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会いたいなら、今すぐに。

飲食店を営む友人が、店を閉めることになった、とSNSで投稿していた。さまざまな工夫や挑戦を凝らしても、存続していく道を選ぶことはできなかったのだろう。

「行きたかったのに残念」

てコメントがたくさん入っていた。

「行きたいって思ってくれてたことが嬉しい。ありがとう」と返す彼女のコメントに、大人だなぁと感心しながら、あぁ、なんていうか口の奥が苦くなる感じ。

思い出したくないけど一生忘れられない記憶

30になった誕生日の翌朝、母が倒れた。一言も話せないまま、長い長い40時間を経て、そのまま帰らぬ人となった。

その頃私はとても忙しくしていた。私生活も色々ありすぎて、自分のことだけで手いっぱいだった。30の節目には、母に、お礼を伝えようと決めていたけれど、当日は連休の初日で、友人たちが盛大に祝ってくれて、夜中に帰宅して、明日絶対電話しよう、と決めて眠ったその数時間後のことだった。

伝えたかったのに。
会いたかったのに。

いつでも出来ると思ってたけど「明日」は来なかった。

それと、同じだなぁと。

その日から、
行きたいなら、今すぐに。
会いたいなら、今すぐに。

やらなかった後悔は、したくない。

それでもやらなかったのであれば、本当にやりたいと思っていなかっただけ。

そんなことを思っていたのに、
友人の訃報を受けたときにも、同じことを思ったわたしは、まだ学んでいない。

だからね。
閉店します、のお知らせに「行きたかったのに」「次またやる時は教えて」と並んだコメントに耐えきれず、画面を閉じた。

コメントした人は、本当に行きたかった、それでも、行くチャンスがなかった、というのかもしれない。コロナだから行けなかった、コロナだから閉店しちゃった、あれもこれも、コロナのせい。

誰かのせい、は楽だけど、それを向けられる側には、残酷だ。

今まで、ずっと、ずっとずっと店をやっていた。雨の日も、吹雪の日も、猛暑の日も、電車が止まった日も、コロナで自粛体制になっても。毎日お店を開けて、来る人に楽しんでもらいたい、と色々な挑戦を重ねてきていた。

一度だって来てくれなかったじゃないか、と。

「行きたかったのに」は
誰も幸せにならない、後出しジャンケン。

会いたいなら、今すぐに。
それこそ、今ならオンラインにも躊躇しなくなり、これまでよりも「会う」ハードルは下がってる。

それでも、会うことを選ばなかったとしたら。

その人に、本当に未来永劫会えなくなったときに
「会いたかったのに」と言わないで。

「会いたかったのに」と後悔するのなら今、連絡しよう。

Someday never comes.

皆さんからのサポートは、子どもたちと新しい体験をしたり、新たな学びのために使わせていただきます。