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シンプソンさんの本・テレビ出演をキャンセル

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003285

世論の反発を配慮
戸田邦信
2006-11-21 07:49

 1994年に起きた殺人事件で無罪になった元プロフットボール選手で俳優のO・J・シンプソンさんが、11月末に事件を題材にした本『もし私が犯人なら』(仮約)を出版する予定が、土壇場になって急遽キャンセルされた。出版に合わせ、FOXテレビでシンプソンさんとの単独インタビュー番組(録画)が2日間にわたって放映される予定だったが、これも中止された。出版とFOXテレビを所有するメディア王ルーパート・マードック氏が世論の反発を考慮しては白紙に戻したためだ。

 本は事実上、自ら犯行を“告白”する内容とされている。FOXテレビで11月27日と29日の2日間にわたって、シンプソンさんはが、インタビューに出演する予定だったが、遺族や一般視聴者の間からは「恥ずべき行為だ」として、批判の声が上がっていた。FOXの系列局数社も、すでに放送見送りを決めていた。

 米メディアによると、マードック氏は20日電子メールで声明を発表し、出版、放送予定について「私と経営幹部は、分別のない計画だとの米市民の意見に同意する」と述べ、すべてを中止する考えを明らかにした。本の売れ行きはさておき、インタビュー番組は、放映されれば、かなりの視聴率を稼ぐとみられていた。

【画像省略】
1995年の公判時O・J・シンプソンさん(ロイター)

 94年6月、シンプソンさんの元妻ニコル・ブラウンさんと、その友人ロナルド・ゴールドマンさんの刺殺体が、ロサンゼルスにあるニコルさんの自宅コンドミニアムの敷地内で発見された。92年にニコルさんと離婚していたシンプソンさんが逮捕され、裁判の模様は、当時“世紀の裁判”としてテレビ中継された。しかし、95年の裁判では無罪になった。証拠手続きなどで検察に不手際があったためとされるが、限りなく真犯人に近いシンプソンさんが、釈放されたことで、多くの国民に割り切れなさを残した。

 これとは対照的に、民事裁判では有罪と認定され、97年に2人の遺族に3350万ドル(約40億円)を支払うよう命じられた。しかし、シンプソンさんは収入が途絶えたとして一銭も支払っていない。

 米メディアによると、今回の出版企画は、シンプソンさんが出版社のレーガンブックスに持ち込んだものという。11月30日に出版予定で、ネット書籍取次ぎの「amazon.com」は予約受付を行っていた。レーガンブックスは公式には発表していないが、一部の情報では、シンプソンさんに支払われる金額は350万ドルとされていた。

 FOXテレビの特番では、出版社の責任者であるジュディス・レーガンさんがシンプソンさんにインタビューすることになっていた。FOXは番組の前宣伝を流していたが、遺族などから反発の声が上がり、レーガンさんは11月16日に声明を出し、シンプソンさんに罪を告白させ、罪を償わせるのがねらいなどと弁明していた。

 FOXテレビの親会社は、マードック氏率いるニューズ・コーポレーション。シンプソンさんの告白本が出版されるレーガンブックスも、マードック氏の傘下に入っている。このため、本の出版と、放送に深く関わっているFOXの姿勢に対し、“小切手ジャーナリズム”だとの批判も投げかけられていた。英語では「チェックブック・ジャーナリズム」と呼ばれ、大金を払って独占インタビューをするメディアの手法を指す言葉になっている。

 新聞のオピニオン欄には、「FOXは正気を失ったのか」との声も寄せられ、本とともに、インタビュー番組を放映するFOXテレビをボイコットしようとの呼びかけが行われるなど、波紋が広がっていた。

【編集部注】
テレビ放送が急遽中止になりましたので、見出しおよび一部原稿を差し替えました。(2006年11月21日11時20分)

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


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O.J.シンプソン氏ががんで亡くなられたようですね。ご冥福をお祈りします。