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Culture (5) 昔話へのご招待

いつもよくラジオを聞いてるんですけど、FM北海道では毎週土曜日の朝7時から「小澤俊夫 昔話へのご招待」という番組が放送されてるんですね。
小澤先生は昔話研究家の方で、世界中の昔話についてのお話をしてくれるんですけど、独特な口調と落ち着いた声の解説が面白くて結構好きな番組なんです。

今日は先週からの続きで「ヘンゼルとグレーテル」の紹介でした。
物語の朗読から始まって、小澤先生の解説が入るんですけど、先生はやっぱり目の付け所が違うなって思いました。気になるところが違う。

一つ目は、ヘンゼルとグレーテルが「森の中をかけていく」という描写があるんですけど、先生はここで、どうして森の中をかけていくことができるんだ?って思ったんですって!
え??私は全然普通に小さな兄妹が木々の中を走っていくシーンを思い浮かべていたのだが??
そして先生が、日本の森は藪の背が高いので子どもが森の中を走っていくことはできないですよねっておっしゃっていて、え、確かにそうじゃん…ってここで目から鱗が出てきちゃうじゃないですか。
で、先生は実際にドイツの森を見に行ったそうなんですけど(ここでも1「え?」)、ドイツの森は日本と違って下草がすごく短いんですって!それでその道に詳しい人に聞くと、下草が短いのはヨーロッパ大陸が古い大陸で下草が育ちにくいからだということが判明して、子どもが森を走れることに納得したらしいです。
え、すごくないですか、目の付け所が。そこ全然疑問に思わなくないですか普通。
どうして私は自動的に下草の短い森を想像してしまったんだろう、そんな森実際に見たことないのに。

さらにさらに、魔女を退治するときに「パン焼き釜に押し込んだ」という描写があるんですけど、ここも引っかかったみたいで、ドイツのパン焼き釜は人が入れるほど大きいのか確かめにまたドイツまで実際に見に行ったそうです。そこで実物のパン焼き釜を見て、本当に人が入れるほどの大きさであることが確認できて、初めてその描写について納得できたとおっしゃっていました。

いやぁ…すごくないですか…?この方は本当に学者なんだなぁと思いましたね。
言ってしまえば私みたいに勝手にその様子を想像して、ドイツはこんななんだなぁで終わらせて素通りすることもできてしまうじゃないですか。それなのに先生は自分の知っているカルチャーと違うところに気づいて、そこに疑問を持って、自分の目で実際に現地に確認しに行って、そこで初めてその物語を理解したとしているのですから、研究者ってそうだよなぁとすごい学びになるお話でしたね。
飽くなき探究心と言いますか、疑問を見つけ出すセンサーとそれの探究のためのフットワーク、私も見習って鍛えていきたいな。
カルチャーを学問するものとしてものすごく勉強になるお話でした。

ラジオ、面白いので聞いてみてね。


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