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新聞は批判より前に自省すべきではないか

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000001906

福島県知事辞職報道 メディアの役割を問う
記者名 田村 栄治
2006-09-30 01:32

 福島県の佐藤栄佐久知事が辞職を表明しました。28日付の各紙朝刊は、この動きを1面で報じ、3面や社会面で関連記事を展開しています。

 辞職のきっかけは、知事の弟らによる談合事件です。公共工事の業者選びで、知事の親族が大きな影響力をもち、建設業者などもその力を頼って金を渡すなどしていたということですので、けしからんことなのは間違いありません。ですから、新聞が「けしからん」と声を上げること自体は悪いとは思いませんし、新聞にはそういう役割もあると思います。
 
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福島県の佐藤栄佐久知事が辞職願を県議会議長に提出した。事件で道義的責任は免れないと判断した(27日午後、福島県庁) 【時事通信社】

 ただ、記事のなかには、読んでいて「そんなこと言うけどさー」と口走りたくなるものがあります。28日の読売3面の署名コラムは、そんな感想を抱かせる典型です。

「周囲の注意 無視した知事」という見出しと、怒った顔のマークがついたそのコラムは、次の文章で始まります。

 「事件の背景には、福島県政史上初の5選という『多選の弊害』がある。逮捕された実弟や支援者が『建設業界と癒着している』といううわさは、関係者の間で、半ば“公然の秘密”だった。しかし、周囲から注意されても知事は『弟を信じている』『支援者は県政に近寄らせていない』と擁護し続けた」

 コラムはこの後、知事は県民の批判に耳を貸さず、事の重大さをわかっていないようだった、と続きます。多選によって感覚がまひし、周りがみえなくなっていたという指摘は、恐らくそのとおりなのだと思います。

 引っかかるのは、弟らと業界の癒着が「関係者の間で、半ば“公然の秘密”だった」という部分です。

 関係者たちが癒着について半ばおおっぴらに話しているのを記者が知っていたのであれば、新聞はなぜそれを追及しなかったのでしょうか。いつから公然の秘密になっていたのか書いてありませんが、知事が5選されていることを考えると、癒着のうわさは何年も前から出回っていた可能性もあります。もしそうであれば、新聞はかなりの長期に渡ってずっと、公然の秘密の談合に対し、無策だったことになります。

 検察などと違って、新聞には捜査権はないので、独自に犯罪を明らかにすることは困難です。だから新聞はどうしようもなかった、と考えることもできるでしょう。

 しかし新聞は、公器をうたい、「権力のチェック」を大きな役割の一つとして掲げています。県庁に賃料なしで仕事場を構えているのも、県議会に専用席があるのも、知事と定期的に会見できるのも、すべて県民たちが新聞記者のことを「権力の見張り役」だと認めているからのはずです(少なくとも理屈のうえでは)。

 犯罪構造の全容究明は難しいとしても、癒着が「公然の秘密」だったのであれば、談合の事例を一つでも二つでも表に出すことは、新聞にも可能だったのではないかと思います。

 そう考えると、公然の秘密だった知事側と建設業界の癒着について、検察の捜査が入るまで新聞が何もできなかったのは、読者や納税者たちに対して十分なサービスができなかったということです。新聞はこのことを恥じるべきです。

 朝日の社説(「事件は多選の弊害だ」)は県議会に矛先を向け、「知事を監視する立場にある議会の責任は重い。長年の不正を見逃していたことを見れば、その役割を果たしていなかったといわざるをえない」と書きます。

 この批判も、正しいことを言っているとは思うのですが、やっぱり「そんなこと言うけどさー」という気持ちになります。

 読売や朝日を含め、多くの新聞に欠けているのは、自分たちは役割をしっかりと果たせなかったのではないか、という自省と、その点に関しての読者への説明です。知事の親族や業界らの悪事については、ひるまず厳しい非難を浴びせるべきですが、それと同時に、自分たちにも厳しい検証の目を向けるべきです。

 自らのことは平然と棚に上げるという今回のような報道を続けていれば、新聞に対する読者の信頼は失われていくばかりだと思います。

※引用文中【画像省略】は筆者が附記
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この記事についたコメントは12件。

