単独ライブのこだわり

芸人にとって、単独ライブとは、特別な意味合いを持つものである。
このこだわりというものが、色々な芸人によって違うであろうから、僕としては、“他人の単独ライブのこだわり”にとても興味を持っている。

“単独ライブのこだわり”というテーマだけで、好きな芸人さんを呼んで、トークライブを二時間してみたいぐらいである。

ただ、やってもいないので、他人さまのことはわからない。

そこで、今回は、僕自身が考えていた、単独ライブへのこだわりを語ってみよう。

僕は、単独ライブとは、“究極のエゴ”であるべきだと考えている。

賞レースやら、バトルライブやら、他者と戦わないといけないライブではなく、単独ライブは、自分との戦いなのであり、自分の表現のためにやるものなのです。

基本的に、自分のことを知っているお客さんがやってくる。

なので、空気はいいし、基本的にはどの芸人の単独ライブも、ウケるものなのだ。

その中で、お客さんの予想の斜め上をいかないといけない。

前口上はこれぐらいにして、単独ライブのこだわりを箇条書きにしていく。

これらは、芸歴やその時の考えによっても変わるが、ここ数年の僕の単独ライブは大体、次に挙げていく指針に沿って作られている。

【笑いの量のインフレ化は避ける】

これは、特にここ数年の考え方で、【前の単独よりも爆笑をとる】を目標にしてしまうと、キリがない。

あのピッコロがあんなに敵わなかったあのベジータ

そのベジータがあんなにビビるフリーザ

そのフリーザをあっという間に、、、、、

みたいになると、実はそれぞれのキャラクターの中の順位が出来てしまうし、少し醒める。

実際問題、単独ライブでそれをやるのは、無理。

回を重ねるごとに、笑いの量が増えるならば、究極は、【最初から最後までお客さんが笑いっぱなしのライブ】になってしまうからだ。

そんなもん、できるわけがない。

ということで、最近は、「前回の単独ライブがウケすぎたから、今回は、しぶいネタを多めにやろうかな」などと、考えるようにしている。

もちろん、逆もある。「前回よりはウケ重視でいこうかな」みたいな感覚である。

なので、うまくいけば、爆笑を目指す単独ライブと、笑い以外にも趣を求める単独ライブとが、交互になっていくのが単独ライブの理想なんです。

他の人は知らないけど、僕はそうしてバランスをとってます。

1本のネタ単位で、爆笑をとりにいくのは賞レースやバトルライブで充分である。単独ライブは、また別ものと考えている。

ただ、一応、“最大瞬間風速”は気にしている。

毎回の単独ライブで、必ずK点超えの爆笑はどこかのタイミングではとりたい。

【ネタで打線を組むイメージを持つ】

これは、前述した内容とも繋がっている。

僕のネタの特徴として、ネタのバリエーションが豊富であることが言える。いろんな笑わせ方をしているのが自慢である。

パズルチックに組み合わされたキレイなネタもやるし、バカバカしさの極致みたいなネタもやる。

バトルライブなどでは渋すぎて、やりにくいネタなども、単独ライブという場所では、実現できる。

最初の2分間は全く笑いがないけど、最後の1分だけおもろいネタをやる、なんてこともできる。

なんなら、ぜんぜんウケないけど、自分はめちゃくちゃ好き、みたいなネタもできる。

それが単独ライブの醍醐味だと思うのである。

打線の組み方も、その時によって、考え方が変わるが、それも楽しい。

僕の場合は大体ネタを10本やるので、かなり色んなネタのパターンを試せる。

1本目は、大体、そこそこウケるだろうなと分かってるネタをやることが多い。

キレイにできてるネタで、普通にウケる、ぐらいのバランスのとれたネタをやる。

すると、「今日のお客さんはあったかいな」とか「今日はお客さんの空気が重めだから、このあとのネタも、笑い声の想定を少し下げながらやろう」などと、2本目以降の基準ができる。

場の空気と自分のお笑いの感覚を1本目でチューニングしておきたいので、めちゃくちゃおもろいネタというのは、1本目ではやらない。

多分、他の芸人もそうなんじゃないかなと、個人的には思っている。

仮に1本目のネタで、ゼロか百か、みたいなネタをやってしまうと、ウケればそれでいいが、スベると、ネタが面白くないのか、お客さんが重たいのか、区別がつかない。

なので、1本目はバランスのとれた良いネタを持っていくことが多い。

あとは、下ネタ同士は、順番をできるだけ離す、とか。

最後のネタは、めちゃくちゃウケるか、後味がいいものを選ぶ、とか。

最後のネタのオチ、というものは、そのネタのオチだけではなく、単独ライブ全体のオチという重責も担っている。

そんなこんなを色々と意識しながら、打線を組む。

【ブリッジVはウケすぎなくてよい】

これも最近の気づきだけど。

ブリッジVがウケすぎると、ネタがあんまりウケないというのは、“単独ライブあるある”らしいです。

お客さんが笑い疲れるのかもしれない。

なので、僕は、ブリッジVはあくまでも箸休めで、ウケすぎないでいいや、と思うようにしています。

あくまでも僕の場合は、単独ライブで見せたいのは、ネタです。

ネタメインの単独ライブにしたいので、Vはウケ過ぎないでいいのです。

【予定調和は避ける】

過去にウケた方式を安易に使わないというのは、僕の場合は、単独ライブのこだわりというよりも、性格である。

ウケるからといって、シリーズみたいなネタはあまり作らない。

予定調和を避けるというのは、笑いの内容というだけではなく、全体の構成もそうである。

たとえば、ブリッジVとネタが交互に挟んである単独ライブがかなり一般的だけど、僕の場合は、ブリッジVが終わってから、ネタが2回続いたりもする。

別に交互でなくてもかまわない。

交互に同じリズムが続くって誰が決めたんだ?

ブロークンリズムを意識してるのです。

【エンディングは長く喋らない】

元来、僕はサービス精神が旺盛な人です。
かなり昔、単独ライブのエンディングで色々喋っていたら、「エンディングが長いとせっかく面白かったネタの記憶が薄れるし、ダレる」というありがたい批判をもらいました。

かなり腑に落ちたので、それ以降、エンディングは必要最低限で、できるだけ早く終わるようになりました。

まあ、語り出すと、もっとこだわりはあるんですが、このぐらいにしておきます。

お笑いフリークのみなさんは、色んな芸人さんの単独ライブを観てると思うので、比べてみるのも面白いかと思います。

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