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南アフリカ、イスラエル、そしてイラク ~桜井春彦コラム~

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/OhmyColumn.aspx?news_id=000000002884

桜井春彦
2006-11-09 08:03

 南アフリカのピーター・ウィレム・ボタ元大統領が10月31日に自宅で死亡した。1966年から1979年にかけて国防相、1978年からは首相、1984年から1989年までは大統領を務めた人物で、彼が権力を握っていた時代に治安当局は2000名以上を殺害、裁判なしに約2万5000名を拘束したとされている。

 南アフリカがイギリス連邦を離脱して共和国を宣言したのは1961年のこと。アパルトヘイト政策のため、その前年には国連安全保障理事会や英連邦首脳会議が同国に対する非難を決議していた。国際的に孤立していたわけだ。

 そうした南アフリカと親しくしていた数少ない国のひとつがイスラエル。1959年に南アフリカは初めてイスラエルへウランを輸出、その年にイスラエルのシモン・ペレスが国防副大臣として南アフリカを訪問し、武器の売却を約束している。

【画像省略】
イスラエルの核施設(2000年8月撮影、ロイター)

 この当時、イスラエルの核兵器開発に協力していたのはフランスで、1958年にはアメリカのCIAもこの事実に気づいていた。ディモナ近くで建設中の原子炉と思われる大規模な施設を偵察機U2が撮影したのだ。

 CIAの画像情報本部のアーサー・ランダール本部長はこの情報をドワイト・アイゼンハワー大統領に伝え、詳細な調査を行うべきだと進言している。が、認められなかった。そのアメリカではNUMEC(核物質設備社)を介してイスラエルは核物質を入手していた。

 アメリカでイスラエルの核兵器開発が明らかにされたのは1973年のこと。CIAで科学技術を担当していたカール・ダケットがアメリカ航空宇宙研究所の会合でイスラエルの核兵器について言及したのだ。ダケットはNRC(原子力規制委員会)に対し、NUMECに関するCIAの評価を伝えている。

 こうした行動に腹を立てた人たちがいて、ダケットは解雇されてしまう。彼をCIAから追放した中心人物はシオドア・シャックレーだと言われている。CIA内部で秘密工作を指揮していた1人で、現アメリカ大統領の父親、ジョージ・H・W・ブッシュと親しかった。1976年の選挙でジェラルド・フォード大統領が再選されていれば、ブッシュの後任としてCIA長官に選ばれていたとする人も少なくない。

 イスラエル国防軍の情報機関で機密情報をあつかっていたアリ・ベンメナシェによると、1968年から1973年にかけてイスラエルは13発の原子爆弾を製造、それぞれの破壊力は広島や長崎に落とされた爆弾の3倍程度だったという。1973年の第四次中東戦争で使用寸前だったのは、この13発である。

 175ミリ砲で発射できる小型原子爆弾をイスラエルが南アフリカに売却したのは1978年から1979年にかけての時期。その見返りとして、インド洋でイスラエルが核実験を行う際、南アフリカは監視しないことを認めた。そして実施されたのが1979年の実験だ。

 ところが、1980年代半ばに南アフリカとイスラエルとの関係が壊れている。南アフリカがイラクへ軍事技術などを提供したことが決定的な原因だった。

 南アフリカとイラクとの取引で重要な役割を果たしたのがチリの兵器会社カルドエン工業とイギリスの実業家マーク・サッチャー。マークはイギリスの元首相、マーガレット・サッチャーの息子。マークの友人、ジェラルド・ブルが開発した核弾頭を発射できる巨大大砲「スーパーガン」をイスラエルは特に警戒していたと言われている。ちなみに、ドナルド・ラムズフェルドがイラクを訪問、サダム・フセインと握手している姿が撮影されたのは1983年12月だ。

 そのフセインに対し、11月5日に死刑判決が言い渡された。1982年7月、「暗殺未遂」の報復として148名のシーア派住民を殺害したことに対する判決だが、この事実を知った上でラムズフェルドはフセインと握手したことになる。

 1988年11月にイギリスの『フィナンシャル・タイムズ』がカルドエン工業のイラクに対する化学兵器売却を報道したが、この頃からイラクに対する武器取引に関する話が伝えられ始めた。「イラク・ゲート事件」の発覚である。

