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麻薬犯罪に絡んだ死者は2000人を突破

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003147

苦悩する中米メキシコ
有馬洋行
2006-11-17 07:53

 首だけの死体や、体に100発の銃弾を撃ち込まれた警官の遺体――。中米メキシコが、麻薬犯罪に絡んだ死者の急増に苦しんでいる。メキシコは米国への麻薬供給地になっており、メキシコ政府は“対麻薬戦争”を宣言しているが、ほとんど実効は上がっていない。不正を暴くジャーナリストも相次いで殺害され、麻薬犯罪に絡んだ死者は、ことし、すでに2000人を超えた。これに政治的混乱も加わり、首都メキシコ市では爆弾テロ事件も発生するなど、治安の悪化が懸念されている。

 メキシコと国境を接する米国は、世界最大の麻薬使用国だ。米国にはメキシコの麻薬カルテル組織が、コカイン、大麻、マリファナなどを“輸出”している。メキシコの2大麻薬組織が、米国への権益をめぐって勢力争いを演じているが、組織は、これを妨害しようとする警察やジャーナリスト、市民への殺戮(さつりく)を続けている。

 治安を守るべき警察も、決して一枚岩ではなく、麻薬組織に通じた者も入り込むなど、腐敗と汚職の噂が絶えない。2000年12月に誕生したフォックス大統領も麻薬戦争に取り組んだが、メキシコの日刊紙『ウニベルサル』によると、麻薬犯罪に絡んだ死者は、ことし2012人に達するなど、状況は悪化している。

 ことし12月にカルデロン新大統領が誕生する。新大統領も麻薬対策を重点項目に挙げているが、最近の治安の悪化は、いばらの道が続くことを予兆している。

 麻薬犯罪に絡んだ事件は、米国との国境を接するバハカリフォルニア、チワワ、ヌエボレオン州や、大西洋沿岸の各シナロア、ゲレロ、ミチョアカンの各州で多発している。ゲレロ州にある観光地アカプルコは、麻薬組織が米国への海岸ルートをめぐって抗争を続けている。

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メキシコでは麻薬組織による襲撃が相次いでいる(2006年9月22日撮影、ロイター)

 ゲレロ州ではことし4月、アカプルコにある政府庁舎前に首2つが、警告文とともに放置された。10月にもアカプルコの海岸でさらに2つの首が見つかった。遺体の放置は、麻薬組織からの脅迫の意思表示ともみられている。

 ゲレロ州では11月10日、汚職を追及していた日刊紙の編集者が、ホテルで死亡しているのが見つかった。「国境なき記者団」によると、死体は裸で、両手はベルトで後ろで縛られていた。腕に注射をうたれた跡があったという。死因は心臓発作とみられ、麻薬をうたれた可能性も指摘されている。同記者団によると、メキシコで殺害されたジャーナリストはことしで6人目という。

 米カリフォルニア州に近いバハカリフォルニア州ティフアナでは11月9日、市街地周辺では、武装グループが警察車両を襲撃、銃撃戦となった。警官1人が死亡し、近くにいた花売り商人らが負傷した。この際、一緒にいたエクトル・ガメス警視は、辛くも助かったが、翌10日、手錠をかけられた遺体姿で発見された。体には100発を超える銃弾が撃ち込まれていた。

 ティフアナではことし8月に、麻薬王といわれたフランシスコ・ハビエル・アレリャノ・フェリックスが米捜査当局に逮捕された後、殺害事件が多発している。大物が抜けた後をねらって、組織同士の縄張り争いが激化していることのほかに、麻薬取り締まりを強化する警察への報復が目立っている。

 メキシコではことし7月に行われた大統領選挙の結果をめぐり政情不安が続いた。またメキシコ市南方のオアハカ州では、教員ストをめぐり警官隊が出動し、大きな混乱が生じた。こうした状況の中で、11月6日には、政党の制度的革命党事務所前で爆弾が破裂するテロ事件が起きた。このように麻薬、汚職、それに政治不安が重なった形で、メキシコの治安はさらに悪化している。

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


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軍が積極的に関与していたならほぼ無理でしょ。警察も真っ黒ですし。

(削除)よその国のことは言えないけどねぇ…