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茶(チャ)

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=0000000002875

東京郊外「花散歩」
こきかほる
2006-11-04 13:02

 晴れて乾いた気持ちよい陽気が続く。午前中、玉川上水の土手の様子を見ようと散歩に出かけ、境橋の途中から木々の茂る分離帯に入った。そこは玉川上水から分水する仙川(千川)を挟んだ細長い公園になっている。あまり人影がなく、人が姿を見せるのは樹木の剪定(せんてい)のときぐらいという印象の静かな公園である。外側からは毎度眺めていたが、中に入ることはほとんどなかった。車道に囲まれ、ちょっと入りにくいのである。

【画像省略】
チベット原産。原産地では高木になるが、日本、中国では1メートル前後の低木。蕊(しべ)の多い白花が初秋から冬に開く(切り絵も、こきかほる)

 高木の茂る空間に入り込むと、すぐに「千川上水」という字が彫りこまれた碑が小高く置かれていて、その下に細く浅い千川が流れている。近くに説明書きの立て札があり、千川は1696年に将軍の立ち寄り先である小石川御殿や浅草寺ほかへ給水するため、また江戸市中への飲料水や農地の灌漑用として掘られた、とある。昭和46年(1971年)に最後までこの上水を使っていた大蔵省印刷局が使わなくなって流れは途絶えたが、平成元年(1989年)に、都の清流復活事業でよみがえったのだ。

 千川べりは木陰で、それなりに手入れをされているためか雑草が茂るという状態ではなく、草花もなかった。人の姿もない。聞こえるのは鳥の声と五日市街道を走る車の音だけ。流れに沿って青木や空木(ウツギ)などの低木が茂る。こんもりとした茶(チャ)の木に花が咲いていた。その隣に同種の山茶花(サザンカ)も花をつけている。

 このあたりではお茶の木はあちこちによく見かける。いまでも残っている畑地の囲いや、その名残の片隅などに。そういうのを見ると、どんなにか人の役に立っていた木であるのかがわかって親しみがわく。

 姫如苑(ヒメジョオン)や大葉子(オオハコ)など雑草が生える横断歩道に接するところでUターンした。反対側の川辺にもお茶の花が咲いていた。小枝を手折って、玉川上水べりに出ようと、入ってきた抜け口を出た。(ツバキ科)


 東京郊外「花散歩」2時鳥草(ホトトギス)
 東京郊外「花散歩」1秋海棠(シュウカイドウ)

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記
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この記事についたコメントは1件。

1 うしき@篠ノ井 11/05 09:56
常緑の葉の様子から椿の仲間とは思っていましたが、白い花は見たことがありません。毎回のステキなきり絵、楽しみにさせていただいております。


現在は、たいていのものは検索すればササッと出てきますが、ネットワーク機器がない時代には図書館へ行って調べたりしないと、このような花がどんな見た目なのかは知ることはできませんでした。ちょうど良い時期に旅行で現地へ訪れてお茶の花の実物を見たり、どんな匂いがするのか嗅いでみたり、実際にそこへ行ってみないとできないこともまだまだ多いですが。

原色カラーワイド図鑑の鉱物の巻を見るのが好きでした。なんてことのない工業原料のホタル石ですがはじめてもらったときは大興奮でした。