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ホワイトカラーエグゼンプションとは

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003267

残業規制なしへ・解雇の金銭解決制度などの規制緩和はどうなる
下川 悦治
2006-11-21 08:06

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 「ホワイトカラーエグゼンプションとは何ですか」という調査を日本労働組合総連合会(連合)が実施した。結果は72,6%が「全く知らない」と回答。「内容まで知っていた」9,0%と「名前は聞いたことがある」18,4%の回答をあわせても、27,4%しかない。

■サービス残業対策では?■

 厚生労働省労働政策審議会で論議されている主なことは、ホワイトカラーエグゼンプションと解雇の金銭解決制度などである。ホワイトカラーエグゼンプション (White Collar exemption、ホワイトカラー労働時間規制撤廃制度)は、いわゆるホワイトカラー労働者に対する労働時間規制を適用免除(exempt)することを意味するということだ。事の発端は、サービス残業に対する規制に反発した日本経団連が2005年6月に「提言」を行い、裁量労働制の大幅な見直しを求めたことにある。
 
 もともと、ホワイトカラーエグゼンプションはアメリカで成果主義を導入する前提で始まった。この制度が日本で導入されれば「1日8時間、週40時間」の法定労働時間を超えて働いても、残業代がつかなくなる。経団連の提言の中に「労働時間の長さを賃金支払いの基準とする現行法制下では、非効率的に長時間働いた者は時間外割増賃金が支給されるので、効率的に短時間で同じ成果を上げた者よりも、結果としてその報酬が多くなるといった矛盾が生じる」という記述がある。

 たしかに、かつてはそのような人もいた。しかし、現在そのようなことが許される職場があるのだろうか。そうであるなら、サービス残業の支払い命令もなかったのではないか。

 なぜ、このような論議になってきたのか。相次ぐ不払い残業代が問題になり、事後支払い金額は600億円を超えるとも言われている。日本経団連の「提言」では、「当然のことながら時間外労働に対する賃金の支払いを免れたり、労働時間を実質的に長くすることを目的とするものではない」と断っている。また、「多くの場でサービス残業が実態としてあるから、労使協定により対象労働者の範囲に年収要件などを加えれば、いいのではないか」という賛成論もある。さらに、労働基準法ができた1947年当時よりホワイトカラーが増えているなど、状況が変わっているというのも推進理由とされている。

■管理職と同じように残業代なしに■

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 労働政策審議会によると解雇の金銭解決制度についても論議されている。解雇されると裁判がされて長期にわたることがある。そして、解雇が無効判決となっても、職場復帰を認めず、金銭で解雇できるものにしようというものである。

 これらは、小泉内閣が決定した「規制改革・民間開放推進三カ年計画」によるものである。こうした労働条件の「緩和」政策で、過労死がさらに増えるのではないかと心配されるという意見が、「過労死弁護団全国連絡会」などや労働組合から出ている。

 これに対して、日本経団連の「提言」は次のように述べている。

・労使でホワイトカラーエグゼンプション制度適用対象者の一定期間の在時間や拘束時間の上限を取り決め、その時間を超えないようにする。
・一定の期間内に1度以上、上司または産業医、産業保健スタッフによるヒアリング(面接)を実施し、労働者の健康状態を把握する。
・毎月決められた期日に対象者に体調やメンタル部分に関する問診表を配布し、記入回収の上、産業医や保健指導員等の所見を聴く。
・事業場内に健康相談窓口を常設する。
・定期健康診断等の法令に義務付けられている健康診断とは別に、特別健康診断を実施する。
・一定期間において一定の在社時間や拘束時間を超えた者に対して所定の休暇を与える。
・労使で年次有給休暇の目標取得率などを取り決め、その取得を促進する。
 
 すごく、親切に対応するように思える。だが、ここまでして導入しなければならない理由はどこにあるのか。健康状態が悪くなった場合、この社員はどうなるのか。「労働時間の短縮を目指すのだ」と経団連は述べている。そうであれば、なぜこのような健康チェックが必要と認識しているのか。成果が上げられなかった社員が、健康状態が悪くなったといえる企業風土があるのか等々、懸念材料がある。

 狙いは、経済のグローバル化に伴うために、収益構造をより安定的に進めるためのものとしか思えない。不払い残業代に比べればある程度の経費がかかっても良いという本音が見えてくるようだ。こうした流れは、労働基準法が労働者保護でなく、より企業論理にシフトしていくことになりそうだ。

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


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ハイクラス転職とかする人たちの話なので正直なんとなくしかわかりません。成果をきっちり出せる人なら独立して起業するのもアリかとは思いますが、設備とか環境(情報の入手のしやすさとか測定機器だとか)を考えると難しいのかもしれませんね。

10億円のプロジェクトを動かしていた戦略コンサルタントさんとか、こういう話には敏感そうなのでちょっとお話を聞いてみたい気もします。