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核兵器と「日本の責任」

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003004

日本はNPT体制擁護に努めるべき
辻 雅之
2006-11-10 07:13

アメリカの核兵器独占は4年あまりで終わった。1949年以降、米ソの核兵器開発競争が始まり、多くの核兵器が作られていった。それが進展していくにつれ、以下のような主張がなされるようになった。核開発競争によって生まれた「恐怖の均衡」が、米ソの戦争をむしろ防いでいるというものだ。核兵器の所有とその均衡がかえって平和をもたらすという論理である。

しかし、人類は「恐怖の均衡」が本物の「恐怖」を生み出そうとする場面に遭遇することになる。それは1962年、ソ連がキューバに核ミサイル基地を建設しようとして起こった「キューバ危機」においてであった。ケネディ政権下のアメリカが敢然と海上封鎖を行い、キューバに向かうソ連船を実力で排除しようとしたところで緊張は一気に高まった。

この危機から人類が逃れることが出来たのは、米ソ両首脳部の合理的・必然的な判断によってというよりも、むしろ偶然的・「たまたま」的な要素によるものが大きかったことは、その後G.アリソンが指摘し、今では公務員試験のための受験勉強でも学ぶ「定説」になっている。キューバ危機の回避は、相当に「ラッキーな出来事」だった。

そしてこの体験によって「恐怖」の実現可能性を十分に悟った米ソは、核軍縮、とまではいかなくても、核開発の抑制に本腰をいれるようになる。キューバ危機の翌年には部分的核実験停止条約(PTBT)が締結され、1968年には核拡散防止条約、いわゆるNPTの締結へと至った。

1967年以前に核保有をしていた国以外、つまりアメリカ・イギリス・フランス・ソ連(ロシア)・中国以外の国の核保有を認めないというNPT体制は、確かに大国のエゴが透けて見えるものではある。しかし、これ以上に現実的な核拡散防止の手立てはあるのだろうか。一斉に大国が核廃絶をすることが一番の正義ではあるだろうが、とても困難な話だ。それでも大国の核兵器は1980年代以降少しずつではあるが減少している。

さて、日本は責任ある先進国として、この最も現実的な核拡散防止体制を堅持することに努めるべきであることはいうまでもない。GNP第2位、人口1億人超、国連分担金第2位、G7の一員、国連安全保障理事会・非常任理事国の最多選出国が、自らNPT体制を瓦解させるようなことをすべきではないはずだ。感情論を抜きにしても、日本には核兵器を持たないという国際的責任があることを自覚すべきなのだろうと思う。

日本人は日本が大国だと認めないやや自虐的なところがあるが、日本は立派な大国である。大国が大国としての責任を果たそうとしないとき、国際体制は大きく動揺し、平和に危機が訪れる。これは、歴史が示している。

たとえば……戦前の国際連盟において常任理事国という重い責任を担っていた日本は、満州事変が惹起した国際世論に反発して、いとも簡単に連盟を脱退し、国際安全保障における責任を放棄した。英仏主導の連盟は、日本に配慮して満州における日本権益の承認や満州の自治などを認める報告書を提出した。日本が責任ある地位を占め続けるつもりなら、受け入れられる内容だった。しかし、日本はメンツにこだわってこれを拒絶した。

これによって連盟は一気に弱体化した。イタリアのエチオピア侵略をまったく止めることができず、ナチス=ドイツの侵略に対しては傍観するしかなかった。もし、日本が国際連盟の主要国としての地位にとどまることを決意していたなら、このような歴史は変わっていたかもしれない。もちろん仮定の話だが、しかしながら、日本の脱退が連盟の弱体化につながったというこの1点は誰もが認めるところだろう。

日本が核兵器を持つという選択肢は現状では考えられない。NPT体制が欺瞞に満ちた欠陥だらけの体制だとしても、これが日本、そして世界を核戦争から守ってくれているという現実をわれわれは直視すべきだ。それを維持するよう努力する責任が、日本にはある。

オーマイニュース(日本版)より

常にベストの選択肢が用意されているのでないのならば、次善の策、三善の策を選ぶことも必要です。その場合は先のことも考慮にいれてあえて三善の策をとる場合もあるでしょう。

成功例を引き合いにしてこうすれば成功するなんてことは日常茶飯事に行なわれていますが、失敗例を参考にこういうことをすると失敗につながるんだよと学ぶことも同じくらい大事です。どこの局か忘れましたが『しくじり先生』という番組は大変興味深い番組で(毎回ではありませんが)テレビで流れていたらよく見ていました。まだやってるのかな? よく知らない。

英国のEU離脱(決議可決となった原因)も半分は移民問題ですし、もう少し真剣に考えてもいいと思います。