12 似田 10/02 17:54
朝日を読売と同列に並べるのは正しくないですね。

朝日新聞の社説は日本中のプロ市民が参考にする名文ぞろいですね。
50万人南京大虐殺、従軍慰安婦強制連行、珊瑚事件はすべて朝日新聞のお手柄ですね。読売にはお手柄が無いですね。
新聞は自社の主張を曲げてはなりませんね。
その点朝日新聞は特定アジアの主張を浸透させるとても誇らしいマスメディアですね。
11 カツヤン 10/02 17:17
新聞だけではありません。テレビも同じでしょう。
たとえばテレビ朝日などは、NHKの社員が起こした不正資金事件に関しては口を極めて非難していたくせに、最近発覚したテレビ朝日のプロデューサーの不正資金問題など、めだたない時間帯にこっそり一言弁解しただけ。
これがメディアといわれるものの実態です。自分たちの主義主張に合わせるように世論誘導・世論操作しているだけの捏造機関に成り下がっているといっても過言ではありません。
ましてや北朝鮮に75万ドルもの資金提供していたオーマイニュースなど、とてもじゃないが信用できるものではありません。
9 shouichi 10/02 17:00
私としては北朝鮮への資金提供を自生してほしいのですが、いかがなものでしょう?
7 WilЬur Wright 10/02 04:20
 読売新聞のこの記事を実際に見たわけではないので、はっきりとは言えませんが、
田村さんは恐らく、“関係者” が誰を指しているのか、を誤解していると思います。
 もう一度、読み直してみてください。
 “関係者” とは誰でしょうか。
6 知足 9/30 22:01
このようなメディア批判こそOhmyNewsに一番期待されることである。

http://medialiteracy.blog76.fc2.com/

5 Anti Virus 09/30 21:55
この事件に対しては「ふーん、またかよ」くらいの認識だったのですが、田村さんに言われてみればまことにその通り。記者クラブは思いっきり牛耳られているそうなので、マスコミに自浄能力を期待するのは、もう無理かも。

顔マークは田村さんに。
4 yonemura 09/30 12:11
大量の広告という大金を掴まされて黙らされていた消費者金融に、自殺が相次いでようやく批判をしはじめるのがマスコミですから。
いつも「この事実を会社は隠していた」というのがパターンですが、隠してたのはおまえらだろとw
どのツラ下げて言ってるんだ、とはいつも思いますねw
3 かたつむり 09/30 08:09
全くその通りなの。
だからせめてオーマイニュースの市民記者さんはちゃんと取材をして私情を挟まずに事実を伝えて欲しいの。
2 たままん 09/30 06:06
拝見しました。

仰ることは誠に正論です。しかし、今の新聞にそれを求めても無駄だと私は考えます。
1 らいむ 09/30 04:20
だって、朝日ですからw。新聞はつっこみどころ満載だから面白いんですよ。
同程度の右新聞出てこないですかね。左で朝日ぐらいまで行けたんなら右でも相当行けると思うんですが・・・。
で、我々は主義の一番近い新聞を購読する。この習慣が日本に根付けばずいぶん違ってくるんだろうと思うんですけどね。

革新系(赤旗)、リベラル系(朝日?)、中道系、保守系、超保守系
これだけそろうと面白くなるんだけどなぁ・・・。

「信頼が失われていく」ではなく「信頼は失われた、回復しない」です。ABC協会のレポートによれば各紙とも引き続き発行部数減となっています。発行部数と実売部数はかならずしも一致はしませんが、信用に足る情報源なら毎年毎年部数減とはならないでしょう。

ぶっちゃけ朝日新聞を購読していた高齢者層が死んでいって実売が減っているのだと思います。その分若年者層で売上を伸ばせればよいのでしょうが、朝日新聞は信頼されていないのでまったく伸びない、と。

具体的な数字はいちいちログインを求めるのも面倒なのでこのあたりがいいかな。

「しんぶん赤旗」も購読者の少ない過疎地域では第三種郵便物として配達されていますし、規模の大小はあれ将来的には同人誌とかミニコミ誌みたいな感じになっていくのではないかと思います。(以降削除)