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精神医療の現場から

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000002153

自殺志願者Aさんとの会話で思う
Y原 H信
2006-10-11 08:39

 私の勤める社会福祉法人が精神障害者居宅介護事業に参入するので、ある精神病院に研修にいってきた。

 病院の精神保健福祉士の方が患者さん達に私を紹介したあと、うつ病を患うAさんが間髪いれずに話しかけてきた。

 Aさんは32歳。自殺未遂を起こし、入退院を繰り返している。「例えば芸能人が薬物乱用で逮捕されたら、それはとてもマイナスイメージだけれど、薬物乱用で死亡してしまった場合は神の如く崇め奉られたり、ファンはむしろ増えたり、ニュースでも扱いが違うわけで、いざとなったら死んでしまえば万事解決という公式を導き出すのに充分な事象の数々が、ボクを自殺という『生』からの開放へといざなうのは自明の理なので『死にたい』」。そしてこう続けた。「Y原さん、一番楽な死に方知ってる? それは……」。具体的な方法を彼は語った。

 人間はアイディンティティを完全に喪失した時、自殺を選択するのだと思う。約20万年前に出現したネアンデルタール人には、死者に花を捧げ、悼み、埋葬するという概念があったという。いわゆる宗教観念を持ちえていたのかも知れない。「死」とは何か、ということをその時から人間は思考していたのであろう。

 「Y原さん、カマキリのオスは(種類によって)生殖活動を終えると、自分の身をメスに捧げるだよ。役目が終わったら『死』を選択するんだ。メスに食べられてしまう」。そうこぼした。僕はカマキリのオスの死と人間の死を混同できない。なぜなら人間は自己のDNAを存続させるべき生殖活動を終えても、生きている価値を見出せるアイディンティティを持つ術を知っているからだ。それにカマキリのオスの「死」は決して無駄死にではない。メスの産卵にむけての立派な栄養になる。自分の身が産卵の役に立つ。

 しかし人間の自殺は違うのではないか。役に立つどころか、そこから何も生まれないと私は考える。いろんな理由で人間は自殺するが、少なくともAさんが試みる自殺からは何の価値も見出せない気がした。「死」を軽んじているのではないか。ということは「生」をも軽んじているのだろうか。生きているアイディンティティを「死」の神聖化に置き換えているのだと思う。

 Aさんが満面の笑みで言った。「自殺という行為は、人間という動物だけの特別な行為だから。人間が常に思考している証だから」。これを聞いて私は残念でならない。なぜなら、人間が高等な動物だからこそ「死」に対して涙するのだから。

オーマイニュース(日本版)より

この記事についたコメントは3件。

3 K納M和 10/11 21:14
一応、おおよそ同年代かな。そのAさんと。うつ病と診断されたのは一緒だけど、自殺未遂事故を起こして入院したことはないな。

生きていたいとはあまり思わないけど、がんばって議論しようとは思わないな。自殺に有用性は感じないし。逆に、全くの無意味とも思わないし。

>人間はアイディンティティを完全に喪失した時

ん~、そうなのかな。。その意味のアイデンティティって何ですか。
そこにいてもいいかなぁと思うことぐらいの内容?

でも今の日本で、そんなにすごく「疎外」されますかね。
いまいち、その「完全喪失」状態を想定できません。

>そこから何も生まれないと私は考える。

でしょうね。別に生む必要性は感じませんけど。
どちらかというと、単に消えたいだけなので、議論する必要性を
感じません。他人に言う必要も、もはや感じない。

「消えたい」という人は意外に多いと思ってますけど。

2 四季 10/11 15:41
うぅ~~~ん・・・・・yonemura(norma1) さんはかなり厳しいご意見をお書きですが、本質的にはそういう事だと思いますよ、現場に携られるのなら対象者は多岐に渡ります“PSW”の国家資格は必要でしょう。

志は立派だと思いますが熟考を要します、記事に有るAさんの自殺念慮をお聞きに成っただけでも、大変な仕事だと言う事は認識されたと思います。私の身近で起きたウツの患者さんの自殺事件ですが、前夜家族でビールなど飲みながら楽しそうに談笑して、翌早朝自殺されてしまいました並大抵の仕事ではない事だけは認識して下さいね。

1 yonemura 10/11 11:41
言うことがまるで素人ですが、あなたは精神医療の専門訓練を受けたことがないのでしょうか。

そういった人が勤める社会福祉法人が
>精神障害者居宅介護事業に参入する
のは非常に危険だと思います。

患者との会話がどうのこうのという前に、早急に事業見直しを
社会福祉法人に進言すべきです。


この患者さんが語った一番楽な方法はおそらく練炭を用いた一酸化炭素中毒でしょうが、ダウトを出しておきます。

元はトカナの記事なのでアレですがw いろいろな事例を見ていくと頚椎の脱臼で意識が即とぶ首○りがおそらく一番楽だろうと思います。実行に移すまでの決断力は必要でしょうが、実際の苦痛は長くても20秒程度かなと推測。もちろん体験したことはないので本当のところはわかりません。

居宅介護サービス(訪問介護とかヘルパーさんとか)がないとやっていけない家庭も実際のところは多いんじゃないかと思います。自力歩行が困難な要介護者さんだとトイレ(おむつ)の交換とか一日に複数回必要ですし。

入院で個室なら1日1万円、介護サービス付き住宅(アパート)なら月15~20万円、自宅で訪問介護サービスを受けるなら入浴やおむつの交換、食事の支援とかを含めて4万円弱くらいですかね。アラブの石油王でもない限りは訪問介護サービスを受ける選択をすると思います。※特養(特別養護老人ホーム)は多少マシになったとはいえ今も「空き」待ちの状態ですし。入居施設の場所を選ばなければもっと簡単なのでしょうけどねぇ。