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お疲れ様でした、日本の翼「YS-11」

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/draft/20070410/277

SHIBATSU(2007-04-10 15:12)

 今年の御盆休みのある日のことです。さて、メールチェックでもしますか、って感じで
PCを開いてみました。そして、その流れで何気なくJALのホームページなどをみてい
たらですね、明日の、鹿児島発、沖永良部行きの第二便が、1席だけ空きがあるじゃない
ですか。
 これ、この夏休み期間限定で復活した、最初で最後の国産旅客機「YS-11」、ラス
トフライト便の1つなんです。

 通常、航空機は二十年ほどで退役するそうです。ボーイング747ジャンボの初代機が、
今ちょうどその時期を迎えています。しかしそんな中、四十年も飛びつづけたのが、この
YS-11。現在でもアジアの一部の国で健在だそうですが、日本国内はこの夏が本当の
最後。
 うー、どうしましょう。しかもフライト、明日ですよ、当然、正規料金。んんん、高い
ぞー。でも、乗ってみたい、という誘惑が勝りました、ええーい、クリックなーり~!

 さて翌日朝。台風を横目でにらみながら、羽田から鹿児島空港へ。着いてみると快晴で
す。空港をちょっとだけ探索してみました。
 あ、足湯なんかあるんだ。さすが温泉王国。
 ふーん、これが本場のサツマ揚げですか、おいしいですね。
 ・・って感じで時間をつぶして、待合室へ。窓から空港の隅の方を見ると。あ、あの機
体です。青の垂直尾翼にJの文字。

 お昼近くになりました。鹿児島12時10分発、いよいよYSに乗り込みます。席に着
いて。YS、いやー、地上では全くといっていいほど冷房が効かないのです。暑い暑い 
(^^;A 例の、とんがった、一人用の送風口はあるのですが、全開にしても、お情け位
の風がプシューと吹き出てきているだけです。
 エンジン始動。なかなかうるさい。さあ離陸です。ジェット機や最新型のプロペラ機と
違って、YSは、大きなエンジン音をたてながら、しかし、ゆっくり、ゆっくり、上昇し
ていくのです。もうこれは「味」というしかありません。頑張れー、と声援を送りたくな
るような飛行機なのです。

 上空に着くと、少しエンジン音が低くなりました。そして冷房が効き始めました。とい
うより外気温が変わっただけなのでしょうけど。大きな入道雲たちをすり抜けるように飛
行していきます。眼下には、とても青い、美しい海が広がって、その途中に、南西諸島の
島が、てんてん、と。種子島、屋久島、トカラ列島。意外に大きいのが、奄美大島、そし
て加計呂麻島。

 機内では、搭乗記念のカードが配られていました。乗客の皆さんは「ついでだから、も
らっておくか」くらいの顔をしているのですが、私は何だかー、嬉しいっすよ。

 さて、2時間弱のフライトも終盤になってきました。徳之島の次、いよいよ沖永良部空
港へ。これまた、ゆっくりゆっくり高度を下げていきます。そして、ランディング。

 沖永良部空港。短い滑走路の、小さな空港です。そこにこれまた哀愁の機体、YSがち
んまりと収まって。この日は素晴らしい天気。空港の屋上から、この風景をいつまでも眺
めていたくなりました。

 戻り、鹿児島行きの乗客が乗り込んで、またエンジン始動です。そうかー、両翼のプロ
ペラって、片方ずつ始動させるのですね。機体前方側、離れた所にいる空港係員が、飛行
機の方に向き合いながら、プロペラの回転に合わせるかのように手を回すのですが、それ
が何だかトンボ取りの時にするあの仕草みたいで、ユーモラスな感じがしました。

 YSがターミナルを離れて、滑走路を奥に進んでいきます。いったん林の中に見えなく
なり、エンジン音が大きくなりました。YSが走って来ました、そして向かい風の中、フ
ワっと浮き上がるようにテイクオフしました。
 私が乗ってきたYSは、青い大空と白い雲の中に吸い込まれていきました。

