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石原さとみの新たな扉

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000002255

『奇跡の人』東京公演スタート
I川 M之
2006-10-18 07:35

 東京、青山劇場で『奇跡の人』が上演中である。鈴木裕美の3度目の演出で、ヘレン・ケラー役に舞台初挑戦の石原さとみが扮することで話題になっている。同じ演出家のもとでヘレン・ケラー役を菅野美穂、鈴木杏と芸達者が好演してきただけに、石原さとみの今後を占う意味でも、大きな試金石となる初舞台と言える。

 『奇跡の人』のヘレン役は、熱演と過剰演技との評価が紙一重となる難役である。3時間に及ぶ上演時間ずっと起伏の激しい立ち居振る舞いと僅かなうめき声とだけで、三重苦から奇跡への第一歩までを演じて行かねばならないわけだから、どのようにして説得力を持たせるか、ストーリーは誰もが熟知している分、演じる者は、その演技力をまるごと判定される厳しさと対峙しなければならない。

 石原さとみは、この難しい課題を、端正な演出によく応えて、あざとくなく軽やかに演じ切っている。内面から発する魂の叫びにも、教師サリヴァンへの恐怖、母への懇願や甘えなどの微妙な差異がそれぞれ力まず感情移入され、初舞台としては上々の出来と評価したい。将来への新たな扉を開いたと言ってよいだろう。

 ヘレン・ケラーを新たな世界へ導くサリヴァン先生は、周知の通り、この20年ほど大竹しのぶの持ち役だったが、今回の公演では、そのサリヴァン役に実年齢に近い配役というふれこみで田畑智子が指名された。これまで観客は、原題通り「奇跡を起こす人」であるアニー・サリヴァンに扮する大竹しのぶを堪能するために劇場に足を運び、あわせて彼女に触発され、ヘレンが奇跡に飛躍するように、若い女優が大竹しのぶのもとでどう羽搏くかを観劇の楽しみのひとつとしていた。1997年に競演した寺島しのぶは今や押しも押されぬ大看板である。

 昨年末に公開された映画『大停電の夜に』での豊川悦司を真正面で受け止めての好演が記憶に鮮明なだけに、田畑智子の演技も、石原さとみ同様、大いに期待されたが、真摯な取組みは認めるものの、公演開始1週目では、まだ持てる美質を十分発揮出来ず、観客を納得させるまでにはなっていなかった。ただ、実年齢の近さによって、サリヴァンにわき起こる様々な苦悩が、単なる教師としてのそれではなく、青春の葛藤でもあったことが鮮やかに強調され、今回の舞台の見所になっている。

 初舞台の石原さとみが、千秋楽までの経験の積み重ねで、どこまで成長を遂げることになるのか。今回の公演で手をかけた新たな扉を、より大きなものとして推し開くことになるのかどうか。田畑智子も、飛躍の予兆をうかがわせる石原さとみとの切磋琢磨により、大きく変容するかも知れない。そうした感想をも持たせる可能性に満ちた公演である。

 また、ヘレンの母親に扮した小島聖の輪郭明瞭な演技が思わぬ収穫で、特筆すべきものとして付記したい。(東京公演は、今月22日まで。その後、名古屋、大阪ほかで)

オーマイニュース(日本版)より

この記事についたコメントは1件。

1 鳥越し苦労 10/18 18:35
石原さとみタンの画像くらい張ってくださいよ。


演劇関連は例の流行り病でボロボロになっているみたいですね。(無利子の)貸付じゃなくて給付でも良かったのでしょうが、それだと詐欺るヤツが出てくるからなぁw

たぶん、一律給付で不正をした人を後で検挙するのがコスト的に最適解だったと思いますが、どういう過程で決定がなされたのか知りませんのでここまでで。