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製造時のチェックミスに起因

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000002560

志賀原発2号機の金属粒問題で
T花 K治
2006-10-25 08:06

 北陸電力のプレスリリースによると、7月5日からタービン点検のため停止中の志賀原子力発電所2号機の高圧タービン車室内で9月27日、車室下部に直径約2ミリから3ミリの粒状の金属が約900個見つかった。

 この金属粒については、北陸電力の調べでその流入源が判明した。高圧タービン車室より上流側に設置されている主蒸気止め弁の内部に、製造時の「ブラストショット作業」で使用した金属粒が残留し、今まで発見されることなく下流側へ流れ込んだものだった。

 ブラストショットとは、金属粒を高速で対象物にぶつけ、その表面に付着した汚れをクリーニングする方法である。主蒸気弁止め弁の本体は、鋳鋼と呼ばれる特別な鋳物が素材である。この鋳物には「溶接が可能」という特徴があり、主蒸気弁止め弁・本体の内側にも金属板が溶接されていた。この溶接部のクリーニングに「ブラストショット」が使われており、作業後の清掃作業が不完全で金属粒が残ったままとなった。

 溶接作業後の主蒸気弁止め弁・本体は、ブラストショット作業の後に、機械加工で所定の形状に加工されていく。加工時には金属クズが発生し、加工後には清掃と寸法検査が待っているのだが、この段階でも金属粒は発見されなかった。

 加工された主蒸気弁止め弁・本体は、その後耐圧試験や組立作業を経て原子力発電所に納入され、設置・配管作業を受けて発電所の重要な装置として運用される。この間、何度か金属粒を発見する機会があるはずだが、結局は見過ごされてしまった。

 主蒸気弁止め弁に残留した金属粒は、蒸気タービンの運転で蒸気の流れに乗って蒸気加減弁をくぐり抜け、高圧タービン車室内にまで到達し、今回の発見に至った。

 この問題は今回の主蒸気止め弁のみならず、この主蒸気止め弁を製造したメーカーが鋳鋼への溶接作業を施した製品全てに波及する恐れがある。またあるいは、同様な作業を行うすべてのメーカーがチック体勢の見直しを行う必要があるのかもしれない。

 現代社会の基盤を成す発電施設での製造時のチェックミスに起因する事故が発生することに薄ら寒さを感じてしまった今回の事故である。

(記者は、火力発電所の蒸気タービンの機械設計経験者である)


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オーマイニュース(日本版)より

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これでしょうねぇ。他人事じゃないです。