淡々と

残業を終えて、だれもいない部屋に帰る。
夏から初めての一人暮らしを始めた私は、まだ、その開放感に浸っている。

手を洗い、晩御飯の用意を始める。
蒸したさつまいも、パーキングエリアで買ったさつま揚げ、ほうれん草とたまごの中華スープ。
旅行帰りの冷蔵庫は、賑やかで、おいしくて優しいものが集まる。

シャワーを浴びて、洗濯物を回し、その間に洗い物を終える。
キッチンとレンジをしっかりと拭く。

実家暮らしの時には大嫌いだった洗い物も、今では無心になれる大切な時間になった。

自分が使ったものを綺麗にする。
当たり前なのに、忘れがちなこと。

日々、悩みながら生きている。
今いる場所が間違っているのではないか、違う場所へ行くべきだったのではないか。
でもきっと、続けた人にしか見えないことがある。

その先の景色を一瞬でも早く見るために毎日前を見て進んでいく。

淡々と、食器を洗う、洗濯物を干す、床掃除をする、野菜を切って、ごはんを炊いて。

そんな時にふと思う。

ハキハキと話しすぎる自分のこと。
あははと笑って、悲しかったことを忘れようとする自分のこと。

おだやかでありたい。
素直でありたい。
優しくありたい。
愛に溢れていたい。
丁寧に生きたい。

ずうっと思ってる。

全然、出来てないけど、全然だめだけど、明日は今日より、来年は今年より、優しく、強く、潔く、いられますように。

明日の私が、今日より幸せでありますように。



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