オーマイニュース(日本版)より

記者さんが投稿されたのはおそらく創刊初日の2006年8月29日、そのまま記事は塩漬けにされ、翌年のリニューアル後にニュースのたね記事として公開されました。ついでですのでモバイル版にて2006年9月30日 17:05:02に保全した本文も引用しておきます。


お疲れ様でした、日本の翼「YS-11」

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/mob/News.aspx?news_id=000000000277

今年の御盆休みのある日のことです。さて、メールチェックでもしますか、って感じで
PCを開いてみました。そして、その流れで何気なくJALのホームページなどをみてい
たらですね、明日の、鹿児島発、沖永良部行きの第二便が、1席だけ空きがあるじゃない
ですか。
これ、この夏休み期間限定で復活した、最初で最後の国産旅客機「YS-11」、ラス
トフライト便の1つなんです。

通常、航空機は二十年ほどで退役するそうです。ボーイング747ジャンボの初代機が、
今ちょうどその時期を迎えています。しかしそんな中、四十年も飛びつづけたのが、この
YS-11。現在でもアジアの一部の国で健在だそうですが、日本国内はこの夏が本当の
最後。
うー、どうしましょう。しかもフライト、明日ですよ、当然、正規料金。んんん、高い
ぞー。でも、乗ってみたい、という誘惑が勝りました、ええーい、クリックなーり~!

さて翌日朝。台風を横目でにらみながら、羽田から鹿児島空港へ。着いてみると快晴で
す。空港をちょっとだけ探索してみました。
あ、足湯なんかあるんだ。さすが温泉王国。
ふーん、これが本場のサツマ揚げですか、おいしいですね。
・・って感じで時間をつぶして、待合室へ。窓から空港の隅の方を見ると。あ、あの機
体です。青の垂直尾翼にJの文字。

お昼近くになりました。鹿児島12時10分発、いよいよYSに乗り込みます。席に着
いて。YS、いやー、地上では全くといっていいほど冷房が効かないのです。暑い暑い
(^^;A 例の、とんがった、一人用の送風口はあるのですが、全開にしても、お情け位
の風がプシューと吹き出てきているだけです。
エンジン始動。なかなかうるさい。さあ離陸です。ジェット機や最新型のプロペラ機と
違って、YSは、大きなエンジン音をたてながら、しかし、ゆっくり、ゆっくり、上昇し
ていくのです。もうこれは「味」というしかありません。頑張れー、と声援を送りたくな
るような飛行機なのです。

上空に着くと、少しエンジン音が低くなりました。そして冷房が効き始めました。とい
うより外気温が変わっただけなのでしょうけど。大きな入道雲たちをすり抜けるように飛
行していきます。眼下には、とても青い、美しい海が広がって、その途中に、南西諸島の
島が、てんてん、と。種子島、屋久島、トカラ列島。意外に大きいのが、奄美大島、そし
て加計呂麻島。

機内では、搭乗記念のカードが配られていました。乗客の皆さんは「ついでだから、も
らっておくか」くらいの顔をしているのですが、私は何だかー、嬉しいっすよ。

さて、2時間弱のフライトも終盤になってきました。徳之島の次、いよいよ沖永良部空
港へ。これまた、ゆっくりゆっくり高度を下げていきます。そして、ランディング。

沖永良部空港。短い滑走路の、小さな空港です。そこにこれまた哀愁の機体、YSがち
んまりと収まって。この日は素晴らしい天気。空港の屋上から、この風景をいつまでも眺
めていたくなりました。

戻り、鹿児島行きの乗客が乗り込んで、またエンジン始動です。そうかー、両翼のプロ
ペラって、片方ずつ始動させるのですね。機体前方側、離れた所にいる空港係員が、飛行
機の方に向き合いながら、プロペラの回転に合わせるかのように手を回すのですが、それ
が何だかトンボ取りの時にするあの仕草みたいで、ユーモラスな感じがしました。

YSがターミナルを離れて、滑走路を奥に進んでいきます。いったん林の中に見えなく
なり、エンジン音が大きくなりました。YSが走って来ました、そして向かい風の中、フ
ワっと浮き上がるようにテイクオフしました。
私が乗ってきたYSは、青い大空と白い雲の中に吸い込まれていきました。

モバイル版オーマイニュース(日本版)より