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桜井春彦(さくらい・はるひこ) 調査ジャーナリスト。早稲田大学理工学部卒。ロッキード事件の発覚を機に権力犯罪を調べ始める。1980年代半ばには大韓航空007便事件や大証券の不正をリサーチ。『軍事研究』誌で米情報機関のレポートを執筆。『世界』誌ではブッシュ政権の実態を発表。著書に『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房)がある。桜井ジャーナルでも「非公式情報」を発信中。
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オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


この記事についたコメントは2件。

2 タケ坊 11/09 11:21
何度言えばわかるのかね、この○メ○ネの○っちゃん○やは。
中東という油の利権の渦巻く地域の現在の主役は間違いなく支那だろ。
露助もアフガン侵攻で一度失敗はしたけど、最近調子付いとる所を見ると何やってるかわかったもんじゃない。

こんな反米本読んだら誰でも書けるような記事書いてプロでございみたいなツラすんなや。

1 yonemura 11/09 11:02
反米乙


イラクゲート事件についてざっくりと書くと、反米のイランを牽制するためレーガン政権、パパブッシュ政権時に秘密裏にイラクへ武器供与・技術支援していた。イラクのサダム・フセイン大統領はこれらを用いてクウェートへ侵攻、後の湾岸戦争の引き金となった。続くクリントン政権時にこれらの秘密工作が調査され明るみに出ることとなった、という感じ。

中東は専門外なので深入りは避けますが、機械翻訳で現地の記事やら何やらを読んでると部族間・宗派間のゴタゴタが国家レベルの争いにスケールアップした感が強いです。そこに石油利権だの武器兵器のやりとりだのが絡んでグチャグチャになってる。面子を潰されたから報復してやるとかそんな話も多いようです。どこも変わらんよねぇ。

今アルジャジーラのトップで報道されているニュースがこれ。こっちもざっくりと書くと、汚職疑惑で追及を受けているネタニヤフ首相が最高裁判所の判事の任命権への政府の影響力を強化しようとしたり、最高裁判所が職務不適格な政権幹部を解任する権限を封じようとしてることに対する抗議デモがイスラエルで起きている。「司法改悪を中止しろ」とするデモの主体は左派の労働組合とかですね。

ここから下は陰謀論じみたことを書くのでスルー推奨。中国共産党がロシアを支援するとして、直接武器弾薬や食糧を送ったりすると中国も金融封鎖・経済封鎖されるのでこの手は使えない。となると間接的な方法しか手段はなくなるわけで、それが安保理での拒否権発動やらアフリカ方面の開発援助国への多数派工作。

他の手段としては、対ロシア強硬策を支持している米英を中心とした西側各国国内の世論や政治の撹乱工作なども考えられる。それこそ三国志の時代から対外工作として普通に行なわれていたことで、孫子の本場の国がこれらの手段を講じないと考えるほうが異常。ミリオタ界隈からこういう話が出ているのかは興味ないので探してもいない。

あれもこれも全部中共の差し金だなんてことは言わないけれど、米国内でのBLMやANTIFAの活動に実際に中国共産党の工作員が関わっていた事例があることを考えると、核となりうる撹乱工作(大規模な抗議デモやストライキ)には多少なりとも関わっているだろうと前提としておきたい。チベットやウイグルの事実があるので中国共産党は信用してはダメです。


誰が言ってたっけ?岡田斗司夫氏だったかな。「家庭教師のトライがCMで使っていなければ、ハイジは記憶の片隅に追いやられていたコンテンツ」と言ってたと記憶。凡作でも駄作でも新作が作られることには意義があるし、それに及ばなくとも懐かしい作品として取り上げられるだけでもファンにとってはありがたいだろうと思います。『チャージマン研!』が良い例だろうとw

オーマイニュース(日本版)なんて悲惨ですよ。一時はテレビや新聞・雑誌でも取り上げられるほど話題になったのに、こりゃダメだとなるとみんな一斉に手を引きましたものwww わたしが「オマニーは本当は面白いんだよ」と言ったところで勝ち目は極薄ですが、ま、趣味でやってるんでたまに思い出してもらえるだけでありがたいです。