詩】「火葬」

抱えたもので暗くなる
ハシタナイね
恐るる炎にその身を叩き堕とせ
そしたら足掻こうとするね

知恵を得られぬまま時が経ち
骨からはパチパチと音がした

鼓膜はとうに溶けている
あれは蝸牛だったろうか
容れ物からは逃げ出した
なにせ燃えているので

惜しくも生命が崩れてゆく
力の方向に正直な精神は
過去の力積を覚えている

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