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【ボクシング】長谷川、2度のダウン奪い文句なしV3

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003130

Sフライ世界王者徳山と世紀の一戦へ
K峰 R太
2006-11-15 12:14

 実に清々しいファイトをする男である。11月13日、日本武道館で行われたWBC世界バンタム級タイトルマッチは、王者・長谷川穂積(千里馬神戸)が4回と8回にダウンシーンを演出。指名挑戦者の同級1位ヘナロ・ガルシア(メキシコ)を3-0の判定で下し、3度目の防衛に成功した。

 【長谷川の世界戦歴】

 長谷川は、あの辰吉丈一郎を2度に渡り轟沈させ、9年に渡り王座を守ったあのウィラポン・ナコンルワンプロモーション(タイ)を2005年4月に判定で下し王座獲得。その後、ヘラルド・マルチネス(メキシコ)との初防衛戦に臨み、計4度のダウンを奪う7回TKOで初防衛に成功。そして06年3月、自ら望んだウィラポンとの再戦では、9回に強烈な右フック一閃であまりにも鮮烈なTKO勝ちを収め、自ら“真のチャンピオン”になれたと宣言。バンタム級最強王者に君臨している。

【画像省略】
ガルシアと打ち合う長谷川(右)(ロイター)

 【ガルシア戦回顧】

 開始直後は積極的に出てくるガルシアに対し、やや押されている印象もあったが、2回に入るとダッキングで反時計回りに動く得意の変化から、左右のパンチが効果的に当たりはじめた。そして、4回に左アッパーで最初のダウンを奪う。4回終了後、今回から採用された公開採点制で3人全てのジャッジが長谷川優勢をとった。

 ところが、6回あたりから長谷川の動きにやや緩慢さが見られ始め、ガルシアは徹底的なインファイトとボディー攻撃で反撃に転じる。防衛戦延期の原因となった胸部骨折の影響があったのか、ボディーを嫌がる長谷川の表情からは若干の“暗雲”が感じられた。そして8回、偶然のバッティングで右目に大きな傷を負い、流血戦を強いられてしまう。

 「いよいよ判らなくなってきたぞ」と思ったその矢先。長谷川は、あのウィラポンを沈めた右ショートフックで2度目のダウンを奪った。

 終盤は、厳しく詰め寄るガルシアに押され加減ではあったが、最終12回は“これぞ長谷川の真骨頂”とも言うべきマタドール(闘牛士)のような華麗な動きでガルシアの突進を封じる。残り10秒での激しい打ち合いも、優勢で締めくくった。

 全体の流れを振り返ると、KOを狙っていたがために、長谷川がガルシアのインファイトに“付き合ってやった”のかなとも感じた。その象徴が最終12回であり、まるで「お前なんぞ判定でいいならこんなもんだぞ」と言わんばかりのフットワークで圧倒していた。

 【長谷川は世界王者の基準】

 現在、日本国内のジム所属選手には7人の世界王者がいるが、もっとも説得力あるチャンピオンは長谷川であろう。難攻不落のウィラポンを2度に渡り下した事はもとより、王座奪取後の3度の防衛戦では全てダウンシーンを演出(うち2回はKO)。見ている者にわかりやすい強さという点においても、近年には存在しなかった名王者と表現しても大袈裟ではなかろう。

 記者は、今後の日本ボクシング界において長谷川が“強さの基準”になっていく気がする。いわゆる大手ジムの所属ではないが、世界奪取前にはOPBF(東洋太平洋)戦で日本人キラーのジェス・マーカ(フィリピン)から王座奪取。世界戦ではウィラポン相手に2度完勝し、さらに今回の指名挑戦者撃破。成り上がってきた内容には説得力がある。現WBCスーパーフライ級王者・徳山昌守(金沢)から正式な挑戦状も届いた。徳山が階級を上げる形になるのであろうが、実現すればまさに徳山の望む“限定ビッグマッチ”となるに違いない。

 王者として強い相手と対戦すること、卓越した攻撃と防御を持っていること、そして何よりわかりやすい素晴らしい試合を見せること。これらを全てを兼ね備えた長谷川穂積。日本人の世界チャンピオンはどうも、世界戦ではKO防衛が少ない、微妙な判定が多いといった声も一般論として耳にするが、長谷川の試合振りとの比較で、その他の選手(王者)の評価もどの程度の器なのかが定まってくるのではないか。もちろんタイプの違いはあるが。

 余談になるが、12月にはあの亀田興毅の防衛戦が迫っている。8月2日の1件が良かったのか悪かったのかは別として、ボクシングに対する関心は高まった。あの時TBSに苦情・抗議を電話したひとりでも多くの人が、もし、ゴールデンタイムにTV放映された今回の長谷川戦や、ダウンを奪いながら王座奪取に失敗した川嶋勝重(大橋)戦を観戦・視聴していれば幸いだと思う。何故ならばあの時以来、亀田を痛烈に批判した者も擁護した者も、亀田以外のボクシングを見て参考にして改めて亀田の実力を検証できるのだから。

 もしあの1件を契機にボクシングを見るようになったファンが増えていれば、その分だけ観戦側の目は確実に肥えている。亀田興毅はいよいよ言い訳できない試練に立たされた気がする。

 記者は亀田に対する特別な思い入れはないが、以前の記事「亀田興毅再戦決定、それでも拭えぬ世論の疑惑」で論じた通り“説得力”ある勝者なり敗者になって欲しい。長谷川とて4回戦時には2度の敗北がある。負けることは恥ずかしい事ではない。親子共々、あの振る舞いから好き嫌いの分かれる選手である事は今後も変わらないであろうが、せめて強さと戦歴だけは長谷川級の万人に認められるボクサーになって欲しい。

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


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30分以上殴り合いをして最後まで連打するってすごいスタミナです。ボクシングはほとんど知りませんが、長谷川選手は見ただけで強いとわかります。

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