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アジア経済を悩ます汚職

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000002487

先進国の市場をめぐる競争が誘引
ランジット・ゴスワミ
2006-10-19 12:05

 国際的な汚職防止団体「トランスペアレンシー・インターナショナル」が最近発表した年次調査で、ブラジル、ロシア、インド、中国のBRICs諸国は低迷した。インド、中国、ロシアは汚職ランキング(30カ国)で最下位の3つの位置を占めた。

 調査は贈賄を行う傾向のある企業に焦点を当て、125カ国の1万1000人以上の企業経営者を対象に実施し、贈賄指数を算出した。汚職の少ない上位10カ国の中に入ったアジアの国はなかった。

 これは、警戒を要する傾向を示している。誰もが今世紀はアジアの新興国の世紀だと語る。もし、この傾向が続くとすれば、どのような形のアジアの社会が今後数年間に現れるのだろうか。

 ひとりのアジア人として(このアイデンティティーは、欧州人や米国人というアイデンティティーとは違い、緩やかな定義ではあるが)、われわれは警戒する必要があると思う。アジア社会の多くの人は、日常の生活の中でさまざまな汚職に出会っている。

 合計の人口が(世界人口のほぼ3分の2にあたる)40億に達する市場を擁し、多くの資源を抱えているのに、なぜアジアの企業は、世界的な競争力を高め、利益を上げるために賄賂を払う必要があるのだろうか。

 民主主義から資本主義、企業文化、拡大する自由貿易とグローバリゼーションにいたるまで、世界は米国のたどった道を歩んできている。

 公然、非公然のロビー活動もそのひとつだ。現在の資本主義世界では、ただのものは何もない。正当な動機のあるものに世界の政策立案者の関心を引き付けようとする時でさえも、ロビー活動が必要だ。

 貿易に関連したロビー活動が世界的に増えている。世界のもうかる市場ではなおさらである。

 汚職も同様なのだろうか。動機が議論の余地がなく正しくない場合は、なおさらそうである。しかし、確立された慣習というものは、公正であろうと、不公正であろうと、汚職を要求する。

 事態はここ数年で大きく変わった。アジア諸国のほとんどは現在、米国と膨大な貿易黒字を維持している。米国がインフレと貿易赤字の間の微妙な均衡を巧みにとろうとしており、アジアの企業は今、規模がもっと大きいもうひとつの市場、欧州連合に焦点を合わせている。

 世界貿易機関(WTO)での新興諸国と先進国間の農業製品に関連した紛争は現在、ほかの製品やサービスの分野にまで広がっている。

 早くから自由貿易政策を提唱してきた人たちは今、失敗したと気付いた。アジア諸国が同じ製品やサービスをもっと安く作り、先進国への市場参入を正当に要求している。先進国は、新興諸国の要求に屈するのではなく、新興諸国ブロックのいくつかの国に対して、いろいろな口実をつけて、保護主義に転じている。

 現在の世界では、豊かな先進国が「名目紙幣」を作り出す一方で、その他の国々が追いつくために、製品やサービスを作り出している。そうした中で、そうした国が実際に先進国に追いつくことはできない。

 不均衡は競争力にあるのではなく、何が世界通貨として扱われるかというところにある。

 それに加えて、先進国は貿易障壁を拡大している。アジアの40億の人々は不運にも先進国の人々に匹敵するだけの購買力を持っていない。

 アジアの国や企業は、依然としてかなりの程度までドルとユーロに依存している(円は北朝鮮の核問題の犠牲になった)。輸出への依存や外貨準備という必要性から、アジア諸国は、先進国市場で競争するようになっている。アジア諸国と企業の中での協力が少なく、競争が激しくなっているのは当然である。欧州や米国のもうかる市場を求めての競争が、これら国々での国内生産と生産能力の増加をもたらした。

 また過熱した競争が企業にどのような影響を及ぼすか、われわれは知っている。世界が自由で公正な貿易を唱える中で、政策がより複雑になり、保護主義になじんでいくにつれて、アジアの企業の汚職が増えていくのは必至だ。

 トランスペアレンシー・インターナショナルの調査結果は疑いなく、目を開かせるものである。先進市場の政策立案者だけでなく、アジアの政府や企業は、結果を単に非難するのではなく、新興諸国で汚職が増えている原因に対処する必要がある。

オーマイニュース英語版から

オーマイニュース(日本版)より

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うん、一言で書くならば「慣習」ですね。良くも悪くも便宜を図ってもらうための必要経費という面が捨てきれません。国民一人一人が高い倫理観を持たないと汚職のない政治なんて無理ですよ。

ま、日本も他の国のことを言えた義理じゃありませんが。少しだけマシなくらいか。