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佐世保バーガー ~ 佐藤義典コラム6

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/OhmyColumn.aspx?news_id=000000003121

佐藤義典
2006-11-15 07:15

 このコラムでは、タイトル通り、身近なニュースを使ってマーケティングを考えていく。既によく知られたニュースについて(それについて擁護も非難もする気はない)、マーケティング的な解説・切り口を説明することを目的としている。

■隠れた(?)人気、佐世保バーガー

 最近、「佐世保バーガー」が人気を呼んでいるようだ。大手コンビニチェーンも販売をするなど、ニュースもよく見かけるし、東京にも数店あるようだ。ファストフードのハンバーガーとは趣が違い、アメリカのステーキ屋で食べるような、ビッグサイズで口を大きく開けてかぶりつくようなものだ。Googleで検索 しても結構出てくる。

 「佐世保バーガー」という言葉に違和感を感じるだろうか? そんなに違和感なく受け入れられる「言葉」では無いだろうか?

■「独自性」のあるイメージ

【画像省略】
「基地」とハンバーガーはフィットする(写真はイメージ、ロイター)

 佐世保バーガーは、2000年代初頭から、佐世保の観光振興策としてPRされている。だが、その起源は古く、佐世保には1950年代初頭からハンバーガー店があったそうだ。その理由は………そう、米軍基地だ。佐世保、というと真っ先に連想するのが、基地ではないだろうか。「基地」は、観光には不利に働きそうな連想が、それを逆手に取ったのが佐世保バーガーだ。米軍基地があるからこそ、「ハンバーガー」が素直に連想される。「佐世保→米軍基地→アメリカ→ハンバーガー」 という連想の連鎖が自然に起きるからだ。

 これが、同じ九州でも、「大分バーガー」や「北九州バーガー」だったらどうだろうか? 「なぜ?」という違和感が働くのではないか? 「佐世保バーガー」は、米軍基地のイメージが強い佐世保だからこそ、受け入れられるのだろう。もちろん、各地の名産には必ずしもその土地と関係ないものもあるだろうが、それを浸透させるには時間がかかる。地名との連想があったほうが、受け入れらる時間も少なくてすむ。

 マーケティングでは、このような地名、会社名、商品名などから連想される「イメージ」は非常に重要なのだ。

■「イメージ」と売り物のフィット

 地名と同じように、特定の会社には、特定のイメージが連想される。アップルがクルマを作ったら、ものすごくカッコイイものができそうだ。ソニーなら、携帯できるようなクルマができそうだ。もちろんそれはありえないにしても、このように連想されるイメージとフィットする売り物であれば、顧客に受け入れられやすいし、そうでなければ、「違和感」(認知不協和)が生し、売れにくい。だから、売り物を考える際には、自社が顧客に連想させるイメージとのフィットは真剣に考えた方がよい。

 それをうまく利用した例として、セコムが、食品安全を提供する通販食品サイト「セコムの食」を展開している。セコムが扱う食品なら、安全そうだ。実際、それを売り文句にしている。

 ゲームのコナミは、その子会社のコナミスポーツ&ライフで、スポーツジムを運営している。コナミのジムは、楽しそうに聞こえるし、事実それを売り文句にしている。

 両社とも、会社名が連想するイメージをうまく使っているのだ。逆に、セコムがスポーツジムを、コナミが安全食品を売っても、ピンと来ない。企業名が連想させるイメージと売り物がフィットしないと、受け入れにくいのだ。

 ここでは「イメージ」と軽く言ってしまっているが、実はそれこそが「事業領域(ドメイン)」を決定しているとも言える。セコムは、「安全」を、コナミは「エンターテインメント」を事業領域の中核においているのだ。

 新事業、新商品などを考える際には、戦略的・論理的な計算も必要だが、佐世保バーガーのように、「それは、当社が連想させるイメージと合致するか?」というチェックをすることも重要だ。


【さとう・よしのり】 早稲田大学政経学部卒、ペンシルベニア大ウォートン校MBA。NTT、外資系メーカー、外資系マーケティングエージェンシーなどを経て、2006年コンサルティング会社、ストラテジー&タクティクス株式会社を設立、代表に就任。著書に、現在第5刷の『図解実戦マーケティング戦略』(2005年 日本能率協会マネジメントセンター)など。読者数1万5千人の人気無料マーケティングメルマガ、『売れたま!』の発行者としても知られる。

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オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


この記事についたコメントは9件。

9 赤井 信文 11/17 18:18
 なるほど企業イメージに合った商品は受け入れられるのか!
オーマイニュースのイメージと言うと「オーマイキムチ」「オーマイ垢すり」
そして「オーマイてんぷら粉」...

8 scott 11/17 11:34
写真がマクドナルドなんですが…
老舗の寿司屋の記事に回転寿司の写真を使うようなものってのが
編集部のお利口さんたちにはわからないのでしょうか
ほとほと編集部のセンスには呆れてしまいます

7 江戸者 11/17 08:17
オーマイのことだから、反戦バーガーか、なにかの記事かとおもったぞい。ま、そーゆうことを考える輩もいるということも考慮にいれるのがマーケティングでつね。

6 kyota 11/15 19:10
組織の内の人間が考える自社のイメージと組織外の人間が考えるイメージは必ずしも一致していなかったりすることもあると思います。

であれば、自社または自社のブランドがどう捉えられているかを常に意識することが肝要かもしれないですね。

とかく組織内で決め付けてしまっているようなこともありがちに思います。

自社のドメインが把握できていれば、そこから逆に新事業を考えていくこともできそうですね。

5 yonemura 11/15 14:37
初めて知りました。
最近、流行にうとくなってますなあ~

4 まさしくんはい! 11/15 14:28
読んでたらなんか食べたくなってきた。
中野にあるお店に行こうかな(笑)

しかし、何故写真がマクドナルド?手抜きせずにお昼食べがてらに写真撮ってくればいいじゃん(笑)

3 スナギモ 11/15 14:11
写真、あからさまに背景がマックなのが面白いですねw

仕事場の近くに1件、いきつけのドンキホーテ内に1件あるので近々賞味したいと思っています。

しかし高い・・・

2 わだっち 11/15 12:43
そういえばユニクロのオーガニック野菜販売は失敗しましたね。

MUJIだと成功したかも。

1 cellie 11/15 10:46
東京中野の「佐世保バーガー」に行った事があります。残念ながら本場のハンバーガーとは格段の差です。

参考サイト

BSEなんてどこ吹く風、ビーフ食べ放題のニューヨーク
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2446444/detail


佐世保の佐世保バーガーは1回だけ食べた記憶あるかな。おいしかったのとやたらとデカいという記憶しか残ってないです。お店の名前も覚えてなかったのですが、検索してみると『ビッグマン』っぽいのですがこんなロゴだったっけか? 今だと食べきれないかもねぇor2


しかし、まぁ「事実は小説より奇なり」とは言うものの現実が小説を超えすぎてますわな。3塁側内野自由席から観戦中。