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今こそ、田中正造に学ぼう

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000002450

矢本 真人
2006-12-18 07:40

【画像省略】
田中正造(1841~1913)
田中正造記念館提供

 生涯をかけ足尾鉱毒事件と取り組んだ明治の政治家田中正造の足跡を紹介するNPO法人「足尾鉱毒事件・田中正造記念館」(広瀬武理事長)が10月1日、群馬県館林市足次町に開館した。

 広瀬さんによると、ある時市役所の一室を借りて資料を展示していたところ、市の幹部が立ち寄り「こういう貴重な資料は後世に伝えるべく、常設で公開すべきである」また「事件を風化させてはならない」ということだった。それから常設館の構想があったが、苦難の末にやっと開館に至ったという。

 館内には田中正造の語録に足尾鉱毒の国会における請願や明治天皇への直訴などの資料が展示されている。他にも教材用のビデオや「正造カルタ」なども用意されていた。多くの人は足尾鉱毒事件で天皇に直訴してまで、被害住民を助けようとした程度の事は知っているだろう。しかしここでは展示品から事件に関する詳しい経過がうかがえる。

 民権運動を志し、1890年第1回選挙で衆議院議員になり、1891年足尾鉱毒問題で「多くの人に被害があった時は、大臣は銅の掘り出しを留めさせると法律に書いてある」と政府の責任を厳しく追及した。それに対して陸奥宗光農商務大臣は「被害は確かであるが、その原因が銅にあるかどうか調べている途中である」と答えるのみで、「富国強兵」「殖産興業」をすすめるためにも訴えを聞き入れなかった。これを見ると政治に国民の意思が通じないのは、いつの時代も同じであると感じた。

 その間に大洪水で鉱毒被害が深刻化した。1901年議員を辞職し明治天皇に鉱毒問題を直訴。直訴状は天皇に渡すことは出来なかったが、この直訴が新聞に載ったことで足尾鉱毒事件が日本中の人に知られるようになった。この事例を見ても問題の本質を伝えるメデイアの役目は大きいと思う。

 1902年に政府内に鉱毒調査委員会が設置された。当時の政府の政策は
(1)足尾銅山はそのまま営業する
(2)村は廃村、処理のためにため池を作る
(3)村民は北海道に移住する
などであったが、一部住民は反対運動を続けたという。被害住民側に立った政策はいつの時代も望み薄なのだろうか。

 1913年、73歳で生涯を閉じた。正造の遺品には「帝国憲法」や「新約聖書」に「小石が数個」が残されたという。当時の貴重な資料に正造の意気込みを感じた。

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田中正造記念館には貴重な資料、写真類が展示されている
撮影者:矢本 真人

 しかし、「今なぜ田中正造なのか」と聞きたくなって広瀬さんに聞いてみた。広瀬さんは「正造は被害者の立場に立って行動した。ここに掲げてある正造の『天の監督を仰せされハ凡人堕落 国民監督を怠れハ治者為盗(1902年8月)』という精神を後世に伝えたいんです」という。

 どう解釈するのだろうか。私は「神を信仰しない人は堕落し、国民がしっかり監督しなければ政治家は盗人になる」という意味だと思った。そして100年後、正造の言葉は今を良く言い当てている。以前は、社会生活のなかで、機会あるごとに坊さんや牧師の説教を聞きながら生きてきた。しかし今はそういった機会もなく、生活の基盤である家庭生活は崩壊し、殺伐とした社会に生きている。さらに国民は知らない間に税金のむだ使いされ、議員や公務員の国民に対する数々の背任行為とも思える事件は、まさに「盗人同然」 である。

 さらにもう1つ「真の文明ハ山を荒らさす川を荒さす 村を破らず人を殺ささるべし(1912年6月)」という正造の言葉は、いまどう写るだろうか。近代化や改革の名の下に自然環境も含めて、日本の良さが次々となくなろうとしている。安倍首相はアインシュタインの言葉を借りて「美しい国、日本」を構築しようとしている。本当の政治は、田中正造のように「国民の立場」に立った政治であるのだと考える。

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


この記事についたコメントは1件。

1 W辺 R 12/18 11:58
 日本に国会が出来て早々の制限選挙制度下でのこととはいえ、衆議院議員の訴えが10年間も実質放置状態だった一方で、議員を辞職して直訴爺さんになったら世論に受け入れられたという事実。この後半部と比べて前半部は一般にあまり重要視されていないように思います。「誰が言ったか」ではなく「何を言ったか」で評価されるメディアであってもらいたいものです。

 それと、私は引用文中の「天」は神仏や森羅万象を含む、「治者」は政治家や公務員だけでなく統治機構に何らかの形で関る者全てを指す広義の表現ととらえています。


小学校の授業で必ず習う日本4大公害のひとつですね。日本では問題を問題としてとらえて(時間はかかりましたが)改善を試みた結果として、今の低公害社会が実現されています。政治も社会も技術も全部一緒になって行動してはじめて可能なことだと思います。今の中国のPM2.5をはじめとする公害垂れ流しの状況は中国共産党が滅びるまで改善されないと思いますよ。ネット上での各種観測結果が公表されているので確認してみるとよいです。

話は変わりますが、採掘設備では機械等の保守点検がないとまともに仕事を続けられません。人力でピッケルを用いるにしてもピッケルは無限に使用可能ってわけではないですし、同様に機械堀りでもドリルビットの交換やら採掘した鉱石を運搬するコンベアの稼働など、各工程が規定通り動くことを前提として成り立っている以上、保守点検作業(摩耗部品は交換とか)は必須です。

石油採掘とか一点モノの特殊な部品を使っていることも多いでしょうし、設備の運用も現場を知った上で熟練の技術者が管理してようやくまともに採掘できるのだろうと。保守点検もされていない、まともな技術者もいない条件で石油の採掘なんてやりたくないですね。事故が起こるのはほぼ確定じゃん。負けイベントはできるだけ避けたいものです。

モンハンライズでも鉱石掘りの最適ルートが模索されてるみたいですねw