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千葉の青龍は強かった①

前書き

八千代松陰が関東の決勝の舞台に立ったのは2019年の秋以来。僕はそこに立っていた。千葉の他の学校の先生から「全国行けよ、がんばれよ」と声をかけられたのを覚えている。チームもそれに弾みをつけたはずだった。

しかしコロナが僕らを襲った。春の大会はおろか夏の大会も1試合の交流大会のみ(やってくれただけありがたいとは思っています)。不完全燃焼で高校や悠が終わった。そんな僕らの大学入学と同時に高校に入ってきたのが高校三年生の代。生まれ変わりとかじゃないけど、「見に行くならこの代だ」と思った。

というわけで地縛霊的にこの関東大会を見に行き、今この振り返りを書いているんです。気持ち悪いでしょう。けどそれだけ楽しかったんですよ、高校軟式野球。

もしかしたら本当は違うんじゃない?とかあるかもしれないけどつらつらと読んでくれればと思います。


正智深谷戦

スターティングメンバー
正智深谷           八千代松陰
1 捕 新井         二 伏見
2 投 井上         中 倉持
3 中 山口         遊 木内
4 三 清水         左 藤田
5 遊 長尾         三 富澤
6 左 田口         捕 中川
7 一 高中         右 川村
8 右 石川         一 小林
9 二 今村         投 佐藤洸

シートノック

高校生ってこんなに声出るんかという正直な感想。自分たちの時にこんなに声出してたかというくらい出ていた。野球が楽しそうに見える、こんなに野球って見てて楽しいのかと思った、久しぶりに。

コーチは大会運営のために外野ノックはなし、キャッチボールをして内外連携に備える。
内野手の中で目を引いたのはセカンド伏見君、ボールへの入りもいいけど、4-6-3での体の反転がみていて気持ちよかった。そもそも八千代松陰は内野のレベルは元々高いところがある。僕らの代も捕手と三遊間は一個下だったし、僕らも一個上の代の試合にスタメンで出ていた。外野は案外年功序列な印象がある。
そんな八千代松陰の内野陣のなかでもこのチームの持っている安心感は計り知れないものだった。実際準決勝までの3試合で失策0はこのチームだけだし、キャッチャー中川君は大会1の補殺数を記録した。

この野手陣に守られたらどれだけ安心なんだろう

僕はそう思った。

「にしても監督さんも年だな、、」
そう思う僕もいた。僕がいた時点で定年、打球も弱くなっていた。この関東でも少し寂しく感じたけど、バットコントロールだけは本人も鼻にかけるほどだ。現役時代「ベースに当てられるんだよね、すごいでしょ」とか言ってきた監督さんのことを「また言ってる」とか思っていたけど、実際なんでこんなに狙えるのか意味が分からない。今大会も、意味が分からなかった。

どちらにしてもそろそろコーチ、ノック変わってやれ。

試合評

八千代松陰の先発は佐藤君。コーチ曰く「もっと痩せてくんねえかな」という恵まれた体格から投げ込む球は角度があり重い。序盤はストレートと小さめの変化で打者を手玉に取った。結局3者凡退にした投球回が半分を超え、テンポ良いピッチングだった。

打線は初回に先制パンチを決めた。
倉持君がアジャスト。レフトオーバーに相手のミスも絡んで1死3塁の好機。エンドラン失敗も相手のミスによって生還。1点先制した。
そのあと出したランナーも返して2点先制した。

3回裏には無死2.3塁の好機を作るも内野フライと遊直併殺で逸機。その次の攻撃正智深谷が1点返した。
レフト線を破るチーム初安打を打った新井君が盗塁。山口君がライト前へのタイムリーを放った。

序盤は2-1でリードする展開。気になる点があった。

一点返された場面、一二塁間を抜ける弱いゴロもライト前へ。セカンドが声をかけたように見えるがファースト横のゴロのような気もした。フィルダースチョイスでもなくエラーでもない。しかしミスだと思う。セカンドがうますぎるが故のミス。夏まで詰められそうだ。

しかし松陰はテンポがよかった。攻撃も見ていて面白かった。後半はエース齋藤君が粘り、粘る正智深谷を下した。

先発佐藤君は途中からカーブを聞かせたピッチング。カーブは大きく立て割れし、正智打線は沈黙した。
齋藤君はきれいな球を投げるように感じた。自分自身で僕と似ていると思った。ただ当時の僕よりも威力があった。特に低め。エースとしての風格は必要以上。落ち着いて投球し、バックもそれに答えた。

打線は切れない。三者凡退も少なく、ピッチャーのいやなところを責めていた印象。
木内君・倉持君はマルチ安打。コンタクトが強いバッターに感じた。
木内君は「そんな打球1年に一回だ」といわれてた。それだけ仕上がってたのを感じた。

三浦学苑戦

翌日の二回戦、タイブレークの末茗渓学園を破った八千代松陰。準決勝で対峙するは三浦学苑。打倒中京大中京を掲げる関東の雄だ。

2019年秋の決勝含め、松陰はよく茗渓・三浦とよく当たる。ブロックがよく固まる。因果か。

スターティングメンバーは変わらず。先発は齋藤君。

試合評

終わってみれば5-1で八千代松陰の完勝。先発齋藤君は無安打完投。初戦よりも調子よく感じた。リベンジありがとう。

試合だが、序盤は拮抗した中で少し松陰有利に動いた。4回まで毎回ランナーを出し攻め続けた。今回三浦学苑は魚住君・大町君と右手変則投げ二枚看板を要した。大町君は現エース、秋の大会は魚住君がエースだった。

2回に両チームとも点を取ったが、チームの特色が見えている。

三浦学園はフォアボールで出たランナーが盗塁、送りバントで1死3塁とした後、セーフティエンドラン(セフエン・叩き)で先制。らしさが存分に出ている。さんざん警戒されている中で決められるのはそれだけセフエンに自信がある証拠。ここはさすがだなと思った。

対して八千代松陰、攻撃的なチームに感じる。エラーのランナーをヒットで返す。シンプルにして一番強い攻撃パターン。それができるのはミスしない選手の強さだと思う。

思い返せば2019年、よっぽどのことがない限り送りバントは出なかった。メジャーのような戦い。1・2番がヒットで出て3,4,5で返す。6~9でまた作って1,2で返す。打てることが前提の戦いだったが、打てた。

このチームはミスをしない。目立ったミスを絶対にしないチーム。送るときは送る。エラーはしない。次の塁を欠かさず狙う。次のことが念頭に置かれた強いチームだった。ワンチャンスをものにする。8回の得点も相手のスキを逃さないものだった

あとがき

決勝はエラーが絡んで浦和実業に敗れた八千代松陰。あと一か月もすれば南関東に進むか否かが決まる。
そして南関東の舞台は袖ケ浦だ。
千葉の二枠に入れるか、南関東を突破できるか。浦和実業にリベンジできるか、正智深谷のリベンジが来るか。
弱点はどこか、左ピッチャーか、インコースか

千葉の青龍は確実に、夏、昇る。


暇つぶしで書いていきます。