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マンション建設予定地を買い取って“日照”を確保

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=0000000002882

法令遵守と住環境保護
菊池 浩史
2006-11-07 07:12

 大都市圏を中心にマンション建設が進み、依然として消費者の購入意欲も旺盛のようです。長谷工アーベスト関西支社が関西圏で分譲マンションのモデルルーム来訪者を対象にて「顧客マインド調査」を行っています。それによると、約6割のお客様が「マンションの買い時」と判断しており、2002年の調査開始以来最高数値を記録しました。その理由として、「地価の上昇」「マンション価格」「ローン金利」の動向を挙げています。調査時点は今年4月19日~26日と若干時間が経過していますが、この傾向は現在も続いているようです。

【画像省略】
マンション建設予定地だった場所。この空き地の右奥に保育園が隣接している
撮影者:菊池 浩史

 このような背景の中で、マンションデベロッパーは「いまが売り時」とばかりに供給を促進させています。その一方では、近隣住民との間でしばしば、トラブルが発生しているようです。本記事で紹介する内容は、その1つです。

 『読売新聞』の記事によれば、「大阪市北区本庄西の財団法人「さつき保育園」(園児240人)隣接地での高層マンション建設計画に対し、園児の保護者らが「乳幼児から日光を奪わないで」と反対していた問題で、園側が、建築主の不動産会社から予定地を買い取り、計画が中止されることが26日、決まった。約310日間にわたる座り込みが実り、日光を死守した保護者らは「園側の負担に感謝したい」と話している」(10月27日付『読売新聞』大阪本社版朝刊から引用)とのことです。

 マンションなどの建設予定地の隣接地に保育所や幼稚園のような施設がある場合、過去にも本件と類似のトラブルが発生することがありました。保護者や施設管理者が建設計画の見直しを求めるものの、行政側は建築基準法の手続きにのっとって建築確認を下ろしていることがほとんどです。その結果、住民側が建築主および行政に対し反対運動を起こして、これが社会問題化するパターンがあります。本件の建設計画も大阪市から建築確認を受けており、その意味では適法な建物のはずです。

 詳しい建設計画や交渉の経緯はわかりませんが、新聞等で報道された事実関係を読む範囲では、建築主であるデベロッパーは、法令に従い適法な手続きや建設計画に基づいて建築確認を得て近隣交渉にあたっていたようです。一方、保育園及び保護者は交渉の結果、「建設予定地を自ら買い取ることでしか解決方法がない」と判断し、今回の決定に至ったようです。取得地には園庭か園舎を整備し、定員を増やし待機児童(注)の解消に繋げていく意向のようです。

【編集部注】待機児童:保育所への入園を希望し、その資格があるにもかかわらず定員オーバーなど数々の問題のため入園できない状態にある子どもたちのこと。

 本件の結末に対して、「どちらか一方が正しく、他方が誤り」と決め付けることはできないような気がします。当事者双方には、それぞれに不本意な部分や言い分があるでしょう。しかし法令と話し合いのうえで出された結果であれば、それが当事者にとっての現実的な解決策と言えるでしょう。

 ただし、あくまでも一般論ではありますが、最後に強いて言いたいことがあります。マンションデベロッパーは用地取得する際には、より詳細に周辺環境を調査し、建設計画に対する反応を慎重に想定すべきです。本件のように結果として膨大かつ無駄なコストを負担しないためにも不可欠な準備ではないでしょうか。また少なからず建物の影響を受ける側も、何が何でも圧力をかけて主張を通そうという姿勢は少し考えなければなりません。適法な建設計画である以上、冷静な話し合いが求められると思います。

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


この記事についたコメントは1件。

1 monkey 11/07 19:51
編集部は「建築紛争予防条例」の内容を理解した上で注釈をつけているのでしょうか?


うん、この【編集部注】は何か変ですw


(十分楽しんだので削除)