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英世

なあ、英世…
日本はどうなっちまうんだろうなあ…


お金に困りすぎてるからFPの勉強をする!と言って、私は先日一人の英世と一緒に図書館へ赴きました。
幼稚園の頃から足しげく通っている図書館で、初めて訪れる「金融」コ―ナー。私はその本棚を前にして足がすくみました。
背表紙に「ビジネス」と書かれたラベルの貼ってある本たち。
うああっっ
私と英世はいかついゴシック体で我倒さんとばかりに主張してくるNFTだのメタバースだの…(思いつきすらしない)…耳に馴染みのない英語カタカナに圧倒され、よろけて倒れた。近頃は美しい画集コーナーばかりと対面していたのだこっちは。なんだこいつらは。特にひと昔前の本なんぞは派手な色と太ゴシックを使って目立ちさえすれば人間は手にとると思ってやがる。圧迫面接をされてるみたいだ。

私と英世は震えながら立ち上がり、なるべく目に優しい背表紙をとる。

そして椅子に腰かけ、目を通す。


すげえ、わかる、わかるぞ…!!!

昨日と今日で読んだ本がこちら。アンポンタン芸大生でもすっきりと理解できました。マジで分かりやすかったです。
特に「経済のことをよくわからないまま社会人になった人へ」は、もう素晴らしく分かりやすかったです。「ん?」て思ったときには必ずすぐ後ろに「言い換えるとー」と解説が加えてられており、大変な事件についてはちゃんと「これは大変なことなのです。」と言ってくれます。完全にこちらの理解度を読まれています。池上彰すげえ。

↑ 2こ目の「働くときに知っておきたい~」については、新社会人になった太郎君のもとへやたら経済に詳しい妖怪が現れ、聞いてもないことをたくさん教えてくれるという会話形式で進む本でした。妖怪「モノシリン」はきもいちいかわみたいなキャラデザで、モノシリンだけでも一見の価値ありです。
そんな面白く入りやすい冒頭から一転、内容については読んでから昨晩軽く病みました。

「経済のことをよくわからないまま~」の本は、理想を教えてくれる本でした。「応援したい企業の株を買って、その企業がさらに良い商品を生み出しみんなの生活をより良くする、あなたが世の中をよりよくできるんですよ」みたいな。へえー!私すごいじゃん!そんな考え方があるのねー!みたいな。
一方「働くときに知っておきたい~」は激シビア。データからみるアベノミクスの失敗。外国人留学生の厳しすぎる現実。金融緩和しすぎた、少子高齢化の、避けられない日本の未来。それに不安を抱き始めた太郎君が「名案ある?」と聞いて、きもいちいかわみたいなモノシリンが「ないよ」と言って終わる。映画のミスト観た後みたいな後味の悪さ。


いやあ……
英世……
どうする……?

「金は天下の周り物」
私が英世、君を汚いピンクの財布に大切に留めておく意味も、ないんだなあ。英世、君はここに来るまでどんな人の元でなにと引き換えにされてきたんだい?
お金持ち、高いバッグ買いやがってクソウ!と思っていたがそういう人たちがお金を使ってくれるおかげで世界が動くんだなあ。この英世も富豪の手や貧乏人の手を渡ってきたのかな。そう思うと貨幣の人生は面白そうだ。偉人が選ばれる理由も頷ける。
私が物を買うから、その物を作った人は新たに物を作れる。
買い物が投票活動というのは非常におもしろい。社長さんも、私がその会社の物を買うからお金持ちになれる。私が買わなければ会社は潰れて貧乏になる。つまり世の中のお金持ちがお金持ちであるのは私のおかげというわけだ。
そして私がバイトしてお金を稼ぐことができるのも、たかがバイトであろうと、その会社にペイしてくれている人がいるからだ。そうして私や私の親の生活も支えられているわけだ。
ふむ、考えれば考えるほど、この世の中は一人じゃ生きてゆけない仕組みになっている。
そして、社会は汚い話ではなくお金の循環によって成立しているのだな。私の大好きな森本千絵さんというデザイナーさんは「goen。」という会社を立ち上げているのだが、その中心モチーフが「5円」である意味がようやく少しわかった気がする。社会は思いやりとかだけじゃなくて、お金がまわって成立してて、なんならお金のまわりが人を繋げているまであるのかもしれない。

