福音主義の矛盾
1. はじめに
本レポートの目的は、聖書・福音主義について論じることにある。論じるために、福音主義を多面的に考察した。その結果、福音主義には二つの矛盾があり、その非合理性こそが福音主義の本質であるということが分かった。
本レポートの構成は次のようになっている。第2章では、福音主義の非合理性を論じる。第3章では、福音主義のリバイバルを考察する。第4章では、福音主義の階層と矛盾を考える。第5章では、まとめについて述べる。
2. 福音主義の非合理性
リベラリズムの登場は、福音主義の非合理性を明らかにした。現代において、合理的であることは善、非合理的であることは悪とされ、この判断基準に従って福音主義は凋落した。しかし、宗教の本質は非合理性にある。つまり、聖書の中に多くの矛盾があり、それを何千年間も指摘されなかったことが、神の権威を裏付けている。矛盾さえもそのままでいいという非合理性がキリスト教の本質である。したがって、福音派の反論は苦し紛れ
であるから悪とするのは不当であり、屁理屈を言ってまでも聖書を正当化しようとする姿勢が信徒として真っ当な姿である。苦しみの中で生まれ、発展してきたキリスト教を合理性で判断することこそ非合理的である。
3. 福音主義のリバイバル
20世紀半ばには福音主義がリバイバルすることになる。主な理由は公民権運動やベトナム戦争などの国家的危機による人々の不安である。こうした学問的アプローチ、つまり社会的な事象が福音派の興隆を引き起こしたという考察は、まさにリベラリズムである。つまり、キリスト教を学問的に考察して、社会とのつながりを発見している。逆に、福音主義的な観点から考えると、福音主義のリバイバルは必然である。つまり、福音主義は絶対的に善であるため、善である主義が興隆することは当然である。
4. 福音主義の階層と矛盾
福音主義の伝道師として活動するとき、第3章の福音主義的な考察では不十分である。なぜなら、福音主義の興隆を論理的には説明していないからだ。確かなロジックがなければ、布教のための戦略を立てることができない。したがって、福音主義の伝道師は、福音主義の立場にありながらも、活動のために合理的であるリベラリズム的な思考を要するのだ。ここに、伝道師と一般的な信徒の間に差が生まれ、階層が誕生する。伝道師は指導的かつ少数の立場にあるため上位階層、信徒は指導をされ、かつ多数の立場にあるため下位階層といえる。
リベラリズム的な思考を持ち指導する伝道師と、その伝道師に指導される信徒は福音主義といえるのだろうか。ここに福音主義のもう一つの矛盾がある。単に福音主義を広めるという目的を果たすために、リベラリズム的な考察を活用することは許容範囲である。しかし、政治的、経済的な目的のために、リベラリズム的戦略で福音主義を広める者は福音主義者とはいえない。
5. まとめ
本レポートでは、福音主義について多面的に考察した。その結果、福音主義には二つの矛盾があり、その矛盾が福音主義の本質であることが明らかとなった。
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