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黒い氷、日本スケート連盟はなぜ転んだか

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/OhmyColumn.aspx?news_id=000000002252

二宮清純
2006-10-11 08:11

 財団法人「日本スケート連盟」の不正経理事件の舞台となった「国際事業委員会」については、未だに謎が多い。この組織の実態が解明されないことには、事件の真相は見えてこないのではないか。

 同委員会はNHK杯や世界フィギュア選手権など、いわゆる国際大会の運営を行っていた。10月3日、背任容疑で逮捕された久永勝一郎元会長ら3人の容疑者は、この組織をサイフがわりに使っていた。

 その手口とは、同委員会の会計を連盟本部から切り離し、旅行業務などを息のかかった民間会社に委託、経費を水増し請求させて連盟に損害を負わせたというもの。久永元会長らはこの手口でこしらえた裏金をプールし、子飼いの理事らへの分配金や私的流用にあてた。キックバックも要求したと見られている。

 不思議なのはさして難解とも思えない不正の手口を連盟の幹部がなぜ見抜けなかったのか、ということだ。ある関係者に質すと「監査をしっかりやらなかったということもあるが、それ以上に久永会長が持つ権力を恐れていた。国際事業委員会が手がける事業については事実上ノーチェックだった」と語った。

 では「国際事業委員会」の資金管理を連盟と切り離すことを考えついたのは誰か。これは久永元会長自身で間違いあるまい。なぜなら委員会の事務局は元会長自身が経営する会社の中に置かれていたからだ。家賃を含む諸経費は全て連盟が支払っていた。こんな明らかな公私混同が許されるのか。連盟の幹部は、なぜ委員会の事実上の私物化を許したのか。この疑問にも誰も答えていない。

 手許に連盟が出した一枚のリリースがある。今年3月14日付。メディアが提示した疑問について解答したつもりなのだろうが、答えになっていない。

 <国際競技会は収益事業として課税対象とされるため、これを運営する国際事業委員会の会計は連盟本部とは切り離して処理されていますが、最終的には連盟本部と一体として理事会、評議委員会による決算承認を受けるなど必要な手続きはとられています>

 そうであるなら、連盟の資産がこの7年間で3億円以上も目減りした損失責任は理事会、評議委員会にも確実にある。もう辞めているから関係ないとは言わせない。久永元会長にべったり寄り添っていた“女帝”が果たした役割についても捜査のメスが入るだろう。

 合宿費用など強化費のかなりの部分は国庫補助金、元はと言えば、我々の税金である。「どこでもやっていることでしょう」などと、のんびり構えているわけにはいかない。付記すれば親分子分、先輩後輩の関係が未だに幅を利かせる守旧的なアマチュアの体質も「独裁者」の暴走に歯止めをかけられなかった理由のひとつにあげておきたい。

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二宮清純(にのみや・せいじゅん):スポーツジャーナリスト。
独自の視点でスポーツを斬る「スポーツコミュニケーションズ」編集長。
携帯サイト「二宮清純.com」も毎日更新。
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オーマイニュース(日本版)より

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まぁ、時期的にこれでしょうかね。

どちらも選手をモノとしてみているのが共通点でしょうか。