どくびし

11月にポケモン剣盾を買って、めちゃめちゃ遊んでいる。ポケモンを遊ぶのはBW(ブラック・ホワイト)以来だから8年ぶりくらいか。ストーリーモードを爆速で終わらせ、はじめてのオンライン対戦に向けてYoutubeで色々調べまくった結果、「HB」という文字を見ても鉛筆が思い浮かばなくなるレベルまでには成長できた気がする。

「どくびし」というポケモンの技がある。「まきびし」の亜種のようなものだ。ネットで公式の技説明を見ると

相手の 足下に どくびしを しかける。 交代で でてきた 相手の ポケモンに 毒を おわせる。

と書いてあるわけだが、「どくびし」の説明文に「どくびし」自身が登場している。完全にトートロジーである。他の技、たとえば「れいとうビーム」の説明はこう書かれている。

凍える ビームを 相手に 発射して 攻撃する。 こおり状態に することが ある。

当然「れいとうビームを発射する」とは書かれておらず、凍えるビーム、と言い換えられている。れいとうビームとは何ですか、と聞かれているのだから当たり前だ。説明にれいとうビームという言葉を使ってしまうと、知らない人は結局説明文を理解できないままになってしまう。

それがどくびしときたら

相手の 足下に どくびしを しかける。 交代で でてきた 相手の ポケモンに 毒を おわせる。

だ。平然と「どくびしを仕掛ける」と言い切っている。こうなったら、どくびしの意味をこちらで想像するしかない。「まきびし」の毒タイプバージョンだから「毒」+「撒菱(まきびし)」なのは想像がつくが、この2語を足し算して「どくびし」になっていいのだろうか。

撒菱という言葉を分解すると「撒き」+「菱(びし)」になる。忍者が追っ手を足止めするために使う道具だ。
で、「どくびし」は「毒」+「菱(びし)」なので、どくびしは毒の菱ということになる。「まきびし」と完全に兄弟の概念ということになりそうだ。

登場時期は絶対にまきびしのほうが先なわけで、「どくびし」という概念は完全に「まきびし」の子供であるにも関わらず、兄弟を名乗ろうとしていることになる。遺産相続でもするつもりか?

まきびしの毒バージョンを名乗るなら、「どくまきびし」になっていたほうが自然ではないのか。

調べてみると、「菱(ひし)」という植物があって、これがまきびしの語源になっているらしい。三菱のロゴとか、ひし形の名前の由来になっているのもこれだ。

やっぱり「どくびし」だと「毒のついたまきびし」じゃなくて「毒の入った菱の実」ということにならないだろうか……

と思いきや、まきびしのWikipedia(なんにでもWikipediaの記事がありますね)に

菱の実を使用するものは天然菱、木製のものは木菱、鉄製のものは鉄菱と呼ばれる。

と書いてあった。木菱(もくびし)とか鉄菱(てつびし)とかが普通に使われていたらしい。つまり、忍者の全盛期にはすでに「○○びし」→「○○のまきびし」という応用が確立していたことになる。で、ゲームフリークがこの応用を数百年ぶりにリバイバルしたのが「どくびし」というわけだ。

木菱や鉄菱くらいしかなかった菱の種類に、21世紀になってはじめて「毒菱」が加わったのだ。「どくびし」は、数百年続く菱史(びしし)に新たな1ページを刻んだと言っても過言ではない。

この関係性、ダイパ以来14年ぶりに新しい兄弟分が追加されたレジエレキとレジドラゴみたいだな。冠の雪原はまだ全然終らせていないので、レジ系もガラル三鳥も早いとこ全員ゲットしてしまいたい。最近剣盾遊べてないし、明日ちょっと進めてみようかな。

……まきびしの事を考えていたら、ずいぶん間(ま)の抜けた結論になってしまいましたね。きびし~~~!!!

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