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個人負担増の影響は?

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000001968

医療保険改正の現場の混乱
K宮山 K祐
2006-10-10 11:44

【画像省略】
写真はイメージ

 10月1日より医療保険の改正がおこなわれました。さまざまなメディアでも取り上げられていますが今回の大きな変更点は2つ。老人保険を持っている人で現役並み所得の方々は、病院の窓口負担が2割から3割負担になったこと。現役並み所得とは、課税所得額が145万円以上で、年間収入が夫婦ならば約520万円また単身者ならば約380万円の人たちのことを言います。もう1つは入院費の食事費や光熱費までもが全額自己負担になったことです。

 現在、私の勤める病院での外来で一般的なリハビリに通院されている現役並み所得の患者ならば、4月までは窓口の負担が一律90円だったのが8月からは2倍の180円。そして10月1日からは1割増(つまり3割負担)の270円に値上げする形となります。同じリハビリの内容でも4月と10月では3倍の負担増となりました。また入院患者の場合、入院基本料の増減はあるものの食事負担と光熱費の全額自己負担によりおよそ1カ月10万前後の負担増を予想しています。(実際は8万円強となりました)

 もちろん収入が少ない患者(つまり現役並でない高齢者)には今まで通り1割負担の患者もいます。ですが3割の対象者を絞り込むことも困難ですし、それができたとしてもどの点がどう自分に影響するか理解してもらわなければ病院離れが進むかもしれません。正直なところ、年金等の収入が増えてもないのに通院や医療に対する負担が増えることは必要に迫られて医者にかかっている人にまで影響を与えかねないと思います。私の勤務している病院としても、患者数減少を抑えるために院長による無料医療相談窓口を設置したり新しい診療科の開設と工夫はしていますが、今年4月の保険改正の影響もあり実質的な病院の収入は減っているのが現状です。

 私がこの医療業界に入ったのが6年前。それから2年に1回の保険改正のほか、平均的に年2回程度の保険改正がありました。その都度、窓口で患者に説明して理解をしてもらわないといけません。中には病院側が儲かっていると勘違いしている患者もいます。患者に理解してもらうのも私の仕事であると思いますが、改正の度に患者に説明が難しくなっていく場合も多々あります。
 
 例えば、月末にある患者が国が定める特定疾患の高血圧症などで28日分の長期投与があった場合、処方料として長期投与加算(65点 1点=10円)が患者からいただけます。しかし同じ月内に長期投与加算が算定出来ない短期間の投与があった場合、特定疾患処方管理料(15点)として算定していたのが算定出来なくなります。そうなると前回の窓口負担金額からの返金という形になり、患者さんもなかなか理解してもらえないのが現状です。

 現在の日本の借金の現状は理解出来ます。ただ現場で働いている立場から書かせてもらうと5年後、10年後先を読んだ保険改正ではないなと感じます。4月の保険改正でも全体的に意味もなく診療報酬がカットされたと感じる部分があることも事実です。実際には病院に通院するのは老人の方ばかりです。今回も老人の方に負担を増やしてもらうのであれば、せめてもっとわかりやすい保険改正を望みます。

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


この記事についたコメントは6件。

6 K納M和 10/11 20:55
>現在の日本の借金の現状は理解出来ます。

ほんとに?1700兆円という膨大な借金です。しかもプライマリバランスも
保てるか分からないのに。

あと「分かりやすい」改正といいますが、誰にとって分かりやすい
ことが重要なのでしょうか。

というのも、私はこれでも?うつ病患者で薬局に月一回は行きます。
そうすると、私を子供を扱うように「何々ですかぁ~」みたいな
感じで、かつ事務的に話しかけてくるので(でこちらの言うことは聞いていない)かなり気になります。

なんか理解力がないことを前提としているようだ。。。と思います。
さすがに理系に冷たい国だ、とは思いますがね。

そういう意味でしっぺ返しを受けてるのでは。

5 こみー 10/11 01:52
はじめまして。この記事を書いたK宮山です。
この記事で不快な思いをさせてしまった方がいるので
あればここで謝りたいと思います。
今回この記事を書いた理由は毎回保険改正が行われるたびに
実際に支払う患者さんに理解しにくい事が度々あるのでもっと将来的にみた
社会保障制度を確立させたらと良いなと感じました。
確かに理想論ではあると思います。
でも実際の現場の状況を知っていただきたいと思って今回記事にしました。
今回の改正では主に収入のある高齢者に負担が増えているのであって障害者や低所得者の方には今まで通りの負担となっているのは間違えありません。