そう考えるとなんだか面白いけれど、そんな社会を絶望に突き落とすのもお金である。「バブル」とか「リーマンショック」とか、正直なんなのかよく分かってなかったけど、今回本を読んでちゃんと仕組みを理解しました。よかったです。バブルのときって東京23区でアメリカ全土買えるくらい土地高かったらしいよ、やばくない?もはや「じゃあアメリカ買っちゃえばよかったのに」と思っちゃうわ。意味分からん過ぎて。
そして私がもろ被害を食らった「円安」の元凶となる「金融緩和」。
「異次元の金融緩和」とかゆうて借金を増やしまくったアベノミクス。そう、アベノミクスのことも今回初めてちゃんと知りました恥ずかしながら。

そうしていつか訪れる「〇〇ショック」――――


……

「データで見る日本経済の現在地」は本当に絶望本でした。
ちゃんと選挙行こうって思った。経済のことももっと知りつつ次は政治の勉強もしよう。
なんかコロナのときと言いウクライナのことと言いガザ地区のことと言い、
別に知らなくても生活できちゃうんだよな。
それがだめなところなんだと思うよ。
「物価めっちゃ上がってる!もうおわりや~」
とは思うよ。スーパー行ったら。
物価が上がると経済が回るから上げようとしてるとか、知らんやん。まあ私が無知無知なんだけどさ。けっこうそのレベルの若者多いと思うで。
特に社会人じゃなかったらお金の影響があんまりないんよ。私も留学で円安にぶつからんかったらこんな勉強しなかったし。

けどこの本を読んだらなんか日本から逃げ出したくなったし、投票に行こうと思った。文字通り「絶望という名の現実」を突き付けられた。
でもこれはテレビで報道しないから、知らない人が多いんだ。
政府とマスコミってやっぱりズブズブなんかな?
なんかもうほんまに絶望しかないんやが。
この本のこととか、この内容のことについて、せめて私の周りにいる人たちには広めていこうと思った。

絶望

絶望

昨晩は日本経済の絶望や地震の恐怖に打ちひしがれていたが、noteを開くと色んな人がそれぞれ頑張って生きてて、YouTubeはくだらなくて最高に笑える動画がたくさんあって、Twitterやインスタには優秀な仲間たちがあほなことをしていた。
社会全体は絶望だが、ひとりひとりは頑張って生きて彩られている。みんなすごい。
みんなで頑張って生きれば、なんとか乗り越えられる気がする。
めちゃくちゃありふれてる言葉だけど、なんかそんなことしか言えないや。
言葉に意味は無くて、その言葉の価値を分かった瞬間に意味があるよね。

私ひとりがどうこうできる問題でもないので、私は人ひとり分ができることだけを全うしよう。とりま。


英世お。
私は近々、てか明日、バイトの交通費のためにお前を費やすよ。お前はJRの機械に吸い込まれるよ。次の居場所はそこだね。そこからどうやって流れていくんだろうね。お前は流れ続けていくんだね―――
貨幣の命は一生、か―――――

―――なんて思ったけど、来年新札に変わるやんwwww
ひ、英世……
おれは忘れないぜ、お前のこと!
新札になったら英世ファミリーはどうなるの?まわりまわって銀行に流れ着いたら、新しい札と交換されて燃やされるんか?ひ、英世…!!!
絶対1枚確保しといてやるからな。
数10年後、どうなってるか分からん日本の一角で、孫にそれ見せてしゃべるから。「おばあちゃんが若い時は1000円札英世やったんよ。私はこいつと苦難を乗り越えたんや」って言うから。

今晩でお別れだな。
「英世」っていい名前だよな。世の中に英でるってか。

じゃあな。

ちなみに、「野口」は私が初めて付き合った人と同じ名字や。

運命、感じるぜ――――


んじゃ、アデュー!


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