見出し画像

何かがちょっとおかしかった~村井理子コラム

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/OhmyColumn.aspx?news_id=000000003335

村井理子
2006-11-24 07:30

 何かがちょっとおかしかった。朝からどうも、疲れというか、だるさが取れない。いつもだったら、シャキーンという効果音とともに、朝の5時には起床して働きまくる私なのに、その日はどうも体が重かった。それだけではない。朝一番には、ミルクをおよそ250mlほど元気に飲み干すふたごが、なぜだかふたりとも100mlほど飲んだ時点で、それ以上飲みたがらない。

 たぶん離乳食を始めた影響だろう……そう判断した。離乳食をはじめるとミルクの回数と量は減ると主治医にも言われている。若干気負いすぎたかな……そうも思った。もしかしたら、軽い消化不良のような状態なのかもしれない。というのも、先日の検診で主治医から、「離乳食、がんばってね!」といわれて、はりきって食べさせていたのだ。

 心配は心配だったが、特に具合が悪そうというわけでもなく、機嫌よく過ごしているふたごを見て、「まあ大丈夫だろう」と判断した。それよりも、自分の体調の悪さに気を取られた。だるいし、食欲がないし、すこし吐き気がする……。

 そろそろ、午後4時になろうかという時だった。ふたごと川の字になって寝ていた私の耳に、次男の「コホン」という小さい咳が聞こえた。「あれ?」と思って顔をあげた瞬間、見たこともないような勢いで次男が嘔吐しはじめたのだ。急いで飛び起きて抱き上げると、すこし青い顔をしている。一体何が……!? と焦っていると、今度は長男が激しく泣き始めた。

 なんなんだよ、これ!? こういう時って本当にどうしていいのかわからない。あたふたとしながら、車で15分の距離に住んでいる夫の実家に電話をした。実は、私は車の運転ができないのだ。しかし、何度呼んでも、誰も電話に出てくれない。夫に帰ってきてもらうと言ったって、京都で働く夫が家に帰るには、最低でも1時間はかかる。ふたごは火がついたように泣いている。そうこうしているうちに、なんと、次男がぐったりとしてきた。真っ青な顔からはいつもの笑顔はすっかりと消え、「うぅ~」とうめき声をもらしている。長男までも嘔吐しはじめ、これはもう一刻の猶予もない! と近所の総合病院の救急受付に電話をし、タクシーを呼んだ。

 しかし、どうやって私ひとりでふたごをタクシーに乗せたらいいのだろう。ベビーカーは積み込んでもらえばいいけど、チャイルド・シートがタクシーについているわけでもなく、2人をいっぺんに抱くのは無理だ。結局、近所のママ友、Sちゃんに緊急ヘルプをお願いして、ひとりを抱えてタクシーに乗り込んだ私に、もうひとりを手渡す役目をお願いした。ひとりは抱っこひもで抱き、そしてもうひとりはひざに座らせた。

 「すいませんけど、急いでください!」と運転手さんにお願いし、病院へ向かった。

 結局、ふたりともノロウィルスによる胃腸炎と診断された。今、とても流行っているらしい。「ご家族に同じような症状の方がいらっしゃいませんでした?」と聞かれ、思わず、「あっ!」と声が出た。夫が3日前、激しい腹痛と吐き気で会社を休んだのだ。

 「ええ、確かに夫が同じような症状でした」と医師に告げ、「もしかしてうつったんですかね?」と聞くと、「そうですね、おとうさんからもらっちゃいましたね」と医師は笑っていた。「そういえば、おかあさんはだいじょうぶなんですか?」と聞かれ、やっとのことで朝から続く倦怠感の理由がわかったというわけだ。

 「いえ、だいじょうぶじゃありません……」

 結局、薬をもらい、家路についたときは午後8時となっていた。

【画像省略】
コラムニストの村井理子さんは、以前のコラムにも掲載したこの写真のかわいいあんよのふたごちゃんとともに、ただいまノロウィルスと格闘中です。そのため新しい写真がなく申し訳ありません。村井さんご一家のご回復をお祈りしています。読者のみなさまもお大事にお過ごしくださいませ(編集部)
撮影者:村井理子

 ふたごって病気になるときも同時だということがよくわかった。こりゃ先が思いやられるぞと思いながらも、私が倒れるわけにはいかない。これは、いわゆるひとつの修行だな!


__________________________________________________________________________________________________________________________________________________________

村井理子(むらい・りこ):

1970年生まれ。滋賀県在住の翻訳家。「ブッシズム」と呼ばれるジョージ・ブッシュ米大統領の迷言・暴言をつぶさに追い続け、ウォッチャー歴は7年に。趣味は読書とインターネットと料理。2006年4月にふたごの男児を出産、現在、仕事と育児に奮闘中。著書に『ブッシュ妄言録 ブッシュとおかしな仲間たち』(二見書房)、訳書に『大事にされない女たち』(イースト・プレス)など。
オフィシャルサイト= ジョージのブログ
__________________________________________________________________________________________________________________________________________________________

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


この記事についたコメントは2件。

2 akisaya 11/26 10:33
そうか、双子だと病気も一緒にかかりやすくて大変ですね。頑張って下さい。

1 うしき@篠ノ井 11/24 23:04
ご家族みんなのご回復とご健勝をお祈り申し上げます。シアーズ博士のベビーブックは赤ちゃんの闘病の心強い味方です。インフルエンザ対策はもう済まされましたか?


子どもは簡単に熱を出したり吐いたりします。記事からも大変さは伝わってきます。結果的におおごとにならなくて本当に良かったと思います。

親の大変さは親になってみるまで絶対にわかりません(断言)。親になってみて初めてあぁしておけばよかったと後悔することも多かったと思いますが、そういう後悔も抱え込んで生きていくしかないと覚悟をもたなきゃいけませんね。と自戒をこめて。

仕方なかった、しようがなかったとだましだまし歩くのも知恵だと思います。完璧な人間なんていないよ。