じゃんけんで勝てない、という日記

『僕はじゃんけんが異様に弱かった。
掃除で真っ先に楽な仕事についたことは無かったし、給食のおかわりも1度も手にしたことない。カードゲームはいつも後攻。
そんな僕は、じゃんけんを嫌った。

じゃんけんで勝つ方法など、インターネットの世界に溢れるほどあるが、絶対ではない。最終的に運ゲー。そりゃそうだ。3つの手をランダムで出すだけのゲームに人間の努力でどうこう出来るものはない。劇的に運が良ければ勝つし、悪ければ負ける。それがじゃんけん。
僕は劇的に運が悪い側の人間なのだ。

だから僕は指を切った。
どうすればじゃんけんをしなくて済むかと考えた。最初に思いついた方法だった。
指がない人間とじゃんけんはしない。なんの手を出しているか分からないからだ。僕たちは指で手を判断している。なら前提の指を無くせばいい。
じゃんけんができない人間を交えて、じゃんけんはしない。じゃんけんが出来ないから。
他の手段を使うしかない。
僕は明日の給食の揚げパンを楽しみに、痛む指の傷に苛立ちながら寝た。

学校へ行くと、ドン引かれた。僕は視線が多くなっていたのに気づき、自分で切ったと答えたらドン引かれた。
引かれた、というよりはなんだろうか。
あるものは青ざめ、あるものは目を伏せ、あるものは嘔吐した。
まあとにかく、引かれた。
大丈夫か、と聞かれた。大丈夫だから登校している。あたりまえだ。
見せて、と聞かれた。こいつも何か指に関する悩みでもあるのか。それの参考にしようとしてるのか。

そんな中、大声でこう叫んだ奴がいた。
「お前何でそんなことしたんだよ!」
理由は単純明快。じゃんけんで勝てないからだ。
彼はその胸を聞き、顔を青ざめながらこう言った。
「なんでそんな事で指を切るんだよ!」
どうやら、彼にとってじゃんけんで勝てない事は「そんな事」らしい。
そこで僕は改めてクラスメイトの顔を見た。皆、異様なものを見るような目をこちらに向けていた。
僕は怖かった。なぜそんな目を向けるのか。
じゃんけんで勝てないが為に人生が不利に傾いていたのだ。ならばじゃんけんをしない人生にしたいと思うのが道理だろう。
彼はその言葉を最後に僕に背を向けて自分の席に戻って行った。

それから数日経ち、目標だったじゃんけんのない人生が始まった。しかしそれと同時に色んなものがない生活が始まった。
まずは、鉛筆が手で使えない生活。これに関しては鉛筆自体が手でしか持てない形状ではないので他の部位を使って鉛筆を使った。

そして、人から話しかけられなくなった。そもそもじゃんけんをする相手がいない。僕はじゃんけんさえなければ誰とでも会話できるのに。
僕から話しかけてもやんわり話の腰を折られ、会話が終わる。なんなら、無視をする奴もいた。
流石にそれでは学校でやることが無い。僕は諦めず何度も話しかけていたある時、こう言われた。
「お前、怖いんだよ」
どうやら僕は怖いらしい。
そう言われると、クラスメイトが続けて言ってくる。
「気持ち悪い」

クラスメイトが同意するかのように盛り上がった。
意見はクラス内で一致しているらしい。
非難の言葉が続けて放たれ続ける。
まるでマシンガンのように続く暴言のパレード。
その音を聞き続け、僕に1つの感情が芽生えた。
「非難される自分が嫌いだな」と。
そりゃあ非難だもの。気持ち悪いに決まってる。
しかもその非難の宛先は自分と来た。大嫌だ。
どんどん自分が嫌いになっていく。
この嫌いを無くしたい。

そうだ。僕は1つ方法を思いついた。
僕は窓の方へ走り出し、窓が空いてることを確認する。
走った勢いのまま、僕は外へ出た。そして落下が始まった。
校舎裏にある草むらに頭を向けて、落ちていく。
頭が地面につく。感じたことの無い痛みが全身に走る。だが、その痛みは一瞬だった。
思考が止まる。
止まる。
止まっていく。

来世は、好かれる人間になりたいなぁ。


こういう一般的な考えを持てない異端なキャラ、漫画とかにいません?別に自殺とかしなくても。

世間一般と意見が食い違い、社会に適合できない方向性のキャラ。僕はそういうキャラがめちゃくちゃ苦手です。

だってそいつがいると全員が幸せになるルートが途絶えるんだもん。
いっつも異端な奴側が嬉しいことが、世間一般では嫌〜なことじゃないですか。
そうすると全員が全員幸せである世界線が生まれなくなるんですよ。

なんなんだよ。僕はハッピーエンドが見たいんだ。
いやまあ、そういうキャラが無い作品読めばいいんですけどね。
でもやっぱ、読みたい作品ってあるじゃないですか。
世間でウケてるものだったり、皆が勧めてくれるものだったり。
そういうのって、面白そうなとこだけを切り取って説明してくるからどれも面白そうに感じちゃうんだよ。
そして、異端キャラが途中で出てくる。あーあ。

あなたもそう思いませんか?』

『思わねーよ』

『え、本当ですか?』

『マジだわ、お前が異端なんだよ』

『へー、僕がおかしいのか』

『そう。大体、人に意見聞く時に小説をいきなり全部読み出すのもおかしい』

『なんか、嫌ですね、やっぱ』

『え?』

『こうやって否定されるの。自分の今までの生き方が間違ってるみたいで…』

『いや、間違いだろ』

『そうですか…』

僕は自分が嫌にやっていき、声が細くなっていく。
どうにかして、この状況を変えたい。自尊心がなくなる前に。
方法を考える。

1つ、思いついた。

僕はおもむろに彼の首に手をかける。
絞めた首の振動が手に伝わる。
苦しそうな声が聞こえる。

『はなせ』

僕は言う。

『あなたがいなければ僕を否定する人は0。だからあなたをどうにかすれば、僕は幸せなんです』

彼は青ざめていく。
やがて抵抗しなくなる。

手を離すと彼は膝から崩れ落ちた。
これで僕を否定する人はいなくなった。

さて、今日は何を作ろうか。
とりあえず、スーパーに買い出しに行こう。
僕はエコバックを持ち、スーパーへ向かった。



数日後、彼の家の周りに警察がやって来た。
僕は男を殺したと、そう伝えた。


小説書くの、むずくね!!!????

確かに何も考えずに書いたよ。
ストーリーも考えずに。
赴くままに書いた。

めっちゃむずくね!!!????
ストーリーめっちゃ凡庸になったんだけど!?!?!?

小説家って、すごいなぁと感心しました。
今度小説を書く時はもっと考えてから書こう。
そうしよう。

そして今すぐ寝よう。明日学校だわ。

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