2024年介護報酬の改定について
さて、改定yearになりました。
公的介護保険は3年ごとに制度を見直すことになっています。
今回の改定の概要は後述するとして、実際に動き始める時期は訪問看護では6月からとなります。
今回は診療報酬なんてよくわかんないよ。
見なきゃってわかってるけど何見ていいかわかんないよ。
そんな方向けに、ざっくりと流れと訪看に関することを書き連ねていきます。
診療報酬改定の流れやスケジュール
診療報酬改定はこの図のような関係性で決まってきます。
ちと難しいけど、簡単に言うと
内閣→お財布事情を考慮して、これくらいの増減幅で行きましょと決める
社保・部会→今後の医療の基本方針はこんな感じだよねと問題提起
中医協→社保・部会の問題提起を審議し個別の点数・単位数を決定
ってな感じです。
スケジュールはこんな感じ。
この文章を書いている1月22日に介護報酬の改定の概要がでました。
これを基に2月上旬に中医協の答申があり、3月に決定します。
その決定に対し、個別に疑義解釈(これってどう解釈するんですか?こう解釈してもいいですか?の正式回答)が6月の施行開始後しばらくまでチラホラとでてきます。
つまり大枠は今日発表された資料ってことになります。
今回の改定はどれくらいの変化があるの??
介護報酬 改定
とインターネットで検索してみてください。
画像のように沢山の記事がヒットすると思います。
介護報酬改定は知らないと運営できないですが、知らずに過ごしている医療従事者が多数です。
そんな方が、管理職になった時に急に把握していて当たり前とされるのでなかなか難易度が高い感じになります。
情報は国がオープンにしています。
きちんと1次情報を拾えるわけです。
診療報酬 セミナー
と調べると沢山出てきます。
つまり、知らない人相手に簡単に稼げてしまうわけです。
そんな人のカモにならないように1次情報にあたる癖をつけてください。
また、セミナーにも一部いいものがあります。
それは、診療報酬改定内容全てが決定し、厚労省の役人が登壇するものです。
それ以外は…まぁ…w
さて、今回の改定では、大枠はこうなっています。
大事なところを拡大してみると…
医療保険の方、つまり診療報酬改定は+0.43%
介護保険の方では+1.59%
足してみると≒2%
お、この改定は非常にポジティブではないか!
となりますよね、しかしところがどっこい、
2%・・・といえば、
日本銀行が発表する2%の「物価安定の目標」
総務省統計局発表の2.6%の「消費者物価指数」
つまり、医療・介護併せて物価高分の上昇
ってことは、実質±0の改定になっていると解釈していいかなと思っています。
過去の改定についての概略はこんな感じです
訪問看護の改定はどうなの??
医療・介護界全体でみると±0改定の印象を私は受けていますが、改定の点数・単位数の増減はサービス毎・そして更に個別の事案毎になります。
訪問看護は今回どうだったか?
結果として、以前から言われている
「軽症者ばっかり看てちゃだめよ」
「訪看なのにリハメインはだめよ」
この2点が明確になりました。
つまり、
訪看からのリハが多いところは減算
重症者に対応することは増算
病院からの受け入れ態勢整えているところは増算
ってな感じです。
令和6年度介護報酬改定の主な事項について
さて、今からお見せするのは全て下記リンクに情報があります。
訪問看護に関する事のみ抜粋していきますが、訪問看護サービスは様々なサービスと隣り合わせで提供されています。本来はこのあたりもしっかりみて、業界の動向を掴む必要がありますが、現場レベルではまず訪看の事を知っておいてください。
まずは概要になります。
沢山書いてあるけど、「お前らちゃんとしろよ」って事が書かれています。
ちゃんとってなんやねんというのは、
1.地域包括システムの深化・推進に関して
・質高いことしろよ
・看取りしっかりみろよ
・スムーズに在宅移行しろよ
・災害とかあっても対応できるようにしとけよ
・虐待とかしないように取り組めよ
2.自立支援・重度化防止に向けた対応
・口の中も連携してみてよ
3.良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
・24時間対応の充実
4.制度の安定性・持続可能性の確保
・リハ職の訪問の見直し
5.その他
・運営規定をオープンにしなさいよ
ってこと。
これが単位数という形で表現されていきます。
質の高いことをしろよって?
