映画 「凶悪」をみて雑感​~性善説なんてクソくらえ~

実際にあった事件をもとに作られた映画。しかも、新潮文庫からでてる原作本が10万部のベストセラー、これに出た我が電気グルーヴのピエール瀧が日本アカデミー賞受賞と2013年でも案外注目されていた作品。ある死刑囚から雑誌記者に告発した内容。それは殺人事件の裏側には「先生」という存在がいたこと。その真実を追う記者が待ち受ける、戦慄の真実とは。

おもしろそう!

もともと結構見終わったあとに、うあ…と心にズーン食らうサスペンスものとか、アウトローな話が好みなもんで、「セブン」「バッドマンダークナイト」とかいまでもたまに見てしまう小生。いつだか、この映画の話を聞いて、脳内いつか見てやろう映画ランキングの上位に輝いておりまして、某TUTAYAの新作コーナーにあったので即借りることを決意したのが、お昼過ぎの話。で、急にカレーライスが作りたくなり、ビール片手に豚肉と鶏肉の男カレー(こくまろ)を作って食ったのが夕方位。映画を見終わったのが今しがた。で、まず、思ったこと。

「これ、カレー食いながらじゃなくてよかった…」

これ、なかなかでございます。残虐シーンがありまして。ええ。

仕事柄グロ耐性にはかなりの自信がある私なんですが、これ慣れてない人はトラウマになるだろうなってシーン盛りだくさんだし、なによりもピエール瀧とリリー・フランキーの演技力に脱帽。ぶっちゃけ、被害者を殺すシーンの演技にはものすごく見え隠れするんです。加虐を楽しむ人間、そこにはおもちゃで遊ぶような妙な幼さが伴っていること。人間を人間としてではなくあくまで超自分本位でしか行動してないこと。これ、幽遊白書の仙水編黒の章(わからない子は、20代後半以降のお兄ちゃんか、google先生に聞いてみよう!)にリンクするくらいのなかなかの衝撃でございまして…。

てかね、出てくる奴らは悪なんですわ。その微妙な人間描写感のほうが俺には気持ち悪くて。しかも、この話が現実に起こっていたことが頭にぶちぶち突き刺さる。胸糞悪さと尋常じゃない不快感が満載という。

でも、これみてると思うんですよね。

まぁ、連続殺人しちゃう人とかその周りの人間なんて、我々の考えの範疇に収まるわけがないんですが、少なからず人間の自己中心感って時に狂気を感じる時はあるよなと。

例えば、大好きなからあげ定食を頼んで、隣のお客さんよりも自分のから揚げが少し小さいと感じた時のあの、なんでお前みたいな人間のほうがデカいねん!!!死ね!!!という感覚。

え、お前のスケール小さっ!!!て突っ込みは置いときまして、そう感じるのは、本能的なものであって、普段は理性なりで押さえこんでいるわけで。決してそのお客から奪うことや定食屋のおばちゃんの顔面に拳をめり込ませることなんてそうそうあるわけがない。そんなんで難癖つけてるやつ見ると冷たい眼で見られるのが世の情け。社会的にとか、立場とか、他人の目とかを気にするからこそ理性が働くってこともあるだろうし、それが社会というコミュニティで他人と共存できる理由でもあると思うんです。良くも悪くても。

だけど、その箍が外れたとき、人間が驚くほど自己中心的になった瞬間の狂気、自分の中に住んでいる悪という存在って絶対あるわけで。

それが、怖いとこの作品をみて思えるうちは、まだどうにか犯罪者にはならないで済むのかなと思う次第です。

たまには、自分の中の狂気に触れてみるのはいかがですか。



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