【トップ出番不利の解消法2】
前回の記事で、トップ出番不利を解消する方法を提案させていただいた。
大切なポイントなので、おさらいしておく。
【確率的公平性に偏った公平性は、“納得感”が得られにくい】
しかし、読者諸君。
物事というものは、常に多角的に考えなければならない。
昔、テレビでテリー伊藤さんが言っていた。
「スポーツなんてのはさぁ!ちょっとぐらい理不尽なほうが盛り上がるんだよ!!」
これは、とある番組内で、金にモノを言わせて、他球団の四番打者ばかりをひっこぬく巨人軍について、論議が行われていた時、追い詰められたテリー伊藤さんが叫んだものである。
あ、開き直った!
と、とれなくもないが、この意見、実は深いのである。
【ルールが少しぐらい理不尽なほうが盛り上がる】
という意見。
これは、僕がお笑いの舞台に立っている現場感覚として分かる部分がある。
アイドルの総選挙然り、お笑いの賞レース然り、世間のさまざまなバトル然り、である。
ルールが少し理不尽、ということは、少し理不尽な目に遭う出演者の存在が生まれるわけである。
日本人は基本的に判官びいきである。
その少し理不尽な目に遭っている人を応援したくなり、その世界に【感情】を落とす。
感情は、時に、視聴率という形に変えて落とされ、時に、お金という形に変えて落とされ、他にも様々な形に変わっていく。
少し理不尽という状態を通り越して、絶対に勝てないような理不尽なルールなら、冷めてしまうので、応援しなくなるだろう。
しかし、僕はあえて言いたい。
この汚い世の中で、【少し理不尽】などというものを目指すべきでは、断じてない!
人間は完璧ではない。どのような頭の良い人物が作ったルールも完璧な公平性は持たない。
要するに、完璧な公平性を目指したところで【少し理不尽】になってしまうのである。
ただ、【少し理不尽】をあえてプロデュースしているという意識があれば、色々な可能性は広がる。
前置きが長くなってしまった。
賞レースのトップ出番不利を解消する方法その2である。
とあるテレビの大会で、決勝進出コンビが10組いるとする。
その10組に次のようなルールを提示する。
ちなみに、盛り上げるために、10組にこのルールを提示している様子も番組として流す。
トップ出番は不利なので、トップ出番のコンビには、決勝進出ギャラ以外に30万円が進呈される。
①30万円もらえるなら、トップ出番でも良いコンビは、まず名乗り出るように指示を出す
ここで、ワイワイ盛り上がり、人間の汚さ、そうは言っても生活できない感じ、などを出せば良い。
②そのあと、①で集まったコンビたちだけで、トップ出番をあみだなどで決める
③決まったトップ出番以外のコンビたちで2番目からラストまでの出番順をクジで決める
前述した【トップ出番を次点のコンビに出てもらう】という提案より、真の公平性は減るが、トップ出番の不利をお金で補いながら、かつ各選手の思想が出て、面白いと思うのだが、いかがだろうか。
「俺はこの賞レースに命をかけてるんだ!!トップ出番なんかいらねえ!」と言う人は、①の時に名乗りを上げなければ良いのである。
トップ出番でもいい、という趣旨に参加したあと、トップ出番を得られなかった芸人たちが、そのあと、ファンや視聴者にどういう目で見られるのか、というのも個人的には興味深い(笑)。
貧富の差などによって、30万円の金額の相対的な嬉しさは変わるが、そのあたりは、やりとりの中で盛り上げれば良いと思うのである。
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