見出し画像

教育がテーマの番組にバラエティが必要か

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003117

“秋の教育スペシャル!たけしの日本教育白書”を斬る
菊池 浩史
2006-11-14 00:01

いじめに児童虐待、更には必修科目の履修漏れと今までにも増して教育に関わる問題が大きく取り上げられて、さまざまな議論が行われています。最近ではニュースや新聞などでこれらの話題を見聞きしないことがありません。日々、何らかの事件、しかも命に関わる出来事が発生していると言っても過言ではないようです。また、安倍内閣の誕生と同時に教育再生会議が発足し、国民の関心が非常に高くなっています。

そのようななかで去る11月11日、フジテレビで午後6時から6時間番組「秋の教育スペシャル!たけしの日本教育白書」が放送されました。サブタイトルが、“楽しくマジメに生放送「1億3千万の国民と考える日本人の品格…いじめ自殺・学級崩壊 崩れゆく日本の教育…たけしが…爆笑問題が熱く語る日本の未来」となっており、内容は、現在の惨状を描く一方で、歴史及び諸外国から失われた品格を学び取り戻そうとの趣旨で構成されていたようです。

学級崩壊の現状をドラマで再現し、「子供が子供なら親も親」という事例を紹介するなかで、品格が失われた状況を伝えようとするのはわかります。また、日本においても特に江戸時代には、日本人らしい品格が備わっていたことや、諸外国での教育システムの成功例などが紹介されていました。今の日本に何が欠けているのかを訴えようとしたのでしょう。

この番組を見終えた印象は、正直言って「軽薄さ」しか残っていません。たけしと爆笑問題は、何かに付けて面白可笑しく話を展開させ、受け狙いと取られても仕方がない司会ぶりでした。少なくとも私にはそのように見えました。ゲストのなかには、呆れ顔の方もおられたようです。国内外のいろいろな取り組みも結局は茶化されてしまい、真剣に考えていこうといった姿勢、真摯に何かを主張したいという思いが全く伝わってきません。

こんな番組を見た子供たちは一体どのような感想を抱いたのでしょうか。冗談を言い合って、揚げ足取りをして、他人の失敗を笑いのネタにするような大人のマネをする子供も少なくないような気がします。一方、大人からすれば、ただのバラエティ番組にしか過ぎないのではないでしょうか。そう割り切れば、腹が立つこともないのでしょうが。もっと視聴者に真剣に考えさせるような内容や番組構成にしないと単なる雑音にしか過ぎません。その点では、少々固さはあるものの、NHKが放送する同テーマに関する番組の方が見応えはあります。

同番組のサブタイトルにあるように、難しいテーマの問題を楽しく真面目に議論していくために、時として“笑い”の要素を取り入れることに頭から反対するわけではありません。むしろ、時と場合によれば、良い意味での“遊び”が有益なこともあるでしょう。

但し、今回の番組に関しては、たけしと爆笑問題のキャラクターにも拠ったのでしょうが、真剣味が全く伝わらない、レベルの低いものとしか言いようがありません。いじめや虐待、学級崩壊に関係している方々にとっては非常に重大な問題です。その危機感が感じられません。いっそのこと、毒舌の漫才番組として放送されたら良かったのではないでしょうか。

真剣に議論するときには真剣に議論する。その上で、間合いのなかに楽しい笑いがあるのは結構です。視聴者の多くは、多かれ少なかれこの問題に悩み、関係する人のはずです。普段はお笑いの方が、もっと真剣な顔で語っていれば、また違ったメッセージを発信していたのではないでしょうか。それとも、無いものねだりでしょうか。

オーマイニュース(日本版)より

フジテレビだから」のひとことで全部説明できます。

『8.その他の娯楽番組【関東地区】』でフジテレビの番組は1つも入っていません(2023年10月30日(月)~11月5日(日))。視聴者からそっぽを向かれるテレビ局がまともな番組を制作できるとは思えません。娯楽番組でさえ見られていないなら真面目な議論が必要な教育関連の番組に期待する視聴者がいると考えるほうが可哀想だと思います。