つまり、厚労省としては、専門/認定看護師に訪看サービスの計画及び管理をさせるという事らしい。
質の高さと専門/認定看護師がイコールかと言われると、そんなものなくても質の高い看護師なんてごまんといるだろうと思うところですが、国に質の高さを明確な形で示している(最低限の知識やリスク管理能力を担保)という点で、この看護師の専門/認定制度というものはよくできており、看護協会の功績と言えます。
逆を言えば、専門/認定看護師以外で質の高さ(最低限の知識やリスク管理能力を担保)を示せるものが無いわけです。
協会・連盟の力と理解していいと思います。
当社には専門/認定看護師はいないので、現状はこの新設された加算を取得できません。
経営上必要と判断すれば今後採用に動かなければなりませんね。
看取りしっかりみろよって?
介護保険での訪問看護で亡くなった場合と医療保険で亡くなった場合で対応は変わらないですよね。
医療保険ではターミナルケア療養費という加算があり、それは25,000円です。でもいままでは介護保険のターミナルケア加算は20,000円だったわけです。そこに差があるのがおかしいよねってので、2500単位(≒25,000円)になりました。
点数・単位数が増えるということは、これをちゃんとやってこうねっていう国の意思表示です。
ただ、当社では介護保険のターミナルケア加算は算定経験がなく、現状大きくプラスになるものでもありません。
スムーズに在宅移行しろよって?
今まで、介護保険の方は退院当日の訪問ができない(やっても対価がない)状態でした。そして、退院日以降の初回介入で300単位を1回のみ算定できました。
今回の改定で、円滑に在宅移行するために、退院日に訪問した場合350単位を算定できることとなりました。
これ、当社ではやりたかったけど泣く泣くできなかったところです。
それが今回の改定で点数が付いたので大手を振って実施できます。
うちの社風・理念にも合う改定なので大歓迎の部類です。
リハ職訪問の見直しって?
前年度のリハの訪問回数が看護の訪問回数を上回ってたら8単位減算ですよってことです。
まぁ普通にやってたら超えます笑
リハの訪問の単位数を直接下げると、文句が出て煩いことになるので、回りくどく下げているという解釈でいいと思います。
災害とかあっても対応できるようにしとけよって?
虐待とかしないように取り組めよって?
災害に関してはBCP作れよ、虐待に関してはそれを発生させないような、発生しても再発を防止するようなマニュアルを作っとけよということです。
これらに関しては以前から通達があり、この改定までが作成・整備猶予期間という扱いでしたので、満を持して作ってないところは減算するぞってことです。
現在当社ではこれらのマニュアル整備を米元中心に実施しており、改定までには間に合いますので減算対象とはなりません。
24時間体制の充実
緊急時訪問看護加算に従来の加算の上位版ができました。算定要件を満たしていると思われます((2)がなにを指すかが明確でない為、断言できません。)。
訪問看護関連の加算は、基本的にリハを締め出す方向で動いていますが、この加算だけ、看護師の働き方改革の名のもとにリハが動員されています。
正直怪しいなと思っています。
深読み(しすぎかも)すると、この加算をリハ訪看がどれだけ取るかの実績を分析し、次回診療報酬改定の際の減算のネタにするのでは?と思ったり…
もしくは、点数を吊り上げて大多数の訪看がこの加算をとると申請したの確認後、この加算を廃止し、事業所運営条件として入れ込んでしまう…など、ネガティブさも否めないかなと。
長い目でこれは注視する必要があるとみていますが、短期的にみたら喜ばしいことですね。
口の中も連携してみてよって?
前々から、口腔内の衛生管理が肺炎リスクを下げるという事が、明確に点数化された形です。
今までなかった新しい加算項目になります。
訪問歯科をやっている医院と、日ごろから相談して対応(対応が何を指し示すかはまだ不明)する体制を文書(協定のようなもの)を取り交わして、日々相談できる体制を事業所として構築してね。
その中で、その利用者の口腔状態の評価をケアマネなどに情報共有したら加算が取れるというものです。
ただ、これ自体、どの業界がpushしたものなのか、どのシステムを動かしたいから導入されたものなのかという背景がいまいち見えていません。
調べていくのでしばしお待ちを。
歯科医側にうま味(この協定を結ぶことで収益が上がるなど)があれば、それをネタに近隣歯科医に説明し、導入してもいいかなと思っています。
運営規定をオープンにしなさいよって?
今まで契約時に利用者に提示していた重要事項等説明書をウェブに乗せて透明化を図れという事です。
現状できていませんので、こちらは4月までにおこなっていきます。
まとめ
さて、令和6年1月22日の今日に介護報酬改定の概要がでました。
みなさんは、重症を看て、しっかり看取り、丁寧に連携し、を主体にがんばってくれています。
これが、見事に点数が付いたと解釈でき、当社にとって割とポジティブな改定の印象です。
やっぱり真っ当にやればついてきますね!
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