見出し画像

店主の読書 8/27-9/2

こんばんは。本日もお疲れ様です。
ブックバー ハコニトです。
今年の5月にオープンして、本が読めるウイスキーバーとして地味にやっています。

期待しようがしまいが、
オープンしてそんなにいきなり大繁盛するわけでもないので、
「とりあえず、暇なときは本でも読も」
と思って、店に入れた本でまだ読んでないやつとか、個人的に読みたかった本とか、カウンターにつんでいるのですが。
不思議なことに、積んでいるほんとは違う本ばかり読んでしまいがちです。


①マタンゴ 最後の逆襲/吉村達也

富士山麓の樹海の奥深く、大型ヨットが浮かび、亡霊がさまよっている―その「都市伝説」を確かめようと訪れた五人の男子学生と二人の女子高生を包み込む極彩色の胞子の霧。そして現れたキノコの怪物!十年後―悪夢を忘れ、女優、作家、キャスター、刑事、実業家、細菌学者、宇宙飛行士として活躍する彼らのうち、四人の身体に異変が。十年の潜伏期間を経て、肉体がキノコに変身しはじめたのだ!その裏には国際バイオテロ計画が。伝説のマタンゴが、半世紀ぶりに蘇る。

あらすじ

映画「マタンゴ」の後日談的な小説。

9月に入って、まだまだ暑い日が続きますが、
9月といえば秋、秋といえばキノコ、キノコといえばマタンゴ。
というわけで、秋にはマタンゴのことを思い出しがちです。

世代的にはマタンゴと言えばドラクエというイメージだったので、映画を見るまでは、一本の大きなキノコのモンスターという認識だったのですが、元ネタ(?)の映画では、いくつものキノコの集合体で、マタンゴはキノコなんだけど、キノコ生えまくったゾンビみたいな感じか、中身の人間は一応生きてるといっていいのか、生きてたとして中の人は人間なのか、と想像膨らんじゃう生物ですよね。

なんかものすごく図太いと思っていた人が、よくよく話してみたら実は繊細なんだけど強くなるために繊細さをぎゅっとまとめて図太く見せてただけで、かといってそれがわかったところで、その人のことはよくわからないみたいな。
…?全然ちがうか。

まぁ。
原作ありの映像化は物足りないのと同様に、映画からの小説化はなんかちょっと違うと思ってしまいがちというか、結局オリジナルが一番ってなりがちなので。
マタンゴは映画版が好きなので、小説版とか読まなくても十分だったのですが、吉村達也さんのホラー小説が結構好きなので「吉村さん、マタンゴ書いてたんだ」と思って読み始めたというのが実際のところです。

せっかく秋にピッタリのキノコホラーではありますが、マタンゴの後はしばらくキノコ食べるの躊躇してしまう危険性があるので、キノコがおいしい秋を過ごしたい方は、気を付けてご覧ください。

②夜の声/ウィリアム・ホープ・ホジスン

凪の中、濃密なもやに包まれて停止中のスクーナーに、1艘の手漕ぎボートが近づいていく。
ボートを漕いでいる男はスクーナーの船員に声をかけ、ランタンの灯りを遠ざけてくれるように頼むと、自分は難破した船の乗客だったと話し、婚約者のために食糧を分けてくれないかと乞う。船員はいくばくかの食糧を入れた木箱を海に浮かべ、ボートの方へ押しやった。
その夜、暗く星の輝きすらない遅くに再び現れたボートの男は、婚約者は食糧に感謝していたがもうすぐ死ぬと言い、自らの体験を話し始める。

「夜の声」あらすじ

創元推理文庫版は表題作「夜の声」をはじめ、死の海サルガッソーや海に浮かぶ石の船、さらにはカビにのみこまれた廃船などにまつわる海洋奇譚全七編に〈カーナッキ〉シリーズの先駆「水槽の恐怖」を併録した短編集。

表題作「夜の声」は映画「マタンゴ」の原作(原案?)小説として有名です。マタンゴの続編を読んだので、原作のほうも読むか。と思って。

20ページ弱なので「映画原作」と思って読むとさっぱりしすぎた印象。
「夜の声」のエピソードを原案に、「もしも」を膨らませて映画にしたというほうが正しいのかも。
「マタンゴ」より「夜の声」のほうがジケジケしていて暗い感じでホラー感はあります。
「マタンゴ」の時はバイオホラー?社会派ホラー?(なんとなく怪獣ものっぽい感じもあるし)SF?とどのジャンルの心構えで見たらいいのか迷いましたが「夜の声」は海洋ゴシックホラーらしいモノクロ感もあって、個人的には好きな雰囲気のホラーで面白かったです。

全然関係ないけど、日本で海洋ホラーってあんまりないですよね。
七人みさきとか?海坊主とか?河童とか?
・・・河童は淡水か?
島国なのになー。
いや、島国だからこそか。海洋ホラーに囲まれてたら安心して漁に出られないもんね。

海洋ホラーに限らずなんとなく、ジャパニーズホラーってオカルトかサイコって感じで、バイオホラーでめっちゃ怖いやつ少ない印象。
七人みさきもけっきょくオカルト分類になっちゃいそうだし。
別にないわけじゃないけど、私がオカルト好きだから、そっちに目が行ってしまうだけか。

大脱線しましたが。
海洋ホラーとしても、ゴシックホラーとしても、物悲しような、ジケジケしたような秋にピッタリなお話でした。

「夜の声」は読んでもキノコ食べれるので、安心して読んでください。



そんなかんじで、キノコ尽くしの一週間でした。

この一週間は全然本読まなかったな…。
今週こそ、積んでいる本を読も。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?