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フィジーでクーデターの懸念広まる

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=0000000002907

政府による軍の司令官の解任失敗で緊張高まる
マイケル・クローフ
2006-11-07 07:57

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フィジーのライセニア・カラセ首相(2006年11月4日撮影、ロイター)

 南太平洋の国フィジーで、ライセニア・カラセ首相と軍のトップ、フランク・バイニマラマ司令官との対立が続いており、政府転覆をねらう軍事クーデターにつながるのではないかとの懸念が国民の間に広がるにつれて、緊張感が高まっている。

 カラセ首相とラトゥ・ジョセファ・イロイロ大統領は、10月末、フィジーの平和維持部隊を視察するためイラクを訪問していた、歯に衣を着せない発言をするバイニマラマ司令官を解任しようとした。しかし、軍が断固として司令官への忠誠を誓い、政府のお気に入りとみられるメリ・サウブリナヤウ大佐を含めて、バイニマラマ司令官の後任者を見つけることができなかったため、企ては失敗した。

 フィジーでは、1970年の英国からの独立以降、クーデターが3回起きたが、もっとも最近のクーデターは2000年で、その亡霊が現在の混乱の根にある。破産した実業家ジョージ・スポート氏が率先し、先住民のフィジー人のグループが支持したこのクーデターは、インド系フィジー人のマヘンドラ・チョードリー首相率いる労働党政権の転覆を目的としていた。インド系住民と先住民の間に、人種を巡る大きな緊張状態を引き起こすことになったが、望んでいた、バイニマラマ司令官率いる軍の支持が得られず、最終的に失敗した。このときの政治混乱の結果、カラセ首相が誕生し、現在に至っている。

 政府は、クーデターを画策した者に公式に恩赦を与えるなど、軍の逆鱗に触れるような多数の法案を議会に提出する計画を立てている。バイニマラマ司令官は再三にわたって、この計画に対する不満を公にし、ことあるごとにカラセ首相に辞任を求めてきた。

 11月1日、軍がクーデターに乗り出すのではないかとの懸念が高まった。バイニマラマ司令官に忠誠を誓う軍の一部が首都スバの埠頭から弾薬7トンの積荷を徴発したからだ。当時外遊中だったバイニマラマ司令官は、「カラセとその取り巻きの辞任を目撃するために帰国する」と地元紙『フィジー・サン』に語り、首相に再度辞任を求めた。

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首相の辞任要求について報道する『フィジー・サン』紙(2006年11月1日撮影、ロイター)

 同司令官はまた、「首相は私を解任することで軍を弱体化させようとしている。当初からそれが彼のねらいだった。もし私の解任に成功すれば、カラセ首相とその取り巻きを監視する者はいなくなる。政権がどれだけ腐敗していくか想像してみればいい」と述べた。

 バイニマラマ司令官はカラセ政権の腐敗度が増していると非難し、地元紙『フィジー・サン』に対し、カラセ氏が政権をとった際の自分の役割を今では後悔していると語った。

 「カラセ氏は、2000年に政治的不安定をもたらした張本人たちとよりを戻し、私たちの信頼を裏切った」

 「(フィジー反乱軍のリーダー)ジョージ・スピートは刑務所に入っているが、彼が提案した政策を政府は現在取り入れており、当時背後で手を引いていた人々が今は議員となって、国の政策を決定している」

 軍からの圧力が高まっているにもかかわらず、首相は辞任の計画はないと言明し、挑戦的な姿勢を崩していない。

 首相は国民に向けてのラジオ演説で「私が辞任する可能性、あるいは政府が総辞職する可能性はまったくない」と述べた。

 「私たちは憲法の承認を受けており、現在、統治に対する国民の支持を得ている」

 首相はまた、バイニマラマ司令官による政府に対する脅しの件を警察に捜査するよう要請し、同司令官への対抗姿勢を強めた。

 「合法的に選出されたフィジー政府を追放せよという司令官の脅しに対し、警察は独立調査を開始した」と首相は述べた。

 「司令官は政府に対して真実ではない数々のいいがかりをつけている。汚職が広がっているという実態のない非難を続けている」

 オーストラリア、ニュージーランド、米国政府はすでにフィジー政府に対する支持を表明し、軍に対しては、民主的に選ばれた政府を追放しないように、また、国際的な介入を招くようなリスクを冒すべきではない、と警告している。

オーマイニュース英語版から〔11月2日掲載〕)

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


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よくわかってるじゃん。

流れに乗って表面化した、という意味でならたぶんそうだと思います。