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75歳以上高齢者の医療費の見直し始まる

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=0000000002645

独立保険制度へ・長生きは困る?
下川 悦治
2006-10-25 11:18

今年10月の医療費改定では次のような改定がされた。
◎現役並み所得のある70歳以上の高齢者の窓口負担が2割から3割に
◎70歳以上の療養病床入院患者の食費、居住費の負担増 療養病床1日920円増
◎高額療養費制度の自己負担限度額引き上げ
◎埋葬料支給が半減 最低10万円が一律5万円に
◎出産育児一時金は5万円増の35万円に
このように負担が増えたばかりだが、今後も制度の見直しが続く予定であり、当面するのが75歳以上の医療費制度である。

10月改正の問題-療養病床

いろんな内容はあるが、療養病床の問題は切実である。政府は医療費から介護保険に移したい意向が強く出ている。厚生労働省のイメージは図の通りである。


社会的入院といえるのか―医療型介護病床から介護型への移行促進

日本医師会総合政策研究機構などが福岡県で調査した結果によると(「療養病床に関する緊急調査」報告)「医療区分1のうち、病状不安定で退院不可能と見られる入院患者は、医療療養 病床で 34.5%、介護療養病床で 33.6%であった。福岡県では 22 千人(医療区 分1~3の合計)の療養病床入院患者がいると推計されるが、少なくとも 5 千 人が医療が必要であるにもかかわらず、退院を迫られる不安がある。」としている。福岡県では、今後2年間、施設整備計画がないなかで、退院を迫られると行く先がないと報告は指摘している。しかし、厚生労働省は療養病床の5割は医師の対応は必要がない社会的入院としている。
しかしながら「医療区分1」について、吉岡 充氏は「食物をのみ込めずに経管栄養になるお年寄りでも、発熱や嘔吐がある人以外は区分1 。リハビリ対象疾患も発症から30 日以内でないと1 だ。」(5月18日朝日新聞)であるとして、医療の対応が求められるとしており、実態の認識に相当の開きがある。
 さらに、負担増がある。厚生労働省が示したモデルケースでは、70歳以上の住民税課税世帯で、今年9月まで月額6万4千円だったのが、10月以降、9万4千円と、ほぼ5割増になる。その内訳は調理コストと光熱・水道費になる。

療養病床の入院患者の医療程度区分
医療区分 3 最も医療が必要な人 24時間監視体制が必要な人
医療区分 2 難病 脊髄損傷など 透析や経管栄養が必要な人
医療区分 1 医療区分2.3に該当しない人 全体の約半分とされている

次なる見直しに向けて

厚生労働省は、来年4月からの実施を視野に「後期高齢者医療のあり方に関する特別部会」を10月5日に発足させた。見直しの理由は健康保険法等改正時に、75歳以上の後期高齢者については、平成20年4月より独立した医療制度を創設することになった。団塊の世代が退職してくる65歳から74歳の前期高齢者については、退職者が国民健康保険に大量に加入し、保険者間で医療費の負担に不均衡が生じていることから、これを調整する制度を創設することになっている。
制度の見直しの理由は、医療費の節減である。理由として挙げられているのが、
・年齢が上がるほど、一人当たりの医療費は高くなっている。平成16年度で後期高齢者の医療費は全体の28.1%を占めている。(厚生労働省資料より)
・ 特に入院医療費に占める後期高齢者の割合が高い。
・地域格差が大きい。一人当たり老人医療費では福岡県が最高で92万2667円、最低が長野県で61万2042円で30万ほど、1.51倍の差があり、その7割が入院医療費だとされている。(厚生労働省資料・平成15年度)
・ 「医療と介護の機能分担」ということで、介護保険に持ち込まれそうでもある。
・ 終末期にも保険制度の見直しが適用されれば、医療的には見放された形になることがある。

後期高齢者に対する医療とは

 75歳以上を指す、今年の5月で人口の9%を占める。2025年には老年人口割合(65歳以上)は3,472万人(全体の28.7%)、2050年には3,586万人(35.7%)になることが推測される。(厚生労働省資料より)さらに「近年、国民医療責は国民所得を上回る伸びが続いている」として危機感を示しているが、高齢者が増えれば当然の成り行きである。
後期高齢者だけの制度にはどんな問題があるか。
①入院から在宅への誘導ではないか。
入院中心で平均在院日数が36.3日とドイツの10.4日、フランス13.4日などと比べても長いと指摘している。入院が問題視されているが、現代の家族形態では仕方がないのではないか。介護問題と同じように家族間の軋轢を産み出す。最期は自宅で迎えたいのではという「思いやり」が示されているが、それを支援する在宅療養支援制度も不十分なうえに、診療報酬が高いだけに患者の負担額も大きい。結局、自宅で最期というのも金次第という結果になりそうである。
②後期高齢者のみの制度は75歳以上の切捨てにならないか。
 現役世代との不公平という理由をつけているが、約めて言えば「早く死んで欲しい・長生きするのならお金を出せ」と同義語ではないのか。
③自治体任せならない。
 運営を自治体に任せることで、国の皆保険制度の一部を崩壊させようとしている。地域間格差が出てくる可能性がある。
④介護保険への移転により、間接的に国民負担が増えるのではないか。

本当にこうした医療費制度の「見直し」が必要なのかどうか。高齢者が増えるからだという。しかし、企業減税はするという。本当に財政が厳しいかどうかが問われていない。依然として特別会計にはメスが入らない。マスコミもなぜか追及しない。後期高齢者などと言いながら「長生きされたら困ります」という政府のメッセージとしか思えない。

オーマイニュース(日本版)より

実態から言うと、各種介護保険、後期高齢者医療制度、身体障害者3級以上認定、おむつ手当等最大限の補助を受けた状態で、介護を必要とする当人が支払う金額は、病院に入院して実質的な介護を受けている状態で月約40万円、これが自宅医療なら月約8万円ですね(本人1割負担の状態でです)。もちろん病院で受けられる手厚い看護は望めませんが、必要な処置は受けられる範囲だと思います。本人負担が軽い(その分国民負担が大きいですが)のは悪くはないと思います。

「長生きされたら困ります」は言い過ぎじゃないですか?