ひとつの時代の終焉なのか?

竜王戦第7局が行われた。

羽生善治竜王と挑戦者の広瀬章人八段の第七番勝負は、色々な意味で、まさに世紀の一戦であった。


将棋を知らない人のために簡単に説明を。


羽生善治竜王は、歴代最強棋士であることに異論をはさむものは少ないだろう、稀代の名棋士である。


将棋指しとしの一般的に強い時期と言われる年齢を遥かに超え、現在48歳にして、今なおトップを走り続けるその姿は、見る者の胸を打つ。


しかし、近年では、不調説、はたまた不調ではなく、そもそも衰えたのではないかという意見まで頻出してきていた。

一時は7冠を誇った羽生先生も、安定期に入り、それでも、四冠や三冠は当たり前。

二冠になると、不調説を唱えられるなどという化け物ぶりではあるのだが、年々、タイトル戦での活躍はスローダウンしてきたことは否めない。

そして、現在、羽生善治竜王は、【竜王位】のみをタイトルに持つ状態にまで落ちてしまった。(将棋を知らない人にくれぐれも。タイトルをひとつもとれないまま棋士人生を終わる棋士がほとんどなので、それでもすごいということは強調しておこう)

とにかく、最近の羽生竜王には、圧倒的な強さから、円熟期に入り、世代交代も囁かれたいた。

一方で、僕を含む羽生竜王の強さに魅了されてきた信者は、いやいや、体力が落ちているだけで、まだまだ集中力をピークにもってきたら、敵なしに決まってるさ、などと、まさに羽生善治という人間に自分のアイデンティティの一部を託すような気持ちを持っているのだ。


そうなのである。


今回の竜王戦は大きく、三つの点で特別なのである。


①平成最後の竜王戦であること


②羽生先生の通算タイトル獲得数が、この竜王戦に勝てば100期という前人未到の大記録になること


③今期の竜王戦に負ければ、羽生善治竜王は、実に27年ぶりの無冠になってしまうということ


そして、以上のような三つの点で特別な、この竜王戦の七番勝負が、3勝3敗で最終局を迎えるなどという、盛り上がり具合を考えてほしい。


将棋の神様が自ら台本を書いたとしか思えない。

羽生竜王の側ばかりから、文章を書いてしまうのは、現在39歳の僕のひとつの時代のカリスマに対するノスタルジーであり、ご容赦願いたい。


さて、31歳の挑戦者、広瀬章人八段は最近グングン伸びてきている中堅棋士である。レーティングも一位を誇るのだ。(最近の変動により若干変わります)


この白熱の戦い、広瀬さんには、なんの嫌悪感もない。元タイトルホルダーで、強いのは分かっている。


謙虚な姿勢で自分が負けた後の大盤解説でも、明るく振る舞うその姿勢を嫌いになどなれようはずもない。


しかし!


僕は羽生さんに勝ってほしかった。


運命の第七局を家でずっと観戦することができた自分の仕事のなさを喜びながら、幸せな緊迫感を持ちながら、ずっと観ていた。


ひとつの時代が終わった。


と、思うのは僕のとても身勝手な感覚である。


平成が終わっても、羽生善治という偉大なる棋士の活躍は続く。


そして、名勝負を制した広瀬章人八段に心から敬意を表したい。


ここからは、“ちんこ”と書くだけなので課金しないでください。

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