジェクト憲章とは次のような定義です。
でも、こんな抽象的な概念じゃ、「何すりゃいいじゃ?」、「わかんないよ!」ですよね。
そこで名村さんは10個の具体的な内容にプロジェクト憲章を落とし込みます。
1. プロジェクトの目的
2. プロジェクトのゴール(測定可能な成功基準)
3. プロジェクトの概要、作業範囲
4. 前提条件・制約要件
5. ハイレベル要求事項
6. 予算(概算から本予算へ)
7. リスク
8. 制約マイルストーン
9. ステークホルダー(利害関係者)をリスト化
10. プロジェクトマネージャーの名前
です。
プロジェクト憲章の必要性は、
「そもそも何をするのか?を共有」→共有することでクリエーターが動ける
と説いています。
クリエーターは「作業者」ではないのです。
名村さんは、「プロジェクト憲章」の策定が終わりとは主張していません。さらに大切なことがあることを我々に提示してくれました。それが、『情報の共有』です。
・情報の共有
プロジェクト憲章は、
・「作る」ことでなく「使って」こそ意味がある
・作ったものは「相手が理解」していなければ無意味
・共有するまでが「プロジェクト憲章」作り
これが名村さんの意見です。
そのために重要なのが情報の共有なのです。
情報の共有が、プロジェクト成功の鍵を握っているのです。
そこで、名村さんの会社 株式会社サービシンク ではBacklog での情報共有を徹底しています。
Backlogの利用に対して否定的なスタッフは、場合によっては切ることもある位徹底しています。
名村さんは、「調べている時間は仕事をしている時間じゃない。」というコンセプトを持っています。
そこで、Backlog上にwikiを登録するための共通テンプレートも用意しています。
うーん。スゴいです!!
・文書の書き方
もう1つ、名村さんがこだわっているのは、文書の書き方です。読み手が分かる文書の書き方には、多くの知見を持っています。
それがこれです。
是非、こちらの資料もみてください。
名村さんのセッションまとめは以上です。
(その3に続く)
川越在住。映画と音楽、お酒とラーメン好きのソフトウェアエンジニアです。 ビールは、ハートランド(KIRIN)。 🍜は、いろいろ。 好きな音楽は、クラシックギターとピアノ。好きなバンドは、ミスチル。好きなマンガは、「3月のライオン」。