4 タケ坊 10/10 22:41
>>3 Mulder(akky40)さん
仮定の話をしてもしょうがないでしょう。
個人的な話と最初から断っている。

誤解されているのかもわからないが、仕事に影響が無いはずはなく収入はかなり減っており、正直生活は楽ではない。
将来のことを考えると暗澹たる気持ちになるときもある。
それでも泣き言を言ってもはじまらないと思っている。

>>1にも書いたが色々なケースがあるのだろうが、老人ホームを姥捨て山と勘違いしている奴が多すぎる。
ニュースで見る老人の孤独死なども本当に天涯孤独だったのかなと懐疑的に見ている。

父母とも国民年金しか貰っていないが、それに少々の援助をすれば少なくとも俺の家はまわっていける。
それすら出来ない方々もおられるだろうが、そういう方々を救うことには異論はない。
ただ、この記事を見ているとそういう不幸な方が大多数で国は見殺しにしているとでも言いたげで不快感を感じる。

うちの場合は寝たきりと同時に障害者手帳を発行していただき医療費は全額無料というのもある。
これだけ支援していただいて文句を言えば罰が当たるというものだろう。
そのことがこの記事に書かれてあるか?

3 Mulder 10/10 19:02
>タケ坊さん

もしあなたが交通事故などで大怪我をして、障害者になってしまったらどうしますか? 同じことが言えますか? 自分でどうにかできる人というのは、おおむね同じような状況にある他人に対して厳しい傾向がありますが、自分ではどうにもならない人も少なくないことを知るべきでしょう。

2 kz 10/10 15:49
私もとても興味を持って眺めている問題です。
今回の改正についてどの様に考えるかは非常に難しい問題ですね。
ある基準を定めて、それ以上の方に3割負担と言う一般の方と同じ負担をお願いしています。これについて3割は多いと言う意見と3割なら一般と同じなので良いだろうと言う意見、両方ありえます。また所得基準額が適切か低すぎるかというのも議論の対象になるでしょう。賛否はともかく数多くの方に考えてもらいたい問題です。

また入院についてですが今回変わったのは療養病棟に関わる入院だけだと記憶していますが如何でしょうか。通常の入院については今までと同じだと記憶していますので、そうであれば少し紛らわしいかと思いました。
感情は非常に選びにくいですが現状の医療を取り巻く厳しさに対して。

1 タケ坊 10/10 13:12
個人的な話で申し訳ない。

俺の家は母が介護を受け、父は障害者だ。
文中に書いてある通り負担も増えた。
しかし、国の方針に不満などはないし、そのサービスに納得し、満足している。
中には苦しい方もいるのかもしれないが、国に文句を言う前に他に方法はあるだろうと思うのだがそういう考えはおかしいのだろうか。
俺は仕事もしながら在宅介護を選んでいる。
幸い父も障害を持ちながらも母の世話をするのには支障がないのでなんとか家はまわっている。
もちろん大なり小なり生活に影響はあるのだが、母の介護と引き換えには出来ないという思いで日々生活をしている。

色々なケースがあるのだから軽々しい批判は出来ないが、関係者に話を聞くと介護施設にまかせっきりで入所の時にしか見たことのない家庭も1/3ほどあるらしい。
そういう社会の空気のほうがおかしいと思う俺のほうがおかしいのか時々わからなくなる。

とりとめもなく他人にこんな話をして、自分も何が言いたかったのかはっきりはわからないのだが、最後に記者に言いたい。

偽善者は黙ってろ。


最初から全部おんぶにだっこというのはさすがにアレかなと思いますね。できるところまでがんばってみて、それでももう無理となる前くらいに頼るくらいが援助を受ける側、負担をする側双方が納得できるラインじゃないかと。そのあたりを客観的に見極めてもらうためのケアマネージャーさんでしょう。

毎日きちんとご飯を食べて適度に運動して夜ふかししないで睡眠をきちんととって健康を維持するだけでも、回り回って相当な節約